「農民」記事データベース20041213-664-11

農業・食糧をビジネスチャンスにする大企業のねら
いに抗し、国民の期待に応え、農業と農山村の復権
めざす「もう一つの流れ」を強く大きくしよう!

農民連第十六回定期大会決議(案)(6/8)

二〇〇四年十二月一日 農民運動全国連合会常任委員会

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六 主体的力を強く大きく――組織を拡大し、新聞「農民」読者を広げよう

(1)今日の情勢のもとでの農民連の役割

 新たな農産物の自由化攻勢や「農業構造改革」という重大な情勢のもとで、農民の苦悩の深まりはかつてないものがあります。

 日本農業の自主的発展をめざしてたたかう農民連は、今日の農業破壊攻撃を批判し、国民と連帯して農業を再生する展望を打ち出し、実践してきました。農民連の活動は、政治や行政、農業団体に少なからぬ影響をあたえ、農民、国民のなかでの共感と期待を高めています。

 財界の利益を最優先した農業破壊の流れではなく、国民の願いに応えて国内生産を拡大して自給率を向上させる農政を望む「もう一つの流れ」を拡大するための主体的力をどうつくるかが鋭く問われています。果たしている役割や期待に比べて小さすぎる組織を飛躍させることが組織問題の焦眉の課題です。

(2)生産の拡大を何よりも重視した、すべての農家に開かれた農民組織をめざして

1 兼業農家や高齢化した農家、女性を組織

 農業再生と生産拡大のためには、専業農家の経営が成り立つ政策が重要です。同時に、政府が切り捨ての対象としている圧倒的多数の層を生産から排除するのではなく、担い手として支援して力を引き出すことが決定的に重要です。現に、こうした人たちがさまざまな困難を乗り越えて生産を支え、地産地消を発展させる力となり、高齢化した農村社会の担い手として重要な役割を果たしています。高齢化や兼業が多数だから展望がないのではなく、この層を生産の担い手にするかどうかは、私たちの組織的展望と深く結びついていることをしっかり確認しましょう。

2 多様な条件の農家が参加できる組織

 高齢者をはじめ、多様な条件にある人が農民連に加入して、条件をいかしながら生産をはじめ、多様な運動にいきいきと参加できる組織になることが重要になっています。

 販売額が小さい農家の会費の減免、条件に応じて日常的に運動に参加できるようにするための組織のあり方、生産・直売所などのグループを組織することなど、組織的改善が必要です。

 また、生産や出荷の助け合い、耕作放棄地を拡大しないために、生産が困難になっている農家の対策や、農地を組織として活用すること(生産法人化も含めて検討)、そのための支援組織づくり、また、高齢化した農家の暮らしをお互いに援助できるようにすることなど、運動の面でも高齢者などに配慮したとりくみが必要になっています。

3 専従者を配置した単組づくりと、すべての市町村への支部づくりを

 生産の拡大や、多様な販路を生かした運動を前進させるためには、専従者を配置して日常的に活動する自立した単組をつくることが重要になっています。こうした体制なしに運動への参加をよびかけても農家から信頼されないでしょう。

 同時に、単組をひとくくりにした組織ではなく、すべての市町村単位に支部を確立し、会員が自主性を発揮し、助け合って運動に参加することが大切です。それは、自治体の広域合併が進められているもとで、自治体への要求や提案を行うためにも重要です。自治体の規模が大きい場合は、複数の支部にすることも必要です。そして、支部から単組役員が選出され、本部や都道府県連の方針を地域の条件や農家の要求に即して具体化した単組の方針を支部に伝えたり、農家の要求を単組に反映できるように「足場」をもって活動することが、生きた組織づくりにとって大切です。支部の規模に応じて日常的に夫婦で参加できる「班」をつくって運営しましょう。

4 運動と事業について

 生産と販売に関わる運動は、事業の視点だけではなく、運動の視点なしには前進させることはできません。それは、77兆円といわれる食品市場を独占しようとする大企業の戦略に抗して国民の食と農を守る合意を広げ、共同のネットワークを広げること、また、ものをつくってがんばる農家を増やすことを通してこそ事業も運動も前進できるという、運動の課題と深く結びついているからです。同時に、生産、販売、流通、経理など、事業を進めるための専門的蓄積なしには前進できません。事業と運動が相互に位置づけあい、乗り入れながらとりくみを進めましょう。

5 農民連の活動を知らせ、対話と呼びかけを広げよう

 いま、農民連の主張や実践が農民や農業団体の要求と接近し、農民連の運動に対する共感が広がっています。運動の発展のなかで蓄積してきた農民の要求を実現するノウハウと力を生かせば、広範な農民を結集する展望があります。

 「準産直米」や、ものづくり運動、消費税対策をはじめとした税金など、多様な要求運動への参加を通して会員が増えている教訓は、その条件があることを証明しています。

 しかし、条件があっても、拡大は独自に組織的にとりくまなければ前進しません。会員拡大を前進させるカギは、都道府県が計画と目標を決め、確固としてやりきる構えを明確にすることです。また、具体的要求による対話や呼びかけを増やすこと、広範な農家に農民連の活動を知らせる宣伝とともに、会員のつながりを生かすことです。奈良県連など、日常的に会員拡大を前進させている組織に共通する教訓もここにあります。

(3)会員と新聞「農民」読者拡大について

1 都道府県連と単位組織の年間計画づくりを

 すべての都道府県連と単組が会員と新聞「農民」読者を拡大する計画をつくることを呼びかけます。計画は、単に数字を決めるだけにとどめず、具体的な要求運動や単組の目標、どの地域に組織をつくるかなど、大きな志をもった青写真づくりです。

 本部としては、農村での多数者に接近する当面の目標として、会員拡大では現在の組織現勢比で「   %増」、新聞「農民」読者では三万人の峰を一日も早く達成し、五万人をめざして奮闘することをよびかけます。

2 都道府県連に「組織拡大推進本部」を設置し、役員を先頭に日常的・計画的なとりくみを

 会員・読者拡大を一般的活動ではなく、文字通り活動の中心に据えて日常的に推進しましょう。そのために、本部と都道府県連に「拡大推進本部」をつくり、役員を先頭にとりくみを推進しましょう。

 本部は、常任委員が実践の先頭に立つとともに、任務を分担してブロックや都道府県連への援助を強化します。また、月単位に運動の状況や教訓を集約し、ニュースや資材の発行、新聞「農民」でのキャンペーンなどを進めます。

3 新聞「農民」の紙面、見本紙を生かした読者拡大を

 月一回のカラー化や大文字の採用など、紙面の改善は読者拡大を進める有利な条件を広げています。また、農家にとって新聞「農民」は、米問題の動向や農政の展開がわかる唯一の新聞であり、経営戦略に欠かせない新聞になっています。農業委員や農協、自治体の農政担当者、地方議員などにも講読を呼びかけましょう。新聞「農民」は「食と農を守る共同の新聞」としての値打ちを高めており、産直で結びついている消費者、生協、労組や市民団体など、広範な階層を対象に、新聞「農民」読者を広げましょう。

 新聞「農民」読者拡大を前進させることは、全面的な八ページ化を展望するうえでも重要です。会員や読者が紙面づくりに参加できる企画や、身近で親しみのもてる紙面づくり、通信活動をさらに前進させましょう。

(4)女性の要求実現と結集について

 生産の担い手としての女性が力を発揮することの重要性は、ためされずみの教訓です。女性の自主性をいかした地産地消、生産や販売要求をとりあげて働きかけを強めましょう。また、健康、介護、子育てなど多面的な要求を大切にしたとりくみも重要です。引き続き、女性会員の登録を進め、すべての都道府県と単組で女性部を確立しましょう。

(5)青年対策について

 日本農業と農民運動の未来にかかわる後継者対策は焦眉の課題であり、すべての組織に共通する重要な課題です。地域でがんばっている後継青年と結びつきを広げ、生きがいや悩みを話し合いながら、さまざまな要求運動への参加を呼びかけましょう。また、兼業に出ている青年への働きかけや結びつきを広げることも重要です。こうした運動を前進させ、すべての組織と単組に青年部を確立しましょう。

 担い手を確保するために、都市の青年のなかで広がっている就農希望を受け入れて支援する制度、新規学卒者への援助など、新規就農者への国・自治体の支援制度を要求して運動を進めましょう。

(6)専従者が成長し、いきいきと活動するために

 組織と運動を支えている専従者が農民連の方針を理解し、先頭にたって活動することが重要です。専従歴の短い人を対象に数年ぶりに開催した「専従者研修会」は参加者に歓迎されています。今後も専従者が参加しやすい形態を検討し、開催します。献身的に活動している専従者の待遇改善、病気・怪我などの際に助け合う制度の創設を検討します。

(7)財政について

 「財政健全化三カ年計画」を前倒しで達成したものの、本部財政は、会員や新聞「農民」読者の減少により収入が減少しています。運動の発展にともなって支出が増大する傾向にある一方、本部への滞納が増える傾向にあることも軽視できません。

 この間の教訓を生かした厳格な財政運営と、長期にわたる本部への滞納を解決することが重要になっています。該当する県連の特別の奮起を求めます。

 今後、運動に必要な専門部体制や組織対策を強めることが求められており、会員拡大と新聞「農民」読者拡大は、財政を強化する面からも重要な課題です。

(新聞「農民」2004.12.13付)
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2004年12月

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