「農民」記事データベース20120827-1034-10

分科会

生産と多様な流通、
地域活性化と仲間作り

秋田県農民連 小林 加奈子さん

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そばづくりで“町おこし”

加工・販売まで広げ仲間増やす

 秋田県能代市の鶴形地区は、昔、米が作れる平たんな土地は少なく、そばなら傾斜した土地でも作れるということで、ソバを作付けする農家が多かったようです。そばだけでは栄養が足りないので、豆乳を加えて作っていました。そば粉と豆乳の割合は家庭によってさまざまですが、この作り方は昔からの知恵です。以前はどの農家でも作っていましたが、高齢化で今は少なくなりました。

 2004年に鶴形地区そば生産組合を立ち上げました。折りしも、市から鶴形町づくり協議会へ参加してほしいという声がかかり、「やっぱり鶴形はそばだよね」ということで、鶴形そばを中心にまちおこしをやることになりました。

 市主催のマーケティング支援の研修会に参加しましたが、そこで「今までは空と土だけ見ていればよかったが、これからの時代は消費者を見る必要がある」などいろいろ勉強しました。農家はものを作り、それを人に分けてあげることは得意ですが、売ることは苦手です。翌年の2005年に、そばを作る農家3人、作らない農家2人、そしてお母さんたち5人の計10人で加工組合を立ち上げました。同時に、お父さんたちで作業委託組合をつくり、そばの刈り取り、乾燥調整、製粉などそばの加工から販売まで行うようになりました。

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地域のお母さんたちとそばづくりに忙しい小林加奈子さん(中央)

 そば生産は当初10ヘクタールでしたが、昨年で21ヘクタールになりました。コンバインも3台購入し、農家の刈り取り依頼だけでも30ヘクタールになり、合計51ヘクタールです。販売できる業者でないと、戸別所得補償制度から助成金がもらえません。

 昨年の年越しそばは、2トンの玄そばを使いました。26人が12月25日から31日まで働き、今年1月6日には初めて新年会をしました。時給も20円アップできたので、みんな喜んでくれました。

 45歳以下の人を2年間雇用すれば、国から150万円もらえる助成制度があります。でも、そういう人はなかなかいません。若い人を仲間に迎えて伝統のそば作りを伝えていくことが、自分たちの仕事だと思っています。

 今年から農業生産法人になり、できる限り耕作放棄地を作らないよう、地域のみなさんと協力し合いながらがんばっていきたい。

(新聞「農民」2012.8.27付)
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2012年8月

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