「農民」記事データベース20020527-540-04

BSE 国内で4頭目

農水省は謝罪と補償を――農民連が緊急要請

北海道が発生農家を訪問

関連/「いずみ農民組合」結成


 国内で四頭目となるBSE感染牛が、五月十二日、北海道音別町で見つかりました。農民連は十四日、農水省に対して緊急の要請を行い、「BSEの発生は政府の責任。農家に謝罪し、すべての損害を補償すること」などと申し入れました。

 農家は十三日、「酪農畜産仲間に大変申し訳なく思っている」とのコメントを発表。そのうえで「外国でBSEが発生した時点で国の適切な対応がされていれば、防げたように思う」と国の対応を批判しました。

 今回見つかった感染牛は、六歳一カ月のメスの乳牛。過去の三頭と同じく、九六年春に生まれています。しかも四頭とも同じ飼料工場の代用乳が与えられていました。

 北海道農民連は十五日、近隣の白糠、厚岸、浜中、別海の各町の酪農家が集まって対策を協議したのに続いて、十六日には野呂光夫書記長が音別町の農家をたずねました。「いい牛を育てる優秀な農家。何としても再建させたい」と野呂さん。農家に続ける意志があることも伝えられています。

 厚岸町で酪農を営む石沢元勝・道農民連副委員長は「感染源の究明に全力をあげるべき。そこがはっきりすれば、農家も消費者も安心する」といいます。日本共産党の紙智子参院議員も対策会議に同席しました。

 北海道農民連は、道農協中央会に対しても、新たな牛の導入などで農家の経営再建に全力を尽くすよう要請。緊急集会を二十六日に釧路市で開くことを決めました。


BSEのたたかい、税金運動のなかで

「いずみ農民組合」結成

鹿児島

 鶴の渡来地で有名な鹿児島県出水市。ここを中心とする「いずみ農民組合」が五月九日、発足しました。

 鹿児島農民連は、畜産農家を一軒一軒たずねてBSE損害請求書を六十世帯から約二億円分集めています。BSEのたたかいと、税金申告、免税軽油などの要求運動が結びついて、いずみ農民組合は結成されました。

 きっかけは、三月初旬に県連が出水市で開いた税金相談会。BSE損害請求運動で知り合った、市内で肉牛百二十頭を飼育する花田洋さん(52)が参加。申告を済ませ、東串良農業を守る会と県連の援助で軽油免税の学習会を始めました。

 花田さんは、研究熱心で面倒見がよく、地域からの信頼も厚い人。畜産のかたわら堆肥も作って売っていますが、その際に土壌診断もしています。「外見はよく見える農家でも多額の負債で内情は厳しい。産直や直売など農家の要望をかなえていけば、農民連はもっと大きくなる」という花田さんの紹介で、新たに六人の入会者を迎えて十人で設立会を開きました。

 設立会には、全国連の常任委員でもある宮崎県連の村尻勝信書記長、鹿児島県連から松下兼文書記長と私も参加。会則を決めて、百人の会員をめざし、参加者全員が世話人になって盛り上げていくことになりました。

 さらに村尻さんの記帳ノートの説明に、参加者から「さっそく書き方指導をやってくれ」の声があがり、十六日には県内トップで税金学習会を開催。長く点在会員で県連の役員としてがんばってきた川涯善幸さん(73)も「地域農業を守る土台ができた」と喜んでいます。

(鹿児島県連 松下みよ子)

(新聞「農民」2002.5.27付)
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2002年5月

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