年間13億人が利用ファミレス(ファミリーレストラン)のホウレン草ソテーからも残留農薬原料は中国産/チェック機能強化したい
幼児からお年寄りまで、家族がそろって食事を楽しむファミリーレストランのホウレン草ソテーも、発ガン性の強い残留農薬に汚染されていた――。こんなショッキングな事実が、農民連食品分析センターの検査で明らかになりました。
ジョナサンは基準値の6倍、CASAは強発ガン性のエンドリン検査したのは東京、埼玉にあるファミリーレストラン九店とコンビニ、弁当店各一店のホウレン草のソテーなど。この結果、板橋区にあるジョナサン成増駅前店のホウレン草ソテーから、残留農薬基準の六倍のクロルピリホスが検出されました。 コンビニのサンクス成増北口店のホウレン草を主体とした六種類のゴマ和えからも、基準値の二倍のクロルピリホスが検出されています。 クロルピリホスは、シロアリの駆除剤に使われる発ガン毒性の強い農薬です。また、練馬区にあるCASA光が丘店のホウレン草とシメジのソテーからは、検出されてはならない、発ガン性の強いエンドリンが検出されました。 このほか、埼玉県和光市のデニーズ和光店のホウレン草ソテーからは、やはり発ガン性の強いpp―DDEが違反すれすれの値で検出され、埼玉県戸田市のロイヤルホスト戸田店のホウレン草ソテーからはプロチオホスが検出されました。ホウレン草には、プロチオホスの残留農薬基準は設定されていませんが、すでに設定されているキャベツやブロッコリーの基準でみると違反します。 農薬が検出されたホウレン草は、各社が調べたところ六社は中国からの輸入冷凍品でした。
結局、十一の検体を調べて、三つもの検体から残留農薬基準違反の農薬が検出されたことになります。そればかりか、「痕跡」を含めて農薬が残留していたのは七検体にのぼり、輸入冷凍野菜の危険性をあらためて浮き彫りにしました。
厚労省は厳重なチェックを レストランは産地の表示を日本フードサービス協会の話では、協会に加盟している会社のファミリーレストランは全国に約一万二千店あり、少なくみても一つの店で一日平均三百人が利用しているといいます。食品分析センターの石黒昌孝所長は、「ファミリーレストランには家族連れが多く、子どもたちがよく行きます。そこでこういうものを食べさせられていたのかと思うと、ゾッとします。ことは命にかかわる重大事です」と指摘。「厚生労働省は輸入食材の安全を厳重にチェックし、違反を摘発して違反品が出回らないようにすべきです。また、レストランも食材が輸入品なのかどうかをきちんと表示し、お客さんが選択できるようにすべきではないでしょうか」と警告しています。
〈注〉輸入品が激増し、安全が脅かされているのに、いまだに冷凍食品などの加工食品の残留農薬基準はありません。このため、ここでは生鮮ホウレン草の残留基準で判断しました。
国の検査でも基準の約4倍の農薬中国産冷凍ホウレン草 破棄、積み戻しを指示厚労省は、中国から輸入した冷凍ホウレン草から、国の基準値の約四倍の農薬が検出されたことを明らかにしました。このため東京検疫所は、輸入業者に対し、破棄するか積み戻すよう指示しました。冷凍野菜の残留農薬違反での摘発は初めて。今回の農薬検出は、農民連の分析結果を国が裏付けた形となりました。この冷凍ホウレン草は、輸入業者が三月二十九日に中国から輸入したもので、検出された農薬はパラチオン。国内では使用が禁止されている毒性の強い農薬で、基準値(〇・三ppm)の四倍近い一・一ppmが検出されました。 冷凍野菜には残留農薬基準が定められていません。しかし厚労省は、農民連食品分析センターの分析結果を受けて三月二十日に通達を出し、生鮮野菜の基準に準拠して輸入届出の一〇パーセントに対してモニタリング検査を実施しています。 検査を始めた冷凍野菜は、ホウレン草をはじめ十八品目。厚労省は今回の業者への指示について、食品衛生法第七条の「基準に合わない方法により製造し、加工してはならない」とした条項を準用した、としています。ただモニタリング検査は、結果が出る前に国内に流通し食べられてしまうという、致命的な欠陥があり、危険な残留農薬が検出された以上、輸入品を水際で止める措置が求められます。
チェック機能強化したい(株)ジョナサン経営企画室広報社内は驚愕しています。商社を通して中国から輸入したもので、話をきいて早速、現地に再検査を要請しました。冷凍品は、現地でボイルして冷凍したもので、ホウレン草はソテーのほかにはハンバーグのつけ合わせに使っています。ジョナサンは全国に三百二十五店ありますが、仕入先は一元化しています。会社として独自の検査機関をもつのは難しく、通常は現地・中国で検査して、報告を受けています。産地をメニューに表示することも、材料の切り替えが頻繁にあるのでむずかしい。しかし、「安全なものを自信を持って出す」ということは、私たちが創業以来掲げてきたことで、絶対の大原則です。網の目を細かくして、チェック機能を強化するなど対応を考えないといけない、と思っています。 もちろん行政の責任にするつもりはありませんが、輸入食品のチェックは国としてもきちんとやって欲しいという思いはあります。 (談)
(新聞「農民」2002.5.13付)
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[2002年5月]
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