吉野川流域事業めぐる構造改善局の利権追及緒方靖夫(参議院議員)
私は、国会で大型公共事業の無駄をなくし、国民本位の予算の使い方に改めよと要求してきました。
土地改良など口実に公共事業官庁といわれる建設省(公共事業予算の七割)、農水省(同二割)、運輸省のなかでも、農水省の公共事業は、使われない農道空港に象徴されるように、予算消化だけの農民に無縁のものが目立ちます。土地改良、防災対策などの事業名がつけられていることもあり、農水省のこれらの事業はこれまでほとんど無批判のままでした。公共事業をほぼ一手に担う構造改善局の内部会議でも、すでに以前から「大規模土地改良事業は、すでに飽和状態に達している」と言われてきました。農民が本当に必要とする土地改良は放置して、大規模事業に走るところに、大手ゼネコンと利権政治家と官僚を結ぶ利権構造があるのです。
農家を甘言で誘う構造改善局の非公共部門の腐敗については、昨年の国会で取り上げ、逮捕者も出ました。三月の予算委員会では、公共部門の腐敗の構造を示して追及しました。全国で二十もすすめられている農地防災事業で、徳島県吉野川下流域の事業(面積五千八百ヘクタール)を取り上げました。農家に「きれいな水が来る。事業での負担はいらない」(維持管理費の負担が重いことは隠している)と、甘言でもちかけ、幹線用水路六十五キロを敷くものですが、完成予定が二〇〇二年度を控えて十三キロ、二〇%しかできておらず、完成のめどがたたない。事業費も当初の五百五十億円が完成時には、二・五倍にも膨らむ。県と市町村の計画との連動不備の計画のため完成しても水がゆきわたるかどうか不明という事業だと農水大臣に突きつけましたが、まともな答弁が出来ませんでした。
内部告発をうけてこの事業への中四国農政局からの発注工事をめぐり、建設談合が繰り返されているとの内部告発が私に寄せられ、調査したところ過去三年間の契約実績では落札率(予定価格に対する契約金額の割合)は、平均九八%と異常に高く、複数回入札が繰り返されても一番札を入れた同じ業者が落札するという事態も判明。
疑惑の人物が政界へ農水大臣は、発注官庁としての責任を投げ捨てて、調査を拒否しましたが、私は公正取引委員会に告発しており、その後、同僚の笠井議員も追及、調査が行われ、事態が明白になるでしょう。この事業のマスタープランを作成した際、県の担当課長で、その後、農水省防災課長、建設部長、構造改善局次長として担当してきたOなる人物が次期衆院選に徳島一区から立候補を予定している自民党の新人候補です。「徳島については公共事業をどっさり取ってくる」と公約、吉野川事業受注関係業者に大量のパーティー券を売りさばくなどの利益誘導を行っています。まさに日本をダメにした利権構造を絵に描いたように示しています。こうした姿が、全国いたるところにあるのです。
(新聞「農民」2000.4.24付)
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[2000年4月]
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