2000年4月
■2000年4月24日(第447号)
- 日本のみかんを守ろう
- 「これじゃ暮らしていけない」「みかんはもうダメだ」――みかんの価格が大暴落し、農家手取りは再生産価格の3分の1にも届かず、地域経済にも大きな影響を与えています。
- 有珠災害/北海道連が救援活動
- 爆発的噴火の予測や災害の長期化による被害の拡大が心配されるなか、四月八日、北海道農民連有珠山災害対策本部の宮井誠一本部長と私(目黒貢)が、日本共産党国会議員団による現地調査に同行。伊達市農協、漁港を訪問。被害状況や国への要望を聞きました。
- 「改正JAS法」4月施行で農業にどんな影響が…
- 4月1日から「農林物資の規格化および品質表示の適正化に関する法律」(通称・改正JAS法)が施行されました。「国産の農産物がほしい」という圧倒的な声に押され、原産国表示をすべての農産物(米は、新食糧法との関係で一年保留)に広げることは評価できますが、反面、問題点も各方面から指摘されています。これが、国内農業に及ぼす影響や、運動するうえで重要なことなどを、農民連常任委員の斉藤敏之さんに聞きました。
- 宮崎農民連「相談窓口」を開設
- 畜産農家がもっとも恐れている家畜伝染病・口蹄疫が宮崎県で発生した問題で、宮崎県農民連は、直接足を運んで激励するなど、「農家の窮状を救おう」と懸命のとりくみをすすめています。電話をかけると、人の行き来を自粛し自衛している畜産農家は「よくぞかけてきてくれた」と堰を切ったように話し始めます。4月13日には、「口蹄疫110番」の相談窓口も設置。14日、県連の村尻勝信書記長が上京し、農民連・畜全協が農水省に対して2度目の要請を行いました。
- 構造改善局の利権追及
- 私は、国会で大型公共事業の無駄をなくし、国民本位の予算の使い方に改めよと要求してきました。……
- 1等米を3等米扱いはひどい
- 酒米「山田錦」の1等米を納入したにもかかわらず3等米の仮渡し金しかもらえず、精算するよう再三督促しても何の返事もなく、困り果てていた兵庫県姫路市の福永英世さん(57)と神崎郡市川町の橋本義明さん(49)。兵庫県連の協力で4月3日、精米会社から189万5千250円の精算金を小切手で受け取りました。喜んだ二人は農民連の会員となりました。
- 原料原産地表示へ
- 安い中国産の梅を原料にした梅干しが増える中で、梅農家から強い要望が出た「梅干しの原産地表示」が、ようやく実現されることになりました。日本農林企画(JAS)協会の「加工食品の原料原産地検討委員会」(農水省が委託)が3月、報告書をまとめたもの。「加工の程度が比較的低く原材料がおおむね原形を留め」、特産地との関連が深いとして、当面は梅干しとらっきょう漬けの2食品が対象ですが、これに限らず幅広く検討していくとしています。
- 宮城で線下補償かちとる
- 今年二月、東北電力女川原発の主要変電所がある宮城県河南町広渕地区の「線下補償地権者組合」(地権者23人)が、農家1戸あたり最高400万円弱の補償をかちとりました。組合の立ち上げから約1年、電力側と交渉をかさね実現したもの。宮城県では、線下補償組合を結成し、農民側の要求が実現したのは今回が初めてです。
- アメリカ農民と遺伝子組み換え食品
- 「ラリー・フォー・ルーラル・アメリカ」(アメリカの農村のための集会)に参加する真嶋良孝さんと一緒に、3月19日から24日までワシントン・D・Cを訪問しました。ほんの短期間でしたが、アメリカの若い農民や活動家と交流し、遺伝子組み換え食品をめぐる実態をかいま見ることができました。
- おたより紹介
- 新聞「農民」の読者からのおたよりを紹介します。
- トラスト畑大豆で味噌づくり
- 豊橋市で有機・無農薬野菜の宅配をしている「自然問屋」では、今年も静岡・細江町農民組合と大豆畑トラスト運動に取り組み、恒例の味噌作りを3月16日から4日間行いました。
- 【この人】荒木紗和さん
- 「アセトンとって下さーい」。検査機器が雑然とならぶ農民連食品分析センターに、今年四月から働きはじめた荒木紗和さん(21)の明るく元気な声が響きます。
■2000年4月(号外)
- 固定資産税を取られ過ぎていませんか?
- 今年は3年に一度の固定資産評価替えの年です。多くの市町村では4月3日から23日(20日までもある)まで縦覧されます。役場(税務課)にいけば、所有者、または関係者であれば、誰でも閲覧することができます。
- 力を合わせて、重い固定資産税を引き下げよう
- いま、全国で固定資産税台帳の縦覧が行われています。この期間は市町村の役場にいけば自分の土地や家屋の課税台帳を自由にみることができます。印鑑をもって平成9年と11年と12年度の各人の課税明細のわかる名寄帳(課税明細表)のコピーを請求しましょう。本人以外の場合は委任状を請求される場合があります。
■2000年4月17日(第446号)
- 加茂川町 農家20人で組合結成
- 岡山県の中央、吉備高原に広がる御津郡加茂川町のPRと特産品を販売するアンテナショップが、JR岡山駅西口の岡山市奉還町商店街の空き家を改装して4月2日、開店しました。
- お店の名は「米工房ヒューマンファーマーズ」
- お店の看板に「日本の大地からの贈りもの 全国の農家より愛をこめて」と書かれた「米工房ヒューマンファーマーズ」という店が4月1日、埼玉県浦和市にオープンしました。
- 第2回農民連常任委員会が決めた当面の方針について(下)
- 前号からの続きです。
- 農業用施設の固定資産税「農地に準ずる」と答弁
- 私は東京で生産緑地が一番多い町田市に住んでおり、三年前から近くの農家から農地を借りて議員活動の合い間、友人とともに農業に親しんでいます。
- 設立お披露目会開く
- 3月27日の組合設立登記完了で「福島農民連産直農業協同組合」が誕生、翌28日に福島市の福島グリーンパレスでそのお披露目会が行われ、37名の来賓をはじめ162名が参加しました。
- 「混入ない」の証明にならぬ
- 「遺伝子組み換え食品いらない!キャンペーン」が昨年、コーンスナック菓子から安全性未確認のトウモロコシが検出されたと公表した問題で、農水・厚生両省は3月31日、「未確認品種は検出されなかった」との検査結果を発表。これに対し、「キャンペーン」から分析を依頼されたジェネティックID社(塙章社長)は4月5日、これをもって混入がないという証明にはならないとする記者会見を開きました。
- 国保税・介護保険料にも関わります
- 今年は3年に一度の固定資産評価替えの年で、多くの市町村で4月3日から課税台帳の縦覧が始まっています。固定資産税は、国保料(税)や介護保険料、相続税の課税の根拠にもなっており、農家の生活にも大きく影響します。生活を守るためにも、まず縦覧し課税台帳を確かめましょう。
- 多様な流通を共同で探求しよう(1/4)/(2/4)/(3/4)/(4/4)
- 工業製品の輸出のために日本農業を犠牲にする自民党政治は、WTO協定以後、農協を抱き込んで言葉巧みに農民をごまかし、コメ関税化、価格保障の全廃などの政策をいっそう激しく進めています。
- 大自然を満喫しませんか
- フキ、コゴミ、ゼンマイ、ワラビ、タラノメ、ウド、――長野・飯山の信濃平は、雪解けとともに一気に春を迎えます。ここには、昨年6月、全国にさきがけて結成された農民連民宿部会があります。今年のゴールデンウィーク、夏休みを大自然のなかで過ごしてみませんか。
- 女性部総会開く
- 和歌山・南部川農民組合女性部総会が3月7日、組合事務所で開かれ18人が参加しました。
- 「平和資料センター」建設で募金よびかけ
- 「平和憲法をもつ日本の首都東京に、平和博物館も平和資料センターもない」。嘘のような本当の話です。広島、長崎、沖縄には資料館があるのに、推定で十万人が死亡した東京大空襲について記念館一つないのです。こんな状況が罷り通ってきたのは、歴代の政府と東京都政の怠慢です。
- 畦に俳句を書きとめて
- 大地にどっしりと根を張り、農をうたい続ける俳人の尾堤(おづつみ)輝義さん(52)。埼玉県春日部市で露地野菜を栽培する専業農家で農民連の会員。埼玉県俳句連盟事務局長として県内俳句界の中心となって活躍しています。
- 農家の庭花が押し花アートに変身
- 私の家は水田が中心で、裏作にブロッコリー、キャベツ、ホウレンソウなどを作っています。押し花アートを始めたきっかけは、庭に咲いているいろいろの花が枯れるのを見て何かに活用できないかと考えていました。
- 「すずき産地」の八細工七貧乏
- 私が郷里の北茨城市にUターンしたのは、初めての子どもが誕生したとき。土の上で子育てをしたいと願ったことも動機でした。その子も今年高校生、丸15年が経ちました。当時、まだ両親は50歳代、現役バリバリでした。そこへ20歳代の息子夫婦が入り込んで、さていったい…。
- 劇団「銅鑼」が環境問題描く
- 朝日新聞の「天声人語」(4月3日付)でも話題になった東京の劇団銅鑼が、前回公演した「序章」につづいて、同じ平石耕一 作・演出で「樹々の息吹」を上演します。
■2000年4月10日(第445号)
- 農業にかける青春
- YAC(ユース・アグリ・クラブ)の佐々木ちひろさん(今春、岩手県立農業大学校を卒業=21)の卒業論文「キュウリ病害の効果的な防除方法」がみごと、農林水産大臣賞に輝き、県の防除方針の転換にまで結びつきました。青年部総会に参加した佐々木さんと、福島・須賀川のキュウリ農家の松川真奈美さん(25)、青年部長の菅井巌さん(31)の三人が、農業について大いに語り合いました。
- 口蹄疫 緊急対策とれ
- 宮崎市で口蹄疫(こうていえき)の疑いがある和牛が見つかった問題(3月24日)で、現地は家畜の移動禁止や市場閉鎖などで大混乱に陥り、全国の畜産農家に大きな不安を与えています。
- 第2回農民連常任委員会が決めた当面の方針について(上)
- 3月22〜23日に開かれた第2回農民連常任委員会は、第12回大会以後の「春の運動」を振り返るとともに、当面の重点として次の4つの活動を提起しました。
- “自主申告ができた”喜ぶ新加入者たち
- 青森・津軽農民組合は地元紙に2万4千枚のチラシを折り込んだり、税金学習会を12カ所で開いたり、「税金119番」の電話相談を開設するなど税金運動に取り組み、1月から3月末までに27人の農民組合員を増やしました。
- 食料自給率目標を掲げた基本計画は何を示すか
- 政府が閣議決定した基本計画をめぐって、多くの自治体が困惑しています。食料自給率45%を目指すというが…。――これをどう見るのか、農業問題研究者の井野隆一さんに寄稿してもらいました。
- “農業やるぞ”と夢語り合う
- 「心がけているのは、1分、1秒でも早く農場に出ること、農家とよく話をすること。農業を継いで2年目の昨年は売上が2倍になった。がむしゃらに働いてきたこの体が自慢です」――京都府美山町で3ヘクタールの水田、6棟のビニールハウスを営む小崎真弥さん(28)
- 浦和市場にも初出荷
- 「うちのお客は埼玉一だから、いい農産物を持って来てくれ」
埼玉県の上尾、大宮に続き浦和市場でも関東ネットワークを中心とした農産物の流通が3月27日から始まりました。
- 遺伝子組み換え技術は21世紀の救世主か、悪魔か〈下〉
- プッシュタイ博士は、スライドを写しながら組み換えジャガイモと非組み換えジャガイモを与えたネズミでは、次のような大きな変化が現れたと説明します。
- 「田の神様」のお面づくり
- 怒った田の神様、笑った田の神様、赤ら顔した田の神様。怖そうなのにどこか温かいユーモアのある大きなお面「田の神様」――茨城県内原町のオブジェ作家、松本定雄さん(62)のアトリエには、田の神様があっちにもこっちにもいっぱい。これまで作ったお面は千個を超えました。「反骨精神」旺盛、大自然に包まれた農村ならではの農民芸術を、と作品作りに取り組む松本さんを訪ねました。
- 【この人】笠原 尚さん
- 3月21日から産直運動全国協議会の事務局に入った笠原尚(ひさし)さん(24)。インターネットを使った生産物情報システムのデータ入力や管理などの実務をさっそくこなし、パソコンを操る頼もしい新人です。
- 各地の話題(各地でみそづくり盛ん)
- トラスト畑大豆使って/青年部・女性部が協力して
■2000年4月3日(第444号)
- 危機深刻!“アメリカを救え”
- 「アメリカの農村を救え」と、「ラリー(集会)・フォー・ルーラル(農村)・アメリカ」が、桜が満開のワシントン・D・Cで3月20日〜21日に開かれました。連邦議会議事堂前の広場に設営した大テントには、約3千人の農民とNGOが集まりました。この集会に参加した農民連の真嶋良孝事務局次長からの現地リポートです。
- 固定資産税引き下げのチャンス
- 多くの市町村で4月3日から固定資産税の課税台帳の縦覧が始まります。
税金申告の中で、茨城のレンコン栽培農家は3百〜5百万円の減収になるなど、農畜産物価格の低下で収入が大幅に減っている実態が各地で浮き彫りになっています。重税で苦境に立たされている農家に、さらに追い打ちをかけるのが固定資産税です。
- 「農用施設用地への宅地並み課税は違法」の判決
- 静岡県浜松市の農民連などの仲間21人が起こした裁判で、昨年4月に東京高裁は「農業用施設用地(家畜舎や堆肥舎、温室などの建つ土地)への宅地なみ課税は違法」との画期的な判決を下しました。
- 遺伝子組み換え技術は21世紀の救世主か、悪魔か〈上〉
- ネズミに遺伝子組み換えジャガイモを食べさせ、その危険性を初めて実証したイギリスの著名な生化学者アーパッド・プッシュタイ博士が来日。3月13日に都内で開いた「NGO国際集会」での講演や記者会見などで、自らの実験をもとに「人は歴史的体験から予防の原則を忘れるべきではない。無謀な取り返しのつかない冒険をして、そのあげく不幸に見舞われるのでなく、慎重に段階の原則を守っていくべきだ」と警告しています。プッシュタイ博士が行った実験は、われわれに何を物語っているかまとめてみました。
- 学校給食に地元の食材を
- 第1回地域創造フォーラム「オホーツクの食と農とくらしを結んで〜学校給食の『食教育』と地域の産業・生活創造の提起を考える」(主催・オホーツク地域自治研究所)が、3月18日、北海道北見市で2百人を超す市民が参加して開催。地場産の食材で作られたカレーライスや北見特産のハッカのシャーベット、小清水町産の小麦を主原料にしたパンなど、地元の手作り「食」を味わった後、基調講演とパネルディスカッションが行われました。
- 各地の話題
- 青年が中心に合宿交流会開く/「おいしい米づくり」の学習会開く/春うらら豊作ねがう稚児の舞い/育苗ハウスからスズメ追う新手
- 非遺伝子売り込みに懸命
- 「FOODEX JAPAN 2000 国際食品・飲料展(フーデックス)」が3月7日〜10日までの4日間、千葉県にある幕張メッセで開催されました。これは、ホテル・レストラン、フードサービス、流通・小売業界向け食品・飲料の専門展示会で、25回目になる今年の規模は過去最大。
- 手漉き和紙の卒業証書
- 雪深い長野県下水内郡栄村(高橋彦芳村長)の北信小学校で3月17日、卒業する6年生がつくった手漉き和紙の卒業証書を渡しての卒業式がありました。北信小学校は生徒数104人、うち6年生は22人という過疎の村の小学校です。
- 青年劇場4月公演『菜の花らぷそでぃ』
- 青年劇場は、日本の食文化と農業の未来を問う作品として「菜の花らぷそでぃ」を4月に東京で公演します。公演を前に原作『身土不二の探求』の農民作家・山下惣一さんを迎えて3月17日、東京・青年劇場稽古場で同劇団友の会春のつどいが開かれ、80人以上が参加しました。会場は、「菜の花らぷそでぃ」の舞台がセットされ、桜の花が満開という春爛漫の雰囲気。
- 『新・税務調査とのたたかい――100の心得』浦野広明・著
- 自自公政治の際限なき浪費と、その穴埋めに繰り返される強権的な税務行政。この攻撃をはね返し納税者の権利を守るたたかいを進める待望の武器『新税務調査とのたたかい 100の心得』が刊行されました。
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