「農用施設用地への宅地並み課税は違法」の判決静岡・浜松の勝訴の教訓生かそう
静岡県浜松市の農民連などの仲間二十一人が起こした裁判で、昨年四月に東京高裁は「農業用施設用地(家畜舎や堆肥舎、温室などの建つ土地)への宅地なみ課税は違法」との画期的な判決を下しました。 原告の一人で農民連会員の兼子保峰さんは「路地野菜を作っている。堆肥舎が調整区域にあるのに宅地なみ課税がかけられた。九四年の評価がえの時に審査を申し出たが、棄却され、裁判を起こした。総額で八%ほど安くなり、国保税も引き下げられた。これから相続もあるので、評価が下がれば少しは経営が楽になる。今年もみんなと縦覧していく」と語っています。 この判決にあわてた政府は、「固定資産評価基準」を改定し、調整区域と農用地区域の農業施設用地、生産緑地内の宅地を「農地評価額を基準とし、造成費を加算した価格で評価する」としました。市町村は、評価基準を守ることが義務づけられ、守らないと違法になります。政府は似たような通達を九六年に出していますが、市町村は重税を追求するために宅地なみ課税にこだわり、採用割合は全国平均一四・八%にとどまっています。 「農地評価額を基準」といっても、加算する「造成費」によっては、評価額が宅地なみになりかねません。「造成費」について自治省は「市町村の判断」と言っています。宅地なみではなく農用施設用地にさせるには、私たちの取り組みにかかっています。
農地はこんなに増税になる「なぜ農地だけ税金がこんなに上がるの」と、農家は各地で悲鳴の声を上げています。それもそのはず。三大都市圏の市街化区域農地ばかりでなく、全国の市街化区域農地に重税がかけられているからです。今の制度が変わらない限り、三年後に一・三倍、九年後に二・四倍になります。しかも今年の評価がえでは、全国の指定市町村の基準となる田畑の新評価額は上げられているところがあっても下げられていません。
(新聞「農民」2000.4.3付)
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[2000年4月]
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