農民連の要求と提言(4/7)
―今こそ食料自給率の向上に踏み出す時、
農業・食糧政策の大転換は待ったなし
2009年6月 農民運動全国連合会
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提言3 当面、自給率を50%以上に回復し、60%、70%をめざす
歴代自民党政権と財界は、アメリカの食糧戦略のもと、「自動車などの工業製品を輸出し、農産物を輸入すればいい」という政策をとりつづけてきました。その結果、食料自給率はカロリーベースで40%、穀物は27%にまで落ち込み、さらに果実で43%、砂糖33%、肉類56%など、主食から副食・デザートまで、全面的に急激に落ち込んでいます。
軍事戦略でも食糧戦略でも日本を従属国として扱ってきたアメリカは、今になって「食糧を自給できない国を想像できるか? そんな国は、国際的な圧力と危険にさらされている国だ」(ブッシュ前大統領)と言い放っています。世界的に食糧危機が進み、お金さえ出せばいくらでも食糧を輸入できる時代ではなくなっただけに、ブッシュ前大統領の開き直りと恫喝(どうかつ)は、たわごとではすまされません。
08年6月、ローマで開催された世界食糧サミットで福田首相(当時)は「世界最大の食糧純輸入国であるわが国が、自給率の向上を通じて、世界の食糧需給の安定化に貢献できるよう、あらゆる努力を払う」と宣言し、40%のカロリー自給率を50%に引き上げることを公約しました。麻生首相も08年末、これを引き継ぐ工程表をつくりました。
しかし問題は、これを本気になってやるつもりがあるのかどうかです。「麻生工程表」を具体化するために各省庁の高級官僚を集めて結成された「農政改革特命チーム」では、「自給率の数字はプロパガンダ(宣伝効果)でしかない」「カロリー自給率なんてやめてしまえとまで言わないとしても……(国内生産だけでなく輸入の安定的確保を組み合わせた)自給力で議論する方が建設的だ」などなど、首相が公約した「カロリー自給率引き上げ」を冷笑し、ひっくり返す議論が続出しています。
政府・自民党の「自給率引き上げ」公約は、07年参院選での大敗に端を発する「農政重視」ポーズの性格が濃厚ですが、総選挙を目前にして、高級官僚たちがこういうことを公言すること自体に政権末期ぶりが示されています。「総選挙が終わったら50%は消えてなくなった」などということのないよう、監視と運動が求められています。
農民連の提案
(1)自給率向上のカナメは小麦、飼料穀物、大豆の増産です。水田の力を全面的にいかす米の多面的利用に力を入れ、これらの戦略作物に手厚い支援を行えば、自給率を当面50%以上に引き上げ、60%、70%を展望することは十分に可能です(表1)。
(2)これは、アメリカの「食糧戦略」からの自立と、地球温暖化にともなう食糧供給の不安定化からの脱却を実現し、世界的な食糧危機の克服に対する貢献になるでしょう。
(新聞「農民」2009.6.29付)
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