農業にかける青春大いに語るヤングたち農林大臣賞に輝いた佐々木ちひろさんを囲んでYAC(ユース・アグリ・クラブ)の佐々木ちひろさん(今春、岩手県立農業大学校を卒業=21)の卒業論文「キュウリ病害の効果的な防除方法」がみごと、農林水産大臣賞に輝き、県の防除方針の転換にまで結びつきました。青年部総会に参加した佐々木さんと、福島・須賀川のキュウリ農家の松川真奈美さん(25)、青年部長の菅井巌さん(31)の三人が、農業について大いに語り合いました。
イボイボがないキュウリなんて腹が立ちます佐々木 私は東京の非農家出身なんですけど、岩手に行く前は最初は農薬をすごく毛嫌いしていたんです。でも五アールのキュウリを一人で栽培してみて、使わない努力も必要だけど、農家も農薬の勉強して、適正な薬をより有効に選択する力も必要じゃないかと思うようになりました。菅井 今までなかった病害虫が増えたり、効かなくなったり、イタチごっこが続いてるなぁ。俺は稲作だけど、農薬も一発除草とか省力化してるよね。 松川 そうですね。でもできるだけ使いたくない。土作りをしてきたからか、この頃はなるべく使わないでもできるようになってきました。私はインゲンとか豆類が大好きで選別まで全部担当しています。キュウリは朝晩収穫はあるし、選別が大変で両親にお願いしています。 佐々木 キュウリは一日休んだらもう、お化けですよね。ちょっと採り忘れてるのがあるとヘチマかっていうぐらい(笑い)。選別、箱詰めまでするんですか。 松川 そう。 佐々木 私は初め、うまく箱詰めできなくて。長さを計って箱の中で動かないようにきっちり詰めて。少しでも恰好良くみせるためにはどうするかとか。 松川 そうそう。重さもランクがあって、雨の後だとすごく重かったり。 菅井 キュウリはあのイボイボが新鮮さの証で、命だよね。 佐々木 スーパーではもうほとんどイボが無い。こんなの売ってるのってすごく腹がたってきたり(笑い)。
母の実家の農作業を手伝って「これだ!」と…菅井 農業に興味を持ったのはいつ?佐々木 母の実家が鹿児島のお茶農家で、農作業を手伝って「これだ!」と。岩手に行ったのは、民族舞踊に興味があって、岩手はそういう文化がたくさんあるから面白いなと思って。 菅井 見に行った? 佐々木 八月の「みちのく芸能祭り」は岩手県じゅうの民舞が集まるお祭りで、鬼剣舞とか獅子踊りとかすごく迫力があって面白いですね。 菅井 四月からは? 佐々木 国立の農場の技術官に就職します。研究者の研究をサポートする農作業が中心です。これからも農家の役に立つような研究をして、それを農家の人達に伝えていけたらと思っています。
作物の顔を毎日見られる専業ができればいい…佐々木 今回、農薬の研究をしてみて、農業は自然界にはあり得ない形をつくっているわけですから、そのためにはある程度、農薬を使わなければできないと思うようになりました。農薬ってどんどん出てくるので、行政や農協だけに評価を任せずに、農家の人達も経験とか予備試験とか自分で行ってみて、いい選択をしてできる限り農薬の使用量を削減して行ければいいなって思うんですね。 もちろん、よく観察をして、ふだんの管理とか、植える間隔を広げて風通しをよくして、キュウリを丈夫にしておくとか、いろいろな心掛けでもっと農薬は減らせるし、上手に利用できると思うんです。 菅井 そうなんだよ。価格が一定安定して、農家はそれでやっていければ、十分観察もしていけるんだけど、やっぱり兼業せざるを得ない状況だからなぁ。 佐々木 それにはやっぱりどうしても土日だけではみきれない。農産物価格もそうですけど、専業でできればいいのにって思います。そうすれば、作物を毎日顔をみながらやっていけるから、薬を散布するタイミングもわかるし。 菅井 農業技術も、農家あっての技術だから、使っていく農業者をどれだけ増やしていくかってことが肝心な所だよな。自然農法とか農薬を使わない人達も含めてね、日本の農業守ろうよっていう動きを大きくしていくことが必要だと思うんだよね。 松川 自分は農家で、親からの土地も機械もあって、恵まれた環境で自分の好きな農業ができて、だから大切にしなきゃいけないって思っています。ちひろさん、ぜひ須賀川に来てくださいね。
(新聞「農民」2000.4.10付)
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[2000年4月]
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