殺すより、増やさない害虫防除 (4)
虫の基礎知識 害虫の育ての親??害虫・益虫という区分は、農業生産のなかで生まれたものです。いずれも、昆虫類のなかのごく一部の種類ですが、防除すべきものとして目立ったものが害虫です。人間の経済生活の変化にともなって農作物の種類や栽培面積も変化しましたが、これにともなって、害虫の種類も変化してきました。特に、農業が大規模化し、広い面積に同一作物を栽培するようになって、化学肥料や農薬の利用が急速に進みました。その結果、アブラムシやニカメイチュウがチッソ分過多の作物で大発生したという例があります。さらにその後、農薬耐性を有する害虫が現れ、新農薬の開発・利用といういたちごっこが繰り返されるようになったのです。
農産物の価値農産物は外見よりも中身が重要と思います。しかし、このことは生産者、流通業者、消費者によって考え方に違いがあると思われます。例えば、静岡県のSさんの「そばかすミカン」。このミカンは温州ミカンですが、開花期にアザミウマ(図1〈図はありません〉)という非常に小さな昆虫が花に集ってきます。ミカンの受粉に役立つ一方で害虫でもあります。アザミウマは将来果実となる子房(図2〈図はありません〉)の表面をなめるように細かくかじるので、果実の表面がやけどを負ったような、ザラザラした感じになります。 この「そばかすミカン」は市場でも小売店でも扱っていません。しかし、とても味が良く、わが家では毎年購入しています。味が良いのは、むろん、気候風土や栽培技術によるものですが、アザミウマやその他の害虫への農薬散布を行わない安全なミカンですから、価値ある農産物です。 桑山洋三(農の会会員)
(新聞「農民」2002.5.27付)
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[2002年5月]
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