2002年5月
■2002年5月27日(第540号)
- やっぱり有事法制反対/「怨み」に「怨み」では平和来ぬ
- 「日本はまた戦争の道を進むのか」――海外での武力行使に踏み込む戦争法案、有事法制三法案が、与党・小泉内閣によって、いま国会でゴリ押しされようとしています。こんななか、千葉農民連の青年たちが、第二次世界大戦中、中国・ハルピンで人体実験を行った日本軍の秘密部隊「731部隊」の元隊員、篠塚良雄さん(78)の「加害」体験を聞きました。侵略への深い反省を刻んだ石碑(中国帰還者連絡会千葉支部建立)を前に、青年たちは平和への思いを新たにしています。
- 「戦争は二度とあってはいけない」/「有事法制」反対/語り継ぐこと
- 731部隊の話は初めて聞きました。「人を殺すための細菌兵器の研究を、なんの疑問もなくできてしまう」――篠塚さんの表情が何一つ変わることなくそう言ったのを見て、戦争は本当に、はかりしれないくらい恐ろしいものだと思いました。
- 残留農薬検出で衝撃
- ファミリーレストランのホウレン草ソテーから残留農薬が検出されたというニュース(本紙5月13日号)に、販売各社に大きな衝撃が走りました。各社とも農民連食品分析センターの検査結果を受けて、第三者機関に改めて検査を依頼。そこでも安全基準を上回る農薬が検出され、中国産冷凍ホウレン草の危険性は動かせないものとなりました。
- 農水省は謝罪と補償を――農民連が緊急要請/「いずみ農民組合」結成
- 国内で四頭目となるBSE感染牛が、5月12日、北海道音別町で見つかりました。農民連は14日、農水省に対して緊急の要請を行い、「BSEの発生は政府の責任。農家に謝罪し、すべての損害を補償すること」などと申し入れました。
- 温泉に野菜出荷し好評
- くじゅう連山の大船山の麓、大分県久住町都野七里田にひっそりとたたずむ木造作りの七里田温泉館があります。
- 「食」考える見学ツアー/百人参加し田植え交流
- 東京都学生自治会連合(都学連)が後援する新入生歓迎フェスティバル行事の一つとして、「BSEから食を考える農家見学ツアー」が4月29日、神奈川県津久井町で酪農をしている菊地原靖さん(神奈川農民連青年部長)宅で開かれました。参加したのは早大、明大、学芸大、都立大、一ツ橋大などから男女学生14人。
- 害虫防除 (4)
- 害虫・益虫という区分は、農業生産のなかで生まれたものです。いずれも、昆虫類のなかのごく一部の種類ですが、防除すべきものとして目立ったものが害虫です。
- “心の元気を届けたい”
- 「作る顔が見える食べものとともに、心の元気も届けたい」――。茨城・県北農民センターの事務局長、鈴木孝夫さんは、インターネットを使って農村の写真を毎日配信しています(その名も『FOCUS』をもじった「NOCUSる――農家する」)。3年半撮り続けた写真は千点を超え、それを記念して4月17日から5月12日まで、北茨城市のギャラリー茶房「ケルン」で写真展を開きました。
- 「式年神幸祭(しきねんじんこうさい)」
- 千葉県佐原市の香取神宮主催の「式年神幸祭」が4月15日、16日、多くの見物人の見守るなか、盛大に行われました。12年に一度、午年に行われるもの。
- 農の考古学(9)
- 北部九州で水田稲作が始まったことは、農耕社会の到来を告げるものでした。当時の稲作の姿をみてみましょう。
- 旬の味
- 田植えの季節。日に日に平野の田が薄緑に染まって行く。今年のわが家の苗は余り良くなかった。「過保護に育ててはいけない」と、夜間に被膜をしなかったため、低温で根の成育が停滞。翌日の「陽風(ひかぜ)」で葉が丸まったが、大事には至らず、少々の“茶髪”姿で本田へ。苗運びを見ていた近所のおばちゃんから「今、流行だ」と冷やかされ、思わず苦笑い
■2002年5月20日(第539号)
- 「うまい、故郷の味がするネ」/◆「短期売店」で販売された品目◆
- 「農水省職員のみなさん。安全でおいしい農民連の農産物をぜひお買い求めください」――農民連・産直協は4月22日から26日の5日間、初めて農水省本省の地下で「短期売店」を行いました。
- 有事法制“戦争の時代”に逆戻りはごめん/畦道から宣伝カーで/アメリカが起こす戦争に動員が目的
- 「国家総動員トハ戦時(戦争ニ準ズベキ事変ノ場合ヲ含ム)ニ際シ…人的及物的資源ヲ統制運用スルヲ謂フ」――。1938年に制定された「国家総動員法」です。これとよく似た有事法制三法案(「武力攻撃事態法案」「自衛隊法改正案」「安保会議設置法改正案」)が、いま与党・小泉内閣によって国会にかけられています。
- 「食と農」掲げ農水省と交渉
- 全労連・全国一般東京地本は4月19日、米・野菜価格の暴落、BSE被害の補償など食の安全と安心、安定した自給の食料政策を求めて農水省と交渉。農民連の佐々木健三会長、石黒昌孝分析センター所長も参加しました。労働組合の単産が農業・食料問題を真正面に掲げ、独自に農水省と交渉するのは画期的です。
- 郡上農民に学ぶ旅/“消費者が発展させよう”
- 農民組合大阪府連高槻支部の39人が4月16日、岐阜県の郡上一揆の里へ研修にこられ、私が現地を案内しました。
- 害虫防除 (3)
- 昆虫類はこの地球上で最も繁栄している生物です。種類が多く、様々な環境を利用して生活しています。一つ一つの種(注)は、どこにでもいて、何でも食べるということはできませんが、自分にあったところで生きています。ふだん人目につかない木の割れ目、垣根の竹筒のなか、雑木や雑草、石や落葉の下、シーズンオフのプールの中などです。このような昆虫の特徴は、次のとおりです。
- HAPPY料理
- 「グリーンボール・トマト・春白菜・分けつねぎ・しいたけ・ニラ・葉つき大根・新玉ネギ・カブ」という9品もの盛りだくさんなBOXが1530円(センター届けの場合)。いつも思うのですがどこの産直センターも値段をおさえる努力がすごいと思います。少し前まで、農薬をおさえたいい野菜は「高い」というイメージがありました。毎日たっぷり食べたい野菜ですから、「よいものが安く」はとても嬉しいと思います(安すぎるのには反対ですが)。
- 「新鮮なもの、お届けするよう心掛けて」
- 田植えで忙しかったゴールデンウィークも終わり、田に植えられた苗は初夏の風にさらさらとゆれて、静けさを感じます。
- 青年を地域づくりの先頭に
- これから地域をどうするのか?――。21世紀の庄内地域づくりシンポジウムに向けて、青年主体の取り組みが進んでいます。山形・庄内地方では30年前から、10年の節目ごとに「地域を語るつどい」を行い、地域の様々な団体が、活動交流を行ってきました。そういう伝統がある地域ですが、若い世代の参加を位置づけて行うのはこれが初めてです。
- 元気な歌声のもと/「食べる分だけでも自分で作らねば」と
- ♪日本の農業ここにあり、今日もがんばる兼業農家(「兼業農家に捧げる歌」)――元気な歌声が、ひばりのピチピチというさえずりとともに響いてきます。抜けるような晴天に恵まれて、第四回菜の花まつりが4月27日、茨城県結城市で開かれました。
- 炭やき農民のすすめ(4)
- ♪夏も近づく八十八夜トントン――。日本の茶摘みの原風景をうたった歌である。茶道では「三炭三露」という言葉があるように、炭は茶事にとって重要である。千利休は四百年前に「炭点前」の作法を創作した。
- 旬の味
- 端午の節句に孫娘ともち草よもぎを摘みに行った。草を摘みながら思い出にふけった
■2002年5月13日(第538号)
- ファミレス(ファミリーレストラン)のホウレン草ソテーからも残留農薬/中国産冷凍ホウレン草 破棄、積み戻しを指示/チェック機能強化したい
- 幼児からお年寄りまで、家族がそろって食事を楽しむファミリーレストランのホウレン草ソテーも、発ガン性の強い残留農薬に汚染されていた――。こんなショッキングな事実が、農民連食品分析センターの検査で明らかになりました。
- 戦争国家への暴走を許すな! 有事立法(戦争国家法案)阻止に全力をあげよう
- 小泉内閣は、4月16日に「武力攻撃事態法案」「自衛隊法改正案」「安全保障会議設置法改正案」の有事立法3法案を閣議決定し国会に提出しました。
- 非同盟運動の新たな前進へ
- 日本アジア・アフリカ・ラテンアメリカ連帯委員会(日本AALA)は4月20、21の両日、東京都内で第43回定期全国大会を開きました。
- 「消費者重視」掲げるが
- 農水省は4月11日、「『食』と『農』の再生プラン」を発表しました。サブタイトルは「消費者に軸足を移した農林水産行政を進めます」――。「生産者重視から消費者重視へ」は、武部農相の常とう文句ですが、これは、BSE調査検討委員会に「重大な失政」と批判されたことへの“たちの悪い開き直り”以外の何ものでもありません。
- 読者がつくるページ
- 野菜の大暴落――実態知らせよう/安心・安全な食材の提供を/「顔の見える」農産物を台所へ/産直BOX 五つの効能/日本はいま何をより所に
- 害虫防除 (2)
- 昆虫の一生は、卵、幼虫、蛹(さなぎ)、成虫と変化します。卵から幼虫になることを「ふ化」、幼虫から蛹になることを「蛹化」(ようか)、蛹から成虫になることを「羽化」(うか)といいます。このような一生を送る昆虫を完全変態の昆虫、蛹のない昆虫を不完全変態の昆虫といいます。
- 松の根に“炭”埋める
- 「炭で足尾の山をよみがえらせよう」――。本紙に「炭やき農民のすすめ」を連載する杉浦銀治さんら「国際炭やき協力会」と「森林(やま)の会」は、4月21日、渡良瀬川源流域の弱っている松の根元に炭を埋めました。かつての銅の精錬で出たばい煙(亜硫酸ガス)によって汚染された足尾の山を再生させようというとりくみで、今年で3年目。小雨が降るなか約30人が参加しました。
- 手作りの料理持ち寄り
- 千葉県農民連青年部は4月13日、第9回総会を開催。女性4人、学生2人を含む16人が参加し、技術学習会や視察、千葉YACの発足、ニュースの発行、運営の改善など2002年の活動方針のほか「夏の学習交流会」受け入れなどについて話し合いました。
- “おいしい”と評判
- 「長年の念願だった地元米が学校給食に使われた」――鹿児島県大浦町の幼稚園、小中学校の子どもたちが今年4月から地元・大浦の米を食べられるようになり、おいしいと評判を呼んでいます。鹿児島県農民連「大浦農を守る会」の10年来の要望が実現したものです。
- 花二題
- 富山のチューリップといえば、礪波が全国的に知られ、見学者も多く訪れますが、ここ入善町でもチューリップを育てています。
- 農の考古学(8)
- 日本列島に水田稲作が伝播した背景には、中国や朝鮮での戦乱で人びとの移動があり、その影響で日本列島に稲作文化を持った集団が渡来したといわれています。
- 旬の味
- 同時多発テロ以来、アフガニスタン、パレスチナで繰り返される殺戮。暴力の連鎖が繰り返されるこの時に平和憲法を持つ日本が「有事法制」という「戦争国家法」を立法化するという
■2002年4月29日・5月6日(第537号)
- 「ともゑ米」
- 日色さんの「ともゑ米」は“知る人ぞ知る”銘柄米です。どんな経過で生まれたお米なのか――民藝公演『その人を知らず』の稽古の合間にお聞きしました。
- 工場存続もとめ決起集会
- 4月いっぱいで解散する雪印食品(株)。その関東工場(埼玉県春日部市)で、3月30日、一方的な会社解散と労働者の解雇に反対する「食の安全を守り、雇用と地域経済を守る決起集会」が開かれました。夕やみ迫る工場内で、約三百人の参加者を前に、雪印食品一般労働組合の佐々木典昭委員長は「会社は解散するが私たちはネバーギブアップを合言葉にたたかっていく」と表明し、大きな拍手に包まれました。
- “畜産守れ”と農民も多数参加
- 「畜産・酪農家の経営を守れ」――山梨農民連は4月12日、八ヶ岳南麓の高根町の酪農家10人が参加して、BSEへの万全の対策を県に要請しました。「4・12国民総行動」に呼応したもの。
- 勝利和解勝ち取る
- 突然の倒産、解雇から約1年、工作機械メーカーの(株)池貝に働く労働者が3月29日、勝利和解をかちとりました。日本に「もの作り」産業がなくなっても構わないと不良債権の最終処理を進める小泉内閣のもとで、農民連は「兼業農民の雇用など、他人事ではない」と労働者のたたかいを支援。メインバンクである日本興行銀行(現・みずほ銀行)本店の前で座り込みを行う労働者にミカンや梅干しを差し入れるなどしてきました。
- 大単組でさらに前進の展望/トウモロコシ栽培講習会/神戸で総会と花見
- 岩手県胆沢町農民組合ではこの間の税金申告のとりくみを通じて、多数の新会員を迎えました。
- 着実に前進しつつある/「貧農/農民の権利に関する連帯声明」の要旨/若い! インドネシアの活動家/参加と募金を呼びかけます
- アジアの農民たちの運動は着実に前進しつつある――4月1日から5日までインドネシア・ジャカルタで開かれた「農民の権利に関する東南アジア・東アジア地域農民会議」は、このことを強く確信させてくれました。
- “おいしいから国産”/『陶楽』(陶芸工房兼和食処)/『唯一茶』/かっぽう『味処はし本』/『八百屋の飯屋 びわとも』
- ちょっと外で食事をしようと思ったら、街にあふれているのはチェーン店ばかり、という経験はありませんか? 実際、ファミリーレストランやファストフード、居酒屋チェーンの食材は、輸入農産物でつくられた冷凍・加工食品であることがほとんど。「安かろう悪かろう」で値下げ競争を繰り広げています。でも一方で、そんな風潮には流されず、「おいしさ」を何より大切に、「国産」にこだわる個人経営のお店が、全国各地でがんばっています。小さいけれど、個人経営ならではの温かさ・個性が光る、そんなお店の思いを取材しました。
- 量販店の価格競争に泣く市場/仲卸の苦しみ
- 生鮮野菜の価格低迷が続いています。なぜなのか? 暖冬による豊作、BSEの影響、氾濫する輸入野菜……理由はさまざまです。そんな安値要因の一つとみられる大型量販店の、取引の実態を追ってみました。
- 害虫防除―新連載―
- 昆虫は、最初に陸に空に進出した動物です。大昔、石炭の原料となった巨大なシダ植物などが陸地をおおっていた頃、羽を開くと73センチもある巨大なトンボの祖先が栄えていました。
- 『稲の旋律』ができるまで(下)/(上)
- バイト先にいくのは苦しくなっていたのですが、田んぼに通うのは楽しかったのです。楽しい農作業のなかで対人緊張もだんだんほぐれてきました。これなら大丈夫だと思って、気を取り直して東京にアパートを借り、就職したのですが、やっぱりまた対人緊張が出てしまいました。こんどは正真正銘の「ひきこもり」状態になり、胸が苦しくなり、途中まで職場にいくのですが、戻ってきてしまうのです。上司が迎えに来て、引きずられるように職場まで連れて行かれるんですが、途中で逃げたりして、とうとう休職し、退職することになりました。
- 読者のお便り
- 野菜価格に驚き/勉強になる記事
- 演劇/壮大な歴史ロマン「天平の甍」
- 前進座は5月に東京の国立劇場で「天平の甍」を上演します。天平勝宝6年(754年)の早春、唐の名僧・鑑真一行は数次におよぶ渡航の失敗のすえ、日本に到着、奈良の都に入りました。古代文化史に特筆すべきできごとでした。この作品はそのかげに秘められた若い5人の留学僧のそれぞれがたどる数奇な運命の物語です。井上靖の原作を依田義賢が脚色。
- 醤油作りでお世話になって
- 「自分で醤油を」と思って、去年大豆を作り、秋には小麦を播きましたが、麦の収穫は夏、麹に使うのは来春、醤油を搾るのは来年12月――そんなつもりでしたが、荻原徳雄さんに小麦13キロを分けてもらい急きょ仕込むことができました。
- HAPPY料理
- 千葉県多古町旬の味産直センターでは、学校生協、千葉や神奈川の新婦人グループなど、さまざまな野菜BOXを出荷しているそうです。
- 農村から情報発信
- 多古町旬の味産直センターでは、温暖な気候と火山灰土を生かして根菜類をはじめ、葉物、果菜、きのこ類、卵、大豆製品(味噌・納豆・きなこ)、米などを供給しています。ボックスには野菜と一緒に、生産者の記事や産地情報、レシピなどを入れて、産地を身近に感じ、“人生の楽しみの時間”として食生活を送っていただきたいと願っています。
- 夏のトウモロコシに初挑戦
- 晴天の4月16日、愛知県豊橋市で開かれた「春フェスタ」に家で作った紅甘夏を持ち込み、タケノコやフキ、タマネギなどを熱心に販売する岡本康伸さん(25)。愛知県田原町で牛の肥育と柑橘、野菜、米づくりを営む家業を継いだ農業後継者の一年生です。
- 農の考古学(7)
- 稲作は日本列島に、どのような道筋で伝わったのでしょうか。
- 炭やき農民のすすめ(3)
- 初夏から盛夏にかけて北日本で吹く、冷たい北東の風をヤマセという。気温が上がらず稲が冷害にあうので昔から恐れられている。気象庁は4月10日、今年はエルニーニョの恐れありとの予報を出した。エルニーニョは、日本では冷夏に関係があるとされるので心配だ。
- 旬の味
- 北海道でも3月から4月にかけて黄砂が飛来している。これほど大規模なものは、22年ぶりだというが、家や車もすっぽりと黄砂に覆われている
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