日本のみかんを守ろう危機打開へ愛媛でシンポ「これじゃ暮らしていけない」「みかんはもうダメだ」――みかんの価格が大暴落し、農家手取りは再生産価格の三分の一にも届かず、地域経済にも大きな影響を与えています。
激増する輸入、価格は暴落…“これでは生きられぬ”農協、自治体関係者も参加「地域経済再生策を」産地によって多少の差があるものの一キロ二十〜五十円という暴落価格は、収穫の労賃すらまかなえず、従来、経験したことのない事態。収穫されない園地が広がり、しかも、農薬、肥料代にもことかくほか、国保料、用水事業などの支払いが重くのしかかっています。 こんなに増えた!果物輸入 1999年果物輸入量(大蔵省通関統計より抜粋)
輸入生鮮果実ドッと店頭に価格低迷の一因は、グレープフルーツ、オレンジ、バナナなどの生鮮果実が年間百七十万トン〜百八十万トンも輸入され、昨年九月末から十月の国内産の極早生みかんの出荷時期にオーストリア産のマーコットオレンジが店頭に並び、極早生みかんの品質の悪さも重なったため。これに加え、オレンジ、リンゴ、ブドウのジュースが年間二十七万トンも輸入され、国内産柑橘の消費が伸び悩んでいることも見逃せません。こうしたなかで四月九日、日本一のみかん産地である愛媛県西宇和郡保内町で「みかん危機打開、地域農業再生をめざすシンポジウム」が開かれ、地元の生産者をはじめ、近隣の各農協の幹部、自治体関係者など二百三十人が参加しました。主催は農民連愛媛県連、愛媛産直協同センター、八四農民組合、日本共産党愛媛委員会。
輸入依存やめ価格・所得対策をパネラーは四人。地元・保内町のみかん生産者で農民連県連副会長の二宮浩さんは「各自治体などを回ると『屈辱的な大暴落だ。みかん生産者の主権や生活を無視したものだ。自分たちの生活費はどうしたらよいのか』と言われる。途方にくれながらも、みかんの木に向かってグチをこぼしに畑に行くしかない。一人の声は小さいが集めると大きくなり、国民の理解を得て行政を動かすことができる」と実態を報告。農民連生産流通対策部の佐藤龍雄さんは「生産者だけのことでなく、市場関連業者にも重大な問題だ。輸入農産物は市場内外で激増し、生産や価格にも大影響を及ぼしている。これでは、市場機能が損なわれ、正当な価格形成ができなくなってしまう。いま市場は“ロット(量)が大きければ”ではなく、小さくても新鮮、味、安全などしっかりしたものを生産し出荷してくれる生産者・産地を期待している。野菜・果物のなかで購入量のトップはみかん。『食べやすい、おいしい、健康的』なみかんをもっとアピールしよう」と強調。松山市の主婦・渡部玲子さんは「みかんには栄養がたくさん含まれており、食べて健康で長生きできることをめざしたい」と発言。 日本共産党衆院議員の春名なおあきさんは、食料輸入依存政策を転換し、WTO協定の改正交渉を政府に義務づけ、農産物価格の市場原理万能主義を改め、農家の経営を安定させる価格・所得対策を重視し、危機打開をはかる立場を明らかにしたあと、「みかん産地を守るために政治の流れを変えよう」と訴えました。
生産者の悲痛な声受けとめてみかん農家は、グレープフルーツやオレンジ果汁の輸入自由化や消費不況などで経営と暮らしを圧迫され続けてきました。今回、シンポを開催することになったのは、みかん農家の悲痛な叫びを農民連がしっかりと受け止めたからです。県連が主体となってこうしたシンポを開くのは事実上初めてなので、みかん産地の組合員の全員集会を開くなど、全力をあげてきました。また、宣伝も地元紙への折り込みをはじめ、各農協などに合計二万枚のチラシを配布。有線放送でも案内してもいらいました。シンポの成功を生かし、みかん主産県にも呼びかけ、政府との交渉を行うなど、危機打開の運動を強めていくことにしています。
(新聞「農民」2000.4.24付)
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[2000年4月]
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