「農民」記事データベース20041213-664-09

農業・食糧をビジネスチャンスにする大企業のねら
いに抗し、国民の期待に応え、農業と農山村の復権
めざす「もう一つの流れ」を強く大きくしよう!

農民連第十六回定期大会決議(案)(4/8)

二〇〇四年十二月一日 農民運動全国連合会常任委員会

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四 米・農業つぶしを許さず、自給率向上、農業、食糧を守る方針について

(1)自由化と「構造改革」を許さず、農政を転換させる国民的運動を

1 WTO・FTAによる関税の引き下げ・撤廃を許さない運動

(1)WTO、EPA・FTAによる関税引き下げや撤廃を許さない運動

 アメリカや多国籍企業の利益を第一に、世界の農民や民衆の利益に背を向けるグローバリゼーションに反対し、要求と結んでWTO協定の改定、食糧主権の立場にたった貿易ルールの確立を求める運動を草の根から広げましょう。WTOやEPA・FTAの弊害は農業・食糧分野だけではなく、産業の空洞化にさらに拍車をかけ、地域経済や労働者の権利など広範囲に及びます。多様な分野の人々と共同して運動を広げましょう。

(2)ミニマム・アクセス米の削減・中止要求を前面に掲げて

 政府は、国内では、「売れる米づくり」を農民に押しつけながら、輸入総量が六百一万トンにも及び、行き場を失って百四十八万トン(04年10月末)も積みあがっているミニマム・アクセス米の輸入を続けています。ミニマム・アクセス米は、農民にとっては価格暴落を加速させ、WTOの弊害を象徴する存在です。国際連帯の運動とも結んで、ミニマム・アクセス米の削減・廃止の要求を前面に運動を広げましょう。

(3)世界の農民や民衆との連帯、「ビア・カンペシーナ」への加入の検討について

 WTOやEPA・FTAとのたたかいを広げるうえで、食糧主権を中心テーマにした国際的視野で運動を広げることが必要です。特に、たたかう世界の農民との連帯は重要であり、国際的な農民組織である「ビア・カンペシーナ」への加入を検討します。

 「ビア・カンペシーナ」は、食糧主権を提唱し、グローバリズムやWTOとのたたかいをリードしている世界的な農民組織であり、世界のNGOの中心組織の一つです。農民連と「ビア・カンペシーナ」は一九九九年にアメリカ・シアトルで開かれた第三回WTO閣僚会議以来、二〇〇二年ローマ食糧サミットや二〇〇三年カンクンで開かれた第五回WTO閣僚会議、二〇〇四年一月のムンバイ世界社会フォーラム、そして二〇〇四年四月の東京での国際シンポジウムなどで交流を深めてきました。

 加盟するにあたっての基本的立場として(1)要求の一致を基礎に連帯・団結する、(2)参加組織の自主性の尊重、(3)財政負担は協議して決め、負担可能な範囲であること、の三点を基準とし、国際的な連帯運動の発展に貢献するために力をつくします。

2 国民の主食・米を守る運動

(1)「米改革」の中止と、多様な担い手支援を要求して

 「米改革」二年目は、価格暴落に加えて二年連続の不作というなかで推進されるだけに、矛盾がさらに拡大することは避けられません。

 農民連は、「米改革」を中止し、政府が米の生産と安定供給に責任をもつこと、農家の要求や地域の条件を尊重した多様な担い手を育成する政策を求めます。また、生産費を償う価格の下支え制度や、不測の事態に備えた二百万トン以上の備蓄水準と棚上げ備蓄、大手業者の買い占めや売り惜しみを許さない制度を要求し、さらに米の先物取引に反対して地域ぐるみ、国民ぐるみで運動を広げましょう。

(2)自治体、 集落ぐるみでの助けあいによる米づくりの実践を

 高齢化や離農などで耕作放棄が進み、担い手の確保が切迫した問題になっています。政府の「農業構造改革」は、これを口実の一つにしています。政府に対して農政転換を要求する運動と結んで、生産から撤退せず米づくりを守り発展させる実践的なとりくみが求められています。

 「地域水田農業ビジョン」を、多様な担い手を確保して生産の維持・拡大に役立つものにするための話し合いや計画づくりを進め、自治体や農協に提案し、協力しあってとりくみを進めましょう。農民連会員は、その先頭にたちましょう。

(3)「準産直米」を中心とした多様なとりくみ

 「米改革」の矛盾がさらに拡大し、大手卸の米ビジネスが激化しようとしているなかで、顔の見える信頼できる販売ルートを確保することは、すべての農家にとって死活問題です。安心・安全な米づくりの努力と、中小米流通業者と提携して消費者に届ける「準産直米」のとりくみは、「米改革」に抗して米と水田を守る柱です。

 広範な農家にとりくみを知らせ、相談会や説明会を無数に開いて農家の参加を大きく広げ、単位農協や生産グループとも対話して共同を広げるなど、年間を通した供給を望んでいる業者の期待に応えるためにとりくみの規模を飛躍させましょう。

3 安心して生産が続けられるの政策の実現を要求して

 日本の農業の再生と自給率を向上させるためには、農民の生産コストを償う価格保障制度と、日本で生産が可能となるように輸入をコントロールする国境措置、そして、株式会社の農地所有を許さず、家族経営を基礎に、耕作者の地位の安定と農業生産力の増進をはかるために農地制度を維持・発展させることが不可欠です。

(1)価格保障制度の実現を要求して

 政府は、WTOを絶対視して農産物価格を市場原理で買いたたくという方向をさらに推し進めようとしています。一方、世界の少なくない国がWTOのもとでも生産費をつぐなう価格対策を次々に実施しています。食糧主権の重要なポイントも生産コストをカバーできる価格保障にあります。世界でも日本でも、農業の持続的発展、環境や文化を守るためには価格保障が不可欠となっているからです。

 日本では、一九九九年に廃止された「旧農業基本法」が「農業の自然的経済的社会的不利を補正し……農業従事者が他の国民各層と均衡する健康的で文化的な生活を営むことができるようにすることは……公共の福祉を念願するわれら国民の責務に属するものである」と規定し、こうした概念にもとづいて一九九五年まで食管制度があり、主要産品の価格保障制度もまがりなりにも実施されてきました。農業の役割と農民の生きる権利、農民の労働の価値を正当に評価し、政府がこれを保障することは憲法の理念と合致するものです。

 「構造改革」を推進するイデオロギー攻撃をはね返し、大豆、小麦、砂糖、牛乳などの価格保障制度の廃止を許さず、主要農産物の価格保障の実現をめざして運動を広げます。都道府県や市町村でも可能な独自の価格保障制度を要求して運動を広げましょう。

(2)「ナショナルミニマム」運動と結んで

 農産物の価格保障を実現するたたかいは、労働者に全国一律最低賃金が保障されることや、安心して老後を暮らせる最低保障年金、生活費非課税の原則に立った課税最低限など、生存権を保障する最低限のルールを実現する運動の一環です。

 ナショナルミニマムの確立運動を国民的課題として発展させるために、中央段階にとどまらず、都道府県や地域での共同組織づくりも展望し、とりくみを強めましょう。

4 株式会社の農地支配を許さず、家族経営を守る運動

 戦後農政の柱の一つである農地制度の解体と、株式会社が農業に自由に参入できるようにするねらいが強まっています。また、「トマト生産工場」を全国展開しているカゴメをはじめ、「経済特区」を風穴にした大企業の農業参入が相次いでいます。

 同時に、「中間論点整理」で農地制度の解体、株式会社による農地取得と農業支配を認めるかどうかについては「両論併記」とせざるをえなかったように、農民連や農業会議・農業委員会などの運動によって財界のねらい通りに進んでいないこと正しく見ることが重要です。引き続き、株式会社の農地所有を許さない運動を農業会議や農業委員会をはじめ、広範な農業関係団体などと共同して広げましょう。また、地域の農業を守るために、大企業の農業への参入に反対して運動を進めましょう。

5 BSE問題と畜産経営を守る運動

 「全頭検査を守れ」「安全対策が不十分なアメリカ産牛肉を輸入するな」が、圧倒的多数の世論です。引き続き、広範な国民・消費者、畜産農民や畜産団体との共同を広げましょう。

 仮に政府が世論を無視して全頭検査を見直して輸入を強行してもアメリカ産牛肉への国民の不信はぬぐいさることはできず、重大な困難に直面するでしょう。すべての都道府県で全頭検査の継続を要求して運動を広げましょう。

 十月一日から畜産廃棄物三法が実施されているもとで、畜産経営の実態を踏まえ、経営が続けられるようにするための対策を政府に要求して運動を進めましょう。

6 災害救済の取り組み

 新潟中越地震や台風被害の救済は、引き続き重要な取り組みです。被災者が通常の暮らしを取り戻すための一日も早い復旧・復興が急がれています。農業では被害補償とともに、来春の作付ができるようにすることを最優先して農地や施設の復旧、ハウス資材の確保などが緊急課題です。激甚指定を生かすとともに、被災農家の要求を聞き、きめ細かな対策を国・自治体に要求しましょう。

 今ある農業共済制度だけでは相次ぐ災害の被害をカバーできません。農業共済制度の改善・充実を政府に要求します。また、埼玉県の「農業災害対策特別措置条例」(災害を受けた作物の原状復帰に要する実費を農家に直接助成)などに学んで、都道府県段階での救済制度を要求しましょう。

 「全国災害対策連」に結集し、「被災者生活支援法」の即時改正、住宅再建などへの公的支援を前進させる運動などにとりくみます。

7 自給率向上の国民署名の推進と食健連の発展

(1)百万をめざす「自給率向上国民署名」の推進

 自給率向上国民署名は、当面する農業・食糧を守り発展させる国民運動の軸となるものです。また、自給率を向上させる国民合意を広げ、地域を基礎に自治体への要求や提案など、自給率を向上させるための実践的とりくみを広げる契機となるもので、「ふるさとネットワーク」運動の基盤を拡大することにも大きく貢献するものです。

 一日も早く当面の目標である百万筆を達成し、さらに国民署名にふさわしい規模に発展させるために、農民連が大きな役割を発揮することが求められます。農協、生協など広範な団体への申し入れ、首長や著名な方々に協力を依頼し、地域ぐるみ、団体ぐるみのとりくみに発展させましょう。自治体での「地産地消都市宣言」を採択させる運動や、学校給食などの地産地消の推進と結んで運動を広げましょう。

(2)食健連運動と地域食健連を網の目に広げよう

 〇四年グリーンウエーブは、とりくんだ県・地域食健連が増えるなど、運動が広がっています。今日の農と食、健康をめぐる情勢の反映であり、BSE問題や自給率向上国民署名、国際シンポジウムなどのとりくみが運動と組織を活性化させています。

 食健連運動は、農業と食、健康を守る共同運動のセンターであり、農民連運動にとって車の両輪です。食健連が、食の安全や地域農業にかかわる多様な要求を実現する運動にとりくむとともに、地域経済を活性化させ、安心して住み続けることのできる地域づくりを視野に入れて共同を広げることが求められています。すべての県と単組に対応した地域食健連づくりを全国で進めましょう。

8 自治体の押しつけ合併に反対し、住民を主人公にした自立した自治体づくりを

 〇五年三月までの合併特例法の期限を控え、総務省は六月に新たに通達を出すなど、市町村合併の押し付けを強めています。合併の是非を問う住民投票が各地で行われ、「法定協議会」が解散になったり、首長選挙で、合併に反対し、自立した自治体をめざす候補が勝利する例も各地で生まれています。長野県のように、合併しない自治体への支援策を打ち出すなど、合併によらない地域づくりの動きが広がっています。

 こうした自治体の多くは農山村の自治体であり、自治体と住民、自治体職員などが一体となって基幹産業である農林漁業を振興させることを中心に、自立した自治体づくりを懸命に進めています。国の押しつけによる自治体合併に反対し、住民と共同して運動を進めましょう。

 農業試験場や農業改良普及センターなどの廃止や縮小、統合は、生産の維持・拡大に対する障害です。市町村や自治体労働者、農業関係者と共同して運動を進めましょう。

9 農民の協同を広げ、協同組合の民主的発展を

 家族経営を否定する「農業構造改革」は、農民の協同と、農協に矛先を向けています。

 本来、農民経営を守り、国民の願いに応えて食糧自給率を向上させる役割を担うべき農協中央は「みどりのアジアEPA推進戦略」に賛成し、「農業構造改革」についても、農民の要求を反映して一定の提案を行いつつも、全体としては政府与党とともに推進しています。こうしたなかで、農協法が改悪され、農協中央が基本方針を決めて単位農協に指示する構造がつくられたことは、農民の協同の単位である単位農協の自主性を奪い、農協全体を「農業構造改革」に協力させるためのものです。

 地域の農協は、こうした「農業構造改革」の流れのなかで農協経営の維持を最優先し、広域合併や、支所の廃止、拠点施設の外部化、会社化などの経営合理化を推し進めてきた結果、農民の要求との矛盾を広げています。

 こうしたなかで、農民の要求を反映した地産地消をはじめとしたとりくみを発展させて奮闘する農協が広がっていることも重要です。「準産直」や、米価対策、大企業の農業参入に反対して地域農業を守る運動など、一致点を大切に、お互いの立場を尊重して共同を広げるとりくみをさらに発展させましょう。

 農民の助け合いや協同を否定し、競争を万能とする流れは、農協への攻撃だけにとどまらず、産地間競争をあおり、農民を価格で競わせるなど、イデオロギー攻撃の側面をもって農業のあらゆる分野に持ち込まれています。農民連が協同の守り手として「競争から協同を」を合言葉に、学習や話し合いを強め、実践を広げましょう。

(2)農業・食糧をビジネスチャンスにする財界戦略に抗した「もう一つの流れ」の拡大を

1 自給率を向上させる生産の拡大を農民運動の中心課題として全力をあげよう

 農業破壊攻撃の今日の段階は、生産を削減して食糧の外国依存をさらに進めるだけにとどまらず、日本から「農民」という階層をなくしてしまうほどのものです。多数の農民が農業から撤退せず生産を拡大すること、

農業でがんばる人を増やす運動は、農民運動の最も中心的な課題です。

(1)専業農家とともに、女性や高齢者の力を生かした助け合いを

 生産の拡大にとって、専業農家が経営を守ってがんばるとともに、「農業構造改革」や「米改革」によって生産から排除される対象である女性や高齢者の力を生かすことは特別に重要です。

 各地で高額な農機を共同して購入したり、ミニ・ライスセンターを作って作業を共同化し、兼業や高齢化した農家の米づくりを支援したり作業受託する専業農家を自治体が支援するなどのとりくみが広がっています。こうした助け合いは、高齢化した担い手が農業を継続する支えになっています。地域の条件にみあった多様な実践を大いに進めましょう。

(2)地産地消の取り組みをすべての地域で

 直売所や朝市、学校や幼稚園・保育園、病院への食材の供給、生協店舗や地元スーパーでのインショップ、商店街と提携した空き店舗の活用など、地産地消のとりくみを自治体ぐるみで進めましょう。

(3)担い手を確保するとりくみ

 担い手の確保・支援対策を自治体に提案しましょう。また、紀ノ川農協が、会員と協力して都市の青年を農業の後継者にするために支援するとりくみを行っている経験にも学び、担い手確保を運動の重要な課題に位置づけて進めましょう。

2 安全な農産物をつくる運動

 食の安全や信頼を裏切る事態が広がっているなかで、安全で信頼できる農産物への国民の願いはさらに高まっており、その担い手として、農民連への期待は大きいものがあります。この期待に応える努力を強めることは、国民合意を広げ、農業を再生する中心課題です。

 農民連は、農薬を使用する農民が最大の被害者であり、農薬の使用を可能な限り減らすことで安全・安心できる農産物の生産と環境を守ることができるという立場です。こうした点を踏まえ、国やメーカーに十分な情報の公開を要求するとともに、無登録農薬は絶対に使用しないということをあらためて確認しあいましょう。

 農薬を減らすための栽培技術の向上、表示や生産履歴の記録など、国民の信頼を裏切らないためのとりくみを攻勢的に進めるための学習や交流を進めましょう。

3 分析センターを生かした安全・安心できる農産物の生産を

 分析センターを完備している農民連の存在は、国民の信頼を拡大し、農家にとって魅力ある存在になっています。食品分析センターを安全・安心できる農産物の生産に生かし、国民の食の安全を守る情報発信の砦として発展させましょう。

4 「農民連ふるさとネットワーク」を生かした「日本列島三千キロをつないだ運動」の発展を

 全国の奮闘によって八月に発足した「農民連ふるさとネットワーク」は、生産の拡大を呼びかけ、「準産直米」のとりくみや、カタログづくり、専門部をいかしたとりくみなどを発展させています。「ふるさとネットワーク」を生かし、すべてのブロックネットワーク、県ネットワークを機能化させ、日本列島三千キロを実質的につなぐ運動と事業に発展させましょう。

(1)県、地域で「ものづくり計画」と「販売戦略」の具体化を進めよう

 北陸ネットワークと庄内産直センターが共同した枝豆のリレー出荷、全国の産地と結んで生協や市場にリレー出荷している東海ネットワークなど、ネットワークをいかしたとりくみが進んでいます。こうした経験に学び、すべてのブロックと都道府県ネットワークが「ものづくり計画」と「販売戦略」をもってとりくみを前進させましょう。

 市場法の改悪による手数料の自由化は、多数の中小卸、地方市場の運営を困難にさせ、市場に依存している中小スーパーや八百屋さんの経営、国民生活に重大な影響をもたらすものです。また、全量受け入れの原則が崩されたことは、買いたたきを促進するもので、生産者への影響も重大です。

 市場や卸との話し合いや交流、八百屋さんとの提携、全国的なリレー出荷などで市場との提携を進めましょう。

(2)多様な販路への全国規模のリレー出荷、県やブロックネット間の共同など、ふるさとネットワークを生かした多面的な運動の発展を

 「準産直米」を全国ネットワークの要として発展させるとともに、じゃがいも・玉ねぎ・人参や落葉果樹、柑橘、加工品などの販路拡大や全国的規模でのリレー出荷、都市の学校給食へのリレー出荷など、ブロックや都道府県ネットワークと提携してとりくみを具体化し、可能なところから実践に踏み出しましょう。

 カタログによる各地の自慢の産品紹介は、多くの消費者から歓迎され、会員を激励しています。このとりくみを成功させ、さらに全国の豊かな農産物を紹介できるとりくみに発展させましょう。運動を進めるために不可欠な「生産物調査」を確実にやりあげましょう。

(3)産直の要としての新婦人産直の発展を

 新婦人会員との産直は、全国の農民連組織に共通する産直の要であり、産直の原点です。新婦人は、産直を安全な食と日本農業を守る重要な運動として位置づけ、広範な女性への呼びかけと、産直小組の発展をめざして奮闘しています。

 こうした努力に、農民連組織が積極的に応えましょう。また、産直の基本である学習と交流、消費者の要求と信頼に応える安全で安心できる農産物を届けるために力をつくしましょう。

 あわせて、とりくみの現状や改善点、教訓を明らかにし、今日の情勢や新婦人会員の要求を踏まえ、広範な消費者を対象にした運動に発展させる方向を新婦人とともに練り上げることが求められています。農民連ふるさとネットワークを、運動と方針の発展、安全で豊富な品ぞろえにも役立たせましょう。

(3)税金など多様な要求の実現と、農山村を守る運動

1 重税を許さないたたかい

(1)税金のたたかいに計画的にとりくもう

(イ)自主計算・集団申告の運動を全市町村で進めよう
 全国的に収支計算方式に切り替えられているもとで、記帳簿を軸に、助け合って自主計算・自主申告運動を進めてきた蓄積をもっている農民連のとりくみは、農家に受け入れられ、広範な農家が参加する運動に発展させる条件を広げています。

 消費税への対応も農家にとって切実な要求です。販売額が一千万円を超える会員を一人ひとり明らかにして対策を強めるとともに、農家との対話、すべての市町村での税金相談会の開催、全農家規模の宣伝、会員による「一人紹介運動」を全国で進めましょう。全国やブロック規模で税金運動交流会の開催、消費税を含めた税金相談員養成にもとりくみましょう。

 税金運動を重要な要求運動として発展させ、組織拡大に結実させるために、本部のイニシアチブを強めるために税金対策部体制の強化を進めます。

(ロ)固定資産税の負担軽減、相続税納税猶予制度廃止を許さない運動
 自治体の税収が減っているなかで、固定資産税が主要な歳入源として増え続け、農家の暮らしと経営を苦しめています。また、自治体合併によって政令市となり、農地が宅地なみ課税になる状況も生まれています。

 農業用施設用地をはじめ、農地をあくまで農地として評価させること、造成費の引き下げ、小作料を上回る固定資産税の減免、市街化区域農地の生産緑地の追加申請などを要求しましょう。広くよびかけた「固定資産税相談会」の開催、都道府県や市町村交渉にとりくみましょう。相続税の納税猶予を廃止するたくらみを阻止するために、引き続き運動を広げましょう。

(2)高すぎる国保税の引き下げ、年金、介護制度の改善を求める運動

 政府が国保への国庫負担の大幅カットや、応益割を平準化して低所得者の負担が重くなる仕組みを市町村に押しつけたため、国保料が引き上げられ、暮らしを圧迫しています。保険料が納められない世帯も増え続け、保険証の取り上げによって国民の医療が脅かされる事態になっています。国庫負担の増額を政府に要求し、自治体に減免を要求する運動を進めましょう。

 改悪年金法により、掛け金の引き上げと受給額のカットが進められています。国保同様、掛け金が払えない農家や、無年金者の農家が少なくありません。改悪年金法の凍結と、最低保障年金の実現をめざして運動を進めましょう。

 二十歳以上からの保険料の徴収や、介護基準の引き上げなど、介護保険制度の重大な改悪がねらわれています。こうした改悪を許さず、安心できる介護制度を実現するための運動、自治体に対して保険料減免制度を要求する運動を進めましょう。

2 中山間地を守るとりくみ

 中山間地を切り捨てる流れが強まっているもとで、中山間地で生活する農民の暮らしと農業を守る課題は重要です。中山間地への「直接支払い」を廃止するたくらみをはね返し、さらに予算規模の拡大など、改善・充実させる運動を進めましょう。

 中山間地では、鳥獣被害が農作物に深刻な被害をもたらし、経営が脅かされています。林業が衰退して山林や里山が荒れ、鳥獣類の居場所を奪っていることが最大の原因です。生産と地域を守るために、政府への対策を要求し、自治体と協力してとりくみを強めましょう。全国やブロックでとりくみの交流も行いましょう。

3 生産と経営を守る多面的なとりくみを

 組織の力を生かして農機具や農業資材を安く購入する共同購入や軽油の免税、土地改良の負担軽減、労災制度の活用や民主的医療機関と提携した健康を守る運動など、生産と経営、暮らしを守る農家の要求を取り上げて多面的にとりくみましょう。

4 いっせい農業委員選挙について

 〇五年七月に全国の三分の二の市町村で農業委員選挙が行われます。今回の選挙は、家族経営の否定と農地制度の解体がねらわれ、改正農業委員会法によって農業委員会の設置基準が緩和されているもとでのたたかいです。また、自治体合併により定数が大幅に削減され、一人の農業委員の役割は従来にまして重くなっています。農地を守り、地域農業の再生・振興を担う農民連推薦を含む、協力・共同できる民主的農業委員を多数選出するために全力をあげましょう。

(新聞「農民」2004.12.13付)
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2004年12月

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