卒業生22人みんなで作った手漉き和紙の卒業証書雪深い長野・栄村 北信小学校
雪深い長野県下水内郡栄村(高橋彦芳村長)の北信小学校で三月十七日、卒業する六年生がつくった手漉き和紙の卒業証書を渡しての卒業式がありました。北信小学校は生徒数百四人、うち六年生は二十二人という過疎の村の小学校です。 学校の近くに住み、いまは少なくなった和紙の「内山紙」を生産する広瀬進さん(農民連会員)の指導で六年生はこれまでに、紙の原料となるコウゾ刈りから皮剥ぎ、雪ざらし、細かくついて繊維にする一連の作業をして準備してきました。 外はどんどんと雪が降りつもる二月八日。小学校の作業場で、コウゾと接着剤となるトロロアオイをいれた原料を、村の振興公社から借りた小さな舟に入れます。広瀬さんの親切な指導で紙漉きの簾に平均になるようにチャッポン、チャッポンと漉いて厚紙にして三回重ねていきますが、なかなかうまくいきません。 冷たい水に手は真っ赤。子どもたちに感想を聞いても、「ぜんぜんだめです」といいながらも自分の卒業証書となることもあってか真剣、だれも音をあげません。広瀬さんも「たいしたもんだ」と感心するほど上手になっていきました。 卒業式に村議として出席した広瀬さんは「今回は初めてということもあり、私の家のコウゾを使ったが、学校側は来年以降も続けたい、本格的にコウゾを植えることから始めたいといっている。道具一式もそろえ、毎年卒業生がやるとなれば、子どもたちに楽しい思い出ができるし、技術の継承もできる。伝統産業をふくめて技術は、まわりに少しでも経験した人が多くいるのがいい。そうすればそのなかから後継者もでてくると思うんだ」と語っています。
(T/新聞「農民」2000.4.3付)
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[2000年4月]
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