―声 明―戦争国家への暴走を許すな! 有事立法(戦争国家法案)阻止に全力をあげよう二〇〇二年四月二十三日農民運動全国連合会
(一)小泉内閣は、四月十六日に「武力攻撃事態法案」「自衛隊法改正案」「安全保障会議設置法改正案」の有事立法三法案を閣議決定し国会に提出しました。三年前に強行した「戦争法」(周辺事態法)は、アジアでの日米共同による戦争作戦のシナリオでした。今回の有事法制は、この「日米共同作戦」に国民を動員するためのものであり、アメリカがテロ問題への対処を口実に「悪の枢軸」論をかかげ、無法な戦争と軍事介入を強めているもとで、アメリカの戦争に国民を総動員するためのものであることは明らかです。 戦後、日本国民は「二度と戦争を起こす国にしてはならない」と誓い、人権抑圧が戦争に結びついた戦前の教訓のうえにたって国民一人ひとりの人権と自由が大切にされることを共通の理想として希求してきました。アメリカいいなりの日米軍事同盟を最優先する自民党政治のもとでも、曲がりなりにも日本が戦争をしかけることをせず、自由と民主主義を定着させてきたことは、日本国民の誇るべき成果です。これを支えてきたのは戦争放棄を高々とうたい、基本的人権を「侵すことのできない永久の権利」と宣言した憲法です。
(二)小泉首相はもっともらしく「備えあれば憂いなし」と言っています。しかし、「国家総動員法」が中国侵略に際して制定されたことをはじめ、戦争の「備え」である「有事法制」が侵略と抑圧の原動力となったことは、歴史の教訓であり、「備え」なるものの危険性を雄弁にものがたっています。この歴史を断じて繰り返してはなりません。いま、憲法の原則にたって国づくりを進めるのか、それともアメリカの行う戦争に協力し、戦争を最優先する国家体制をつくるのかが問われています。
(三)武力攻撃事態法は、首相が、武力攻撃の「恐れ」がある、またはそれが「予測」されると判断すれば、地方自治体や民間に協力を命令し、自衛隊への物品や施設、役務を提供させることなどを規定し、しかも、これを拒否すれば罰則が課せられるなど、基本的人権への重大な制限をねらっています。農民にとっては、農地や農業用施設の提供、家屋や立ち木の強制移転、米や野菜など農産物の保管命令や強制出荷、作物の生産統制など、重大な制限が加えられることになります。
(四)アジアを侵略し、人民虐殺の限りをつくした第二次世界大戦に駆り出され、戦地に累々と屍を重ねたのは軍服をまとった農民でした。働き手を奪われ、戦争と軍隊を支えるための生産や供出が押しつけられた、あの忌まわしい体験は農民にとって決して忘れることのできない歴史の事実です。種をまき、生命を育み、食料を生産する農業と、生命を破壊する戦争とは相いれません。 私たちは、戦争のための国家づくりを断固拒否します。平和を願う広範な国民、農民と共同し、有事立法三法案阻止のために全力をあげるものです。
(新聞「農民」2002.5.13付)
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[2002年5月]
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