「農民」記事データベース20000410-445-02

口蹄疫 緊急対策とれ

農民連・畜全協 農水省に申し入れ


 宮崎市で口蹄疫(こうていえき)の疑いがある和牛が見つかった問題(三月二十四日)で、現地は家畜の移動禁止や市場閉鎖などで大混乱に陥り、全国の畜産農家に大きな不安を与えています。宮崎県農民連は県に対して緊急対策を要請(二十八日)。また二十九日、農民連と畜全協は、感染経路の解明や、感染源の可能性が高いワラ・肉類の輸入禁止、近隣家畜の緊急検査、農家経営と生活維持のための支援などを、農水省に申し入れました。

 口蹄疫は、人がかかることはなく、また感染した家畜の肉を食べても人体への影響はありませんが、牛や豚、羊などが感染する伝播力がきわめて強い、畜産農家がもっとも恐れている家畜伝染病です。九七年に台湾で大流行した時には、台湾中の豚の四分の一以上にあたる千四百万頭を殺処分にしています。

 農水省は発見後、ただちに患畜を殺処分するとともに、半径五十メートル圏内を遮断、同二十キロメートルの地域を移動制限にし、さらに五十キロメートル圏外への生きた家畜の搬出を制限、宮崎・熊本両県の八家畜市場を閉鎖しています。同時に、宮崎県は二十キロメートル圏内の全ての肥育牛農家を検査し、国・県は、低利融資などの経営支援を行うとしています。

 しかし、一九〇八年以来口蹄疫の発生がない日本で、どうして突然発生したのでしょうか。その可能性の一つが輸入ワラです。農水省は、台湾のワラの輸入を、大流行後もたびたび発生しているにもかかわらず、九八年七月以来解禁してきました。中国、韓国についても同様です。その点で、農水省の責任は重大です。

 申し入れでは、千葉県の養豚農家の熱田正行さんは、そのことをきびしく追及し、「全国の農家に残っている輸入ワラを、農水省が補償して全部焼却処分にすべき」と提案。畜産局衛生課の杉浦勝明課長補佐は「提案を重く受け止め、検討する」と回答しました。

 また、発見直前に近隣市場で取引され、全国に散らばった家畜を厳重な監視下に置くこと、口蹄疫発生に起因するあらゆる被害について、農家の立場に立って補償することを合わせて要請しました。

(新聞「農民」2000.4.10付)
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2000年4月

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