農民連の要求と提言(7/7)
―今こそ食料自給率の向上に踏み出す時、
農業・食糧政策の大転換は待ったなし
2009年6月 農民運動全国連合会
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地域経済のたてなおし、内需型経済への転換、地球温暖化対策の強化のため、食と農の国民的共同を
日本の農地と農民には、立派に国民の食を支える力があります。09年の「食料・農業・農村白書」は主要国の農地1アールあたりの供給カロリーを比較する試算をのせました。これに採草・放牧地を加え、さらに国民1人あたりのカロリー摂取量を考慮して試算すれば、日本の農地の実力は、アメリカの11倍、オーストラリアの85倍にもなります(図4)。アジア・モンスーンの自然条件と水田の持つ高い生産力は明らかです。問題は、この力を存分に発揮させる政治が行われてこなかったことにあります。
政府・与党は財界と二人三脚で、これまで農業をつぶしてきた責任は棚に上げて、“耕作放棄地が増えたのも、自給率が下がったのも、日本の農民と農業に力がないからだ”“これからは、大企業に農業を担ってもらうしかない”とばかりに、09年6月には企業に農地支配を許す農地法の改悪を強行するという悪政の上塗りをしました。さらにWTO交渉のなかで、ミニマム・アクセス米を5割も増やす提案を受け入れた前歴があり、日本農業の息の根を止めかねないオーストラリア、アメリカ、中国との自由貿易協定・経済連携協定(FTA・EPA)の締結をねらっています。
自動車や電器を売りまくって外需にどっぷり依存してきた日本経済は、いま深刻な危機に直面し、雇用不安が列島を襲っています。日本は、その見返りに世界最大の食糧輸入国、「買い食い大国」になりました。その結果が食の安全をめぐる国民的な不安であり、温室効果ガスの大量排出による地球温暖化でした。
「職」と「食」、そして生きとし生けるものの生存基盤である地球をさらに危機に追い込むやり方――「新自由主義」的な政策を、いま大転換するときです。
私たちは、人間の生存に絶対に欠かせない食と農を守り、地域経済のたてなおし、内需型経済への転換、地球温暖化対策の強化のため、以上の政策の実現を政府に強く求めるとともに、食と農の国民的な討論と共同をよびかけます。
(新聞「農民」2009.6.29付)
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