農民連の要求と提言(1/7)
―今こそ食料自給率の向上に踏み出す時、
農業・食糧政策の大転換は待ったなし
2009年6月 農民運動全国連合会
関連/農民連の要求と提言(1/7)
/ (2/7)
/ (3/7)
/ (4/7)
/ (5/7)
/ (6/7)
/ (7/7)
命の糧である食と農が、いま根本から揺らいでいます。
日本の農民は「水よりも安い米」の生産を強いられ、農業経営を続けられない危機に直面し、消費者は、農薬入り冷凍ギョーザや汚染米、遺伝子組み換え食品の不安にさいなまれています。長年の自民党政権のもとで農産物の輸入自由化が進められ、国民の食糧を際限なく海外に依存する政策が進められてきた結果です。
一方、飢餓人口がついに10億を突破するなど、世界の食糧危機はますます深刻です。日本の食料自給率が40%という異常な水準に落ち込んだ結果、世界の人口のわずか2%の日本が国際市場に出回る食糧のうち10%を輸入しています。「世界が100人の村だったら」流にいうと、たった2人の村人が市場に出回る食糧の1割を買いあさり、その結果、15人が飢えていることになります。
いまこそ、世界最大の食糧輸入国・日本が食料自給率の向上に踏み出して、食をめぐる国民的な不安と世界的な食糧危機を打開し、農山漁村を再生する政策に大転換する時です。
農民連は、国民のみなさんと共同し、農業・食糧政策の大転換を強く要求します。
食料自給率の向上を最優先課題に
地球温暖化による異常気象や、人と車が食糧を奪い合うバイオ燃料ブーム、投機マネーと巨大アグリビジネスの暗躍による国際農産物価格の暴騰によって、アフリカやアジア、中米の食糧危機はいぜんとして深刻です。日本でも、輸入に依存する食料品や飼料が高騰し、深刻な不況に拍車をかけています。2008年後半に一時的に穀物相場が下がりましたが、再び投機が繰り返され、大豆や砂糖価格が急騰しはじめており、国際機関や農水省の見通しでも高値が中長期的に続くことは必至です。
国連食糧農業機関(FAO)は、2009年上半期だけで飢餓人口が1億500万人増えて、10億人を突破するという見通しを示しました。2015年までに8億の飢餓人口を4億に半減させるという1996年食糧サミットで定めた目標の達成は22世紀半ばになるとさえいわれています。
もはやお金さえ出せばいくらでも食糧を輸入できる時代ではなくなったのです。また、大量の石油を浪費して長距離輸送する農産物の輸入は、地球温暖化を防止するうえからも許されません。中国製冷凍ギョーザなど食の安全をおびやかす事件が相次ぎ、消費者からも輸入依存に批判の声が上がっています。
いまこそ、食料自給率向上を国政の最優先課題にする時です。国民の世論は「食料自給率を高めるべき」が93%、「外国産より高くても国内で生産すべき」が94%にも達しています(内閣府世論調査、08年9月実施)。
農民連は、自給率を当面50%以上に回復させ、60%、70%をめざして、次の政策を実現することを要求します。
(新聞「農民」2009.6.29付)
|