「農民」記事データベース20020520-539-05

殺すより、増やさない

害虫防除 (3)


虫の基礎知識 一芸に秀でた昆虫たち

 昆虫類はこの地球上で最も繁栄している生物です。種類が多く、様々な環境を利用して生活しています。一つ一つの種(注)は、どこにでもいて、何でも食べるということはできませんが、自分にあったところで生きています。ふだん人目につかない木の割れ目、垣根の竹筒のなか、雑木や雑草、石や落葉の下、シーズンオフのプールの中などです。このような昆虫の特徴は、次のとおりです。

 (1)体が小さく、一生が短いので食物が少なくて済む。(2)卵をたくさん産み、個体数が多い。(3)小空間で生活でき、住み分けができる。(4)真夏や真冬の過酷な季節は、活動を停止する種類がある。(5)昆虫は無せきつい動物中、唯一、羽を持つ動物で、高度の分散移動能力をもつ。(6)保護色と言って、周囲の環境にとけ込んでいるので、鳥などの天敵に見つけられにくい。

 このような特徴があるので、田畑では害虫が侵入したことを知らず、気がついたら大発生していたということがよくあります。

 生態系のなかの昆虫

 昆虫は多くの花を受粉し、植物の繁栄を支えています。野鳥にとっては、食物として欠くことのできないものです。

 落ち葉や枯れ枝を食物とするミミズやトビムシ(図〈図はありません〉)などの小さな昆虫は、森の掃除屋として重要です。これらの昆虫などが細かく噛み砕いたものが、カビや細菌などにバトンタッチされて有機物から無機物に分解してゆきます。ここは、物質循環の要所であり、生き物が母なる大地に帰ってゆく場面です。

 このように昆虫は、この地球上のどこにでもいます。(ただし、海洋中は苦手のようです。)

桑山洋三(農の会会員)


 注)種とは生物分類の基本単位で、例えばヒト、チンパンジー、カブトムシ、コガネムシは一つ一つの種です。

(新聞「農民」2002.5.20付)
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2002年5月

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