演劇壮大な歴史ロマン「天平の甍」前進座
前進座は五月に東京の国立劇場で「天平の甍」を上演します。天平勝宝六年(七五四年)の早春、唐の名僧・鑑真一行は数次におよぶ渡航の失敗のすえ、日本に到着、奈良の都に入りました。古代文化史に特筆すべきできごとでした。この作品はそのかげに秘められた若い五人の留学僧のそれぞれがたどる数奇な運命の物語です。井上靖の原作を依田義賢が脚色。 舞台は、七三三年の奈良・興福寺境内から始まり、七五七年の奈良・唐招提寺建立作事場で終わるまでの、二十四年間の年月が凝縮されています。 遣唐使とともに中国にわたった留学僧の栄叡や普照らは、唐から戒律の師を数多く招来する使命をもっていました。彼らは困難ななかで、楊州の大明寺を訪ね、高僧の名の高い鑑真和上に日本に渡航する律師の推挙を願いでます。鑑真は仏法のためみずからが渡航するといいます。しかし、渡航が実現するまでには十二年の歳月が… 前進座での初演は一九六三年。それから三十九年、今回は、鑑真和上に嵐圭史、留学僧の栄叡に中村梅雀、普照に河原崎国太郎、玄朗に瀬川菊之丞、戒融に松浦豊和、業行に志村智雄など、すべてが初役に挑みます。 演出の十島英明さんは「単なる宗教劇、伝記劇じゃなくて、真理と文化、平和のために国境をこえて、その生涯を捧げた人の尊い愛と勇気をたたえるドラマにしたい。いま中東の情勢などを見るにつけても、鑑真和上の精神をもっと学んでもいいのではないかと思う」といいます。 (鈴木太郎)
*5月16日〜26日東京・三宅坂・国立座劇場大劇場。来年2月大阪・国立文楽劇場、3月全国巡演。連絡先=前進座電話0422(49)2811 (新聞「農民」2002.4.29・5.6付)
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[2002年5月]
農民運動全国連合会(略称:農民連)
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