「長年の念願だった地元米が学校給食に使われた」――鹿児島県大浦町の幼稚園、小中学校の子どもたちが今年四月から地元・大浦の米を食べられるようになり、おいしいと評判を呼んでいます。鹿児島県農民連「大浦農を守る会」の十年来の要望が実現したものです。
(大浦農を守る会 下屋一美)
農家の誇り、励みになった
四月十九日に大浦町立小学校を訪ね、松園一之校長先生と給食の様子を見学しました。食べ残しはなく、山盛りのご飯をおかわりをする子どももいました。同日夜、PTA主催の新任教師(小・中・高校)の歓迎会が開かれた席上、栄養士の四元ゆかりさんは「地元米が好評で、仕事が楽しい」とあいさつしました。
また、中学校でも好評で、給食のおいしさが家庭でも話題になっています。給食によって大浦の良さが一つでも知ってもらえたことは農家の誇りであり、励みになります。
米飯給食は週三回行われていますが、今年度から地元米が二回使われています。幼稚園二十五人、小学生百五十二人、中学生八十五人の合計二百六十二人の子どもたちが地元のお米を食べています。週二回の給食に約六十キロ前後のお米を供給しています。
私は「大浦農を守る会」の会長で町議会議員もしています。十年前から議会でも、地元産の米を学校給食に使うように再三要望してきました。そして昨年九月の議会で前野輝行町長が「大浦コシヒカリは町の特産であり、条件(安全、安価、量の確保、組織体)が整えば、学校給食センターと話し合いたい」と答弁。これを受けて、「農を守る会」は、今年四月一日に大浦町立学校給食センターから平成十四年度の学校給食用物資納入業者として指定され、契約を交わしました。この結果、四月九日から「農を守る会」のお米が学校給食に使われるようになりました。
地元米の給食は、小中学校だけでなく、町立幼稚園も含まれており、画期的な事業です。生産者と行政が一体となった“地産地消”のスタートともいえます。
県学校給食会の圧力
当初、大浦町立学校給食センターは週三回の米飯給食に一〇〇%地元米を使う方針でした。同センターが県学校給食会に連絡すると、給食会は三人の職員を派遣し、「大浦の米はおいしいのか」「週三回の米飯給食のうち二回は学校給食会の米を使えないか」「凶作のときにはどうするのか」などと地元産米の使用に横車を入れてきました。結局、地元産米の使用が三回から二回になり、非常に残念です。
しかし、私たちは学校給食に米だけでなく、地元の食材がもっと多く使われるようにし、ふるさとの恵みで子どもたちを豊かに育てて行けるようにしていきたいと思っています。
(新聞「農民」2002.5.13付)