「農民」記事データベース20000424-447-04

口蹄疫

宮崎農民連「相談窓口」を開設

急がれる検査・補償


 畜産農家がもっとも恐れている家畜伝染病・口蹄疫が宮崎県で発生した問題で、宮崎県農民連は、直接足を運んで激励するなど、「農家の窮状を救おう」と懸命のとりくみをすすめています。電話をかけると、人の行き来を自粛し自衛している畜産農家は「よくぞかけてきてくれた」と堰を切ったように話し始めます。四月十三日には、「口蹄疫一一〇番」の相談窓口も設置。十四日、県連の村尻勝信書記長が上京し、農民連・畜全協が農水省に対して二度目の要請を行いました。

肥育農家に切実な仔牛検査

 四月十日に三例目の擬似患畜が見つかったことで、半径二十キロの移動制限圏内では、四月いっぱいの出荷が絶望的になりました。ここは子牛生産の一大産地で、母牛五頭以下の、しかも高齢化した繁殖農家がたくさんいます。この人たちがやめれば、畜産王国・宮崎は崩壊します。

 JAは、移動制限が解除された後も、県外との取引が少ないと思われることから、県内の肥育農家へのあっせんをすることにしています。しかし肥育農家にしてみれば、感染していないことが確認された子牛でなければ恐くて引き取れません。ところが、その検査が全然追いついていないのです。いま血液を東京の家畜衛生試験場に運んで検査していますが、現場でやれる体制をつくってほしい―これが切実な要求です。

出荷できない家畜の補償を

 移動制限地域では、人工受精士の活動も止めているため、家畜が発情しても受精できず、農家は今後の出荷の見通しが立ちません。国は、利子一%、三カ月後に全額返済という緊急融資対策を示していますが、「これではまったく役に立たない」と、農家からは不満が続出しています。

 西都農協は、三月中に出荷予定の子牛について、一頭あたり二十万円の仮払いをするという思いきった措置をとりました。国・県は予算をつけ、これをもっと大規模に、市場の平均価格(発生前は約四十三万円)の全額を補償すべきです。

安全なエサの確保も緊急に

 ある農家は「中国産麦ワラ三トンを、三日かかって焼却した。エサが底をついている」と語っていました。感染源の可能性が高い輸入ワラを処分し、輸入をストップするのは当然です。しかし現場では、エサが不足しています。当面、安全なエサを調達できるルートを国・県の責任で確保することが緊急の課題です。

 同時に、国内産の稲ワラを畜産農家が利用できるようにすること。宮崎ではすでに早場米の作付がほぼ終わりましたが、四割におよぶ減反の強制をやめ、稲作農家が余裕をもって営農できる米価の保証、そしてワラ流通にかかる運賃への助成などを要求します。

(新聞「農民」2000.4.24付)
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2000年4月

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