農業・食糧をビジネスチャンスにする大企業のねら
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「ビア・カンペシーナ」は、食糧主権を提唱し、グローバリズムやWTOとのたたかいをリードしている世界的な農民組織であり、世界のNGOの中心組織の一つです。農民連と「ビア・カンペシーナ」は一九九九年にアメリカ・シアトルで開かれた第三回WTO閣僚会議以来、二〇〇二年ローマ食糧サミットや二〇〇三年カンクンで開かれた第五回WTO閣僚会議、二〇〇四年一月のムンバイ世界社会フォーラム、そして二〇〇四年四月の東京での国際シンポジウムなどで交流を深めてきました。
加盟するにあたっての基本的立場として(1)要求の一致を基礎に連帯・団結する、(2)参加組織の自主性の尊重、(3)財政負担は協議して決め、負担可能な範囲であること、の三点を基準とし、国際的な連帯運動の発展に貢献するために力をつくします。
農民連は、「米改革」を中止し、政府が米の生産と安定供給に責任をもつこと、農家の要求や地域の条件を尊重した多様な担い手を育成する政策を求めます。また、生産費を償う価格の下支え制度や、不測の事態に備えた二百万トン以上の備蓄水準と棚上げ備蓄、大手業者の買い占めや売り惜しみを許さない制度を要求し、さらに米の先物取引に反対して地域ぐるみ、国民ぐるみで運動を広げましょう。
「地域水田農業ビジョン」を、多様な担い手を確保して生産の維持・拡大に役立つものにするための話し合いや計画づくりを進め、自治体や農協に提案し、協力しあってとりくみを進めましょう。農民連会員は、その先頭にたちましょう。
広範な農家にとりくみを知らせ、相談会や説明会を無数に開いて農家の参加を大きく広げ、単位農協や生産グループとも対話して共同を広げるなど、年間を通した供給を望んでいる業者の期待に応えるためにとりくみの規模を飛躍させましょう。
日本では、一九九九年に廃止された「旧農業基本法」が「農業の自然的経済的社会的不利を補正し……農業従事者が他の国民各層と均衡する健康的で文化的な生活を営むことができるようにすることは……公共の福祉を念願するわれら国民の責務に属するものである」と規定し、こうした概念にもとづいて一九九五年まで食管制度があり、主要産品の価格保障制度もまがりなりにも実施されてきました。農業の役割と農民の生きる権利、農民の労働の価値を正当に評価し、政府がこれを保障することは憲法の理念と合致するものです。
「構造改革」を推進するイデオロギー攻撃をはね返し、大豆、小麦、砂糖、牛乳などの価格保障制度の廃止を許さず、主要農産物の価格保障の実現をめざして運動を広げます。都道府県や市町村でも可能な独自の価格保障制度を要求して運動を広げましょう。
ナショナルミニマムの確立運動を国民的課題として発展させるために、中央段階にとどまらず、都道府県や地域での共同組織づくりも展望し、とりくみを強めましょう。
同時に、「中間論点整理」で農地制度の解体、株式会社による農地取得と農業支配を認めるかどうかについては「両論併記」とせざるをえなかったように、農民連や農業会議・農業委員会などの運動によって財界のねらい通りに進んでいないこと正しく見ることが重要です。引き続き、株式会社の農地所有を許さない運動を農業会議や農業委員会をはじめ、広範な農業関係団体などと共同して広げましょう。また、地域の農業を守るために、大企業の農業への参入に反対して運動を進めましょう。
仮に政府が世論を無視して全頭検査を見直して輸入を強行してもアメリカ産牛肉への国民の不信はぬぐいさることはできず、重大な困難に直面するでしょう。すべての都道府県で全頭検査の継続を要求して運動を広げましょう。
十月一日から畜産廃棄物三法が実施されているもとで、畜産経営の実態を踏まえ、経営が続けられるようにするための対策を政府に要求して運動を進めましょう。
今ある農業共済制度だけでは相次ぐ災害の被害をカバーできません。農業共済制度の改善・充実を政府に要求します。また、埼玉県の「農業災害対策特別措置条例」(災害を受けた作物の原状復帰に要する実費を農家に直接助成)などに学んで、都道府県段階での救済制度を要求しましょう。
「全国災害対策連」に結集し、「被災者生活支援法」の即時改正、住宅再建などへの公的支援を前進させる運動などにとりくみます。
一日も早く当面の目標である百万筆を達成し、さらに国民署名にふさわしい規模に発展させるために、農民連が大きな役割を発揮することが求められます。農協、生協など広範な団体への申し入れ、首長や著名な方々に協力を依頼し、地域ぐるみ、団体ぐるみのとりくみに発展させましょう。自治体での「地産地消都市宣言」を採択させる運動や、学校給食などの地産地消の推進と結んで運動を広げましょう。
食健連運動は、農業と食、健康を守る共同運動のセンターであり、農民連運動にとって車の両輪です。食健連が、食の安全や地域農業にかかわる多様な要求を実現する運動にとりくむとともに、地域経済を活性化させ、安心して住み続けることのできる地域づくりを視野に入れて共同を広げることが求められています。すべての県と単組に対応した地域食健連づくりを全国で進めましょう。
こうした自治体の多くは農山村の自治体であり、自治体と住民、自治体職員などが一体となって基幹産業である農林漁業を振興させることを中心に、自立した自治体づくりを懸命に進めています。国の押しつけによる自治体合併に反対し、住民と共同して運動を進めましょう。
農業試験場や農業改良普及センターなどの廃止や縮小、統合は、生産の維持・拡大に対する障害です。市町村や自治体労働者、農業関係者と共同して運動を進めましょう。
本来、農民経営を守り、国民の願いに応えて食糧自給率を向上させる役割を担うべき農協中央は「みどりのアジアEPA推進戦略」に賛成し、「農業構造改革」についても、農民の要求を反映して一定の提案を行いつつも、全体としては政府与党とともに推進しています。こうしたなかで、農協法が改悪され、農協中央が基本方針を決めて単位農協に指示する構造がつくられたことは、農民の協同の単位である単位農協の自主性を奪い、農協全体を「農業構造改革」に協力させるためのものです。
地域の農協は、こうした「農業構造改革」の流れのなかで農協経営の維持を最優先し、広域合併や、支所の廃止、拠点施設の外部化、会社化などの経営合理化を推し進めてきた結果、農民の要求との矛盾を広げています。
こうしたなかで、農民の要求を反映した地産地消をはじめとしたとりくみを発展させて奮闘する農協が広がっていることも重要です。「準産直」や、米価対策、大企業の農業参入に反対して地域農業を守る運動など、一致点を大切に、お互いの立場を尊重して共同を広げるとりくみをさらに発展させましょう。
農民の助け合いや協同を否定し、競争を万能とする流れは、農協への攻撃だけにとどまらず、産地間競争をあおり、農民を価格で競わせるなど、イデオロギー攻撃の側面をもって農業のあらゆる分野に持ち込まれています。農民連が協同の守り手として「競争から協同を」を合言葉に、学習や話し合いを強め、実践を広げましょう。
農業でがんばる人を増やす運動は、農民運動の最も中心的な課題です。
各地で高額な農機を共同して購入したり、ミニ・ライスセンターを作って作業を共同化し、兼業や高齢化した農家の米づくりを支援したり作業受託する専業農家を自治体が支援するなどのとりくみが広がっています。こうした助け合いは、高齢化した担い手が農業を継続する支えになっています。地域の条件にみあった多様な実践を大いに進めましょう。
農民連は、農薬を使用する農民が最大の被害者であり、農薬の使用を可能な限り減らすことで安全・安心できる農産物の生産と環境を守ることができるという立場です。こうした点を踏まえ、国やメーカーに十分な情報の公開を要求するとともに、無登録農薬は絶対に使用しないということをあらためて確認しあいましょう。
農薬を減らすための栽培技術の向上、表示や生産履歴の記録など、国民の信頼を裏切らないためのとりくみを攻勢的に進めるための学習や交流を進めましょう。
市場法の改悪による手数料の自由化は、多数の中小卸、地方市場の運営を困難にさせ、市場に依存している中小スーパーや八百屋さんの経営、国民生活に重大な影響をもたらすものです。また、全量受け入れの原則が崩されたことは、買いたたきを促進するもので、生産者への影響も重大です。
市場や卸との話し合いや交流、八百屋さんとの提携、全国的なリレー出荷などで市場との提携を進めましょう。
カタログによる各地の自慢の産品紹介は、多くの消費者から歓迎され、会員を激励しています。このとりくみを成功させ、さらに全国の豊かな農産物を紹介できるとりくみに発展させましょう。運動を進めるために不可欠な「生産物調査」を確実にやりあげましょう。
こうした努力に、農民連組織が積極的に応えましょう。また、産直の基本である学習と交流、消費者の要求と信頼に応える安全で安心できる農産物を届けるために力をつくしましょう。
あわせて、とりくみの現状や改善点、教訓を明らかにし、今日の情勢や新婦人会員の要求を踏まえ、広範な消費者を対象にした運動に発展させる方向を新婦人とともに練り上げることが求められています。農民連ふるさとネットワークを、運動と方針の発展、安全で豊富な品ぞろえにも役立たせましょう。
消費税への対応も農家にとって切実な要求です。販売額が一千万円を超える会員を一人ひとり明らかにして対策を強めるとともに、農家との対話、すべての市町村での税金相談会の開催、全農家規模の宣伝、会員による「一人紹介運動」を全国で進めましょう。全国やブロック規模で税金運動交流会の開催、消費税を含めた税金相談員養成にもとりくみましょう。
税金運動を重要な要求運動として発展させ、組織拡大に結実させるために、本部のイニシアチブを強めるために税金対策部体制の強化を進めます。
農業用施設用地をはじめ、農地をあくまで農地として評価させること、造成費の引き下げ、小作料を上回る固定資産税の減免、市街化区域農地の生産緑地の追加申請などを要求しましょう。広くよびかけた「固定資産税相談会」の開催、都道府県や市町村交渉にとりくみましょう。相続税の納税猶予を廃止するたくらみを阻止するために、引き続き運動を広げましょう。
改悪年金法により、掛け金の引き上げと受給額のカットが進められています。国保同様、掛け金が払えない農家や、無年金者の農家が少なくありません。改悪年金法の凍結と、最低保障年金の実現をめざして運動を進めましょう。
二十歳以上からの保険料の徴収や、介護基準の引き上げなど、介護保険制度の重大な改悪がねらわれています。こうした改悪を許さず、安心できる介護制度を実現するための運動、自治体に対して保険料減免制度を要求する運動を進めましょう。
中山間地では、鳥獣被害が農作物に深刻な被害をもたらし、経営が脅かされています。林業が衰退して山林や里山が荒れ、鳥獣類の居場所を奪っていることが最大の原因です。生産と地域を守るために、政府への対策を要求し、自治体と協力してとりくみを強めましょう。全国やブロックでとりくみの交流も行いましょう。
[2004年12月]
農民運動全国連合会(略称:農民連)
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