「農民」記事データベース20020506-537-13

殺すより、増やさない

害虫防除

―新連載―


(1) 虫の基礎知識

昆虫は私達の大先輩

 昆虫は、最初に陸に空に進出した動物です。大昔、石炭の原料となった巨大なシダ植物などが陸地をおおっていた頃、羽を開くと七十三センチもある巨大なトンボの祖先が栄えていました。

 現在の人類の祖先が地球上に出現したのは五百万年前ですが、トンボやゴキブリの祖先は三億年前に出現しました。トンボの時代を一年とすると、人類が現れてからまだ六日間しかたっていないという計算になります。トンボやゴキブリは、私達の大先輩ということができます。

昆虫の衣・食・住

 (1)よろいのように固い衣

 コガネムシを例にとって昆虫の形を見てみましょう。昆虫は頭、胸、腹に分かれています。胸に六本のあしがあり、羽が四枚です。外側の二枚の羽は固く、頭、胸、腹とともによろいのような外骨格を形成しています。

 (2)食と住

 昆虫の口は、かむ口、吸う口、なめる口の三種類です。これは食生活をよく反映しています。幼虫と成虫で食べるものが違う場合は、口の形も違います。(表)

 
昆虫の口の形、食物、食べ跡
 
幼虫
成虫
 
口の形
食物(例)
食べ跡
口の形
食物
食べ跡
トンボ 吸う 小魚
かむ 蚊など
 ―
カメムシ 吸う 農作物の茎、未熟な果実 米粒に黒い斑点がつく。果実の表面がへこみ、中がくさる。 吸う (幼虫と同じ) (幼虫と同じ)
セミ 吸う 樹液(根) 果樹が弱る 吸う 樹液(幹) (幼虫と同じ)
モンシロチョウ かむ キャベツの葉 葉がボロボロになる。 吸う 花の蜜
ハモグリバエ 吸う トマトの葉 葉に細かい線がつく なめる
アリ 吸う 働きアリから流動食をもらう
かむ 昆虫、ミミズ
コガネムシ かむ 植物の根 イモに穴があく、くさる。 かむ 根、葉、花 根、葉、花がボロボロになる。

 「タデ食う虫も好きずき」という言葉がありますが、昆虫の食生活をよくあらわしています。植物食、動物食、雑食の昆虫があり、表のように各昆虫がそれぞれ決まったものを食べます。

 多くの昆虫は、食べ物がそのまま住み家になっています。キャベツの葉の間にひそんでいて、葉を食うアオムシや、イチジクの幹の中で木質部を食うカミキリムシの幼虫が良い例です。ヘンデルとグレーテルのお話のなかに「おかしの家」が出てきますが、昆虫もメルヘンチックな生活をしているのです。

毎週掲載

(桑山洋三・農の会会員)

(新聞「農民」2002.4.29・5.6付)
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2002年5月

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