農業・食料・気候危機打開と
アグロエコロジー、「家族農業の10年」を
進める農政へ、要求で広く農民と結びつく
農民連づくりを
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農民連第25回定期大会決議案
2022年12月7日
農民運動全国連合会常任委員会
(7)統一地方選挙、 国政選挙で政治を変えよう
23年春に統一地方選挙がたたかわれます。住民要求に根差した地方自治体をつくる選挙であるとともに、岸田自公政権に審判を下すたたかいです。農民や地域要求を実現するために、一致する要求で“市民と野党の共同”を追求し、民主的な首長、議員を数多く誕生させましょう。
解散総選挙もありうる情勢となっています。農民の要求を基礎に市民と野党の共闘で要求の通る政治を実現するためにたたかいます。
【5】地域に影響力を持つ農民連づくりを
(1)都道府県連の果たす役割と地域に根差した単組・支部(班)活動の強化
コロナ禍の下で、「書面決議」やオンライン開催など、様々な工夫をして都道府県連大会が開催されています。しかし、一部に県連大会が未開催となり、県連役員会が定例開催されず、現場に足を運ぶ機会が減るなど、組織活動が弱くなりました。
この中でも、北海道連はオンラインによる執行委員会を定例化し、茨城県連は単組からの詳細な週報を県内で共有するなど、SNSを活用した新しい組織活動への挑戦が始まっています。
事務所と専従を配置できる広域単組に拡大・再編することは農民連のめざす組織原則です。単組は会員の要求実現のために地方自治体への要請活動や議会請願運動を日常的に行うことが重要です。広域単組は支部(班)の自立した活動を援助しながら、県連への結集を強めましょう。
全国連の方針に団結して、統一した運動を推進してこそ、要求実現と会員拡大を進めることができます。都道府県連と単組の事務局の役割は(1)役員と相談して定期的に会議を開催すること、(2)みんなで決めた方針を会員に伝えて運動を促進・集約して報告すること、(3)組織を維持するための財政や、会員・読者名簿などの組織実務を行うことです。
(2)要求運動に強い組織づくり
農民連の税金自主申告運動は、営農とくらしを守るための大切な運動です。税対部では、全国で400人以上の相談員の実現を目標に養成講座を続け、税金相談員を増やしてきました。
徳島県では、毎週の養成講座で繰り返し学び、自力で税金運動にとりくめる体制を確立しました。社会保障が改悪される中、富山県では申告の仕方によって納税額が変わる国保、介護、後期高齢者医療保険などを学習し、具体的な実利を示しながら新たな仲間ふやしにとりくんでいます。
こうした経験に学んで税金に強い農民連への努力を強めましょう。引き続き税金相談員を養成する講座や経験交流会などにとりくみます。
この間、米価下落や資材・燃油高騰対策、収入保険掛け金への支援、災害対策など、議会請願を含めた自治体への働きかけを重視して支援を勝ち取ってきました。
宮崎県では免税軽油申請運動で、会員拡大を前進させています。要求で新規就農者や地域でつながりのある人を仲間に迎えましょう。免税軽油、農業労災、線下補償など、多様な要求にとりくみましょう。
(3)世代継承と青年部への援助、農村でこそジェンダー平等を
農村や農業者の高齢化がいよいよ深刻化しているなかで、農業と地域の担い手をどう確保し、次世代へとつないでいくかは決定的に重要な課題です。
農民連にとっても組織と運動の担い手確保や世代継承は、組織の存続に関わる差し迫った課題です。
資材価格など生産コストの高騰と、それを野放しにする農政が青年農業者から農業で生計をたてていく展望を奪っています。自己責任論にとらわれながら孤軍奮闘する青年農家の苦悩に寄り添い、心の奥底に隠された真の要求を引き出し、連帯する運動が、今こそ求められています。
一方でコロナ禍や気候危機の顕在化を背景に、消費者が農業生産に参加するなど、持続可能な社会や食・農のあり方に対し、若い世代がこれまでにない関心を寄せる動きも広がっています。
アグロエコロジーの実践をはじめとした農民連の運動は、こうした関心に応え、農業・農村のみならず社会や地域の困難を切り開く展望や希望にもなりうるものです。
すべての都道府県連と単組、産直組織が青年部の確立に踏み出し、青年の学びと自主的活動を援助しましょう。
「家族農業の10年」、「農民の権利宣言」の中でもジェンダー平等が大きな柱に位置付けられています。あらゆる差別をなくし、農村に生きる一人ひとりの尊厳を守るためです。
生産現場の中で、とりわけ弱い立場にある女性が農業で安心して暮らしていける社会をめざしましょう。政府に女性差別撤廃条約の個人通報制度の早期批准を求めます。
すべての都道府県に女性部を確立し、活動を強めましょう。
(4)新聞「農民」を広く農民・消費者の共同の新聞に
めまぐるしく変わる情勢の中、新聞「農民」は、情勢を的確に伝え、世論を変える力であり、農民の要求に寄り添って激励し、農政を動かす役割も果たしています。
各地で多彩な学習や集いの中で会員や読者が増えています。学習会では新聞「農民」が活用されています。思い切った宣伝紙の活用で仲間づくりにとりくみましょう。
読者拡大を前進させることは、全国の仲間をつなげ、国民に農業の大切さ、食料の重要性を語り、広げる大きな力です。新聞「農民」読者の対象は無限です。あらゆる活動に読者拡大を貫き、減紙があれば力を集中して取り戻し、「毎月、減らさず前進」を握って離さず追求しましょう。
拡大・学習に役立ち、読者に問題の本質を伝え、幅広い世代に親しまれる紙面づくりに努力します。
新聞「農民」のテーマは「みんなでつくろう、もの言う農民」であり、地域でがんばる農民の声や要求、現場の情報を紙面にどれだけ反映させるかがカギです。そのためにも各地からの通信が不可欠です。3カ月に1回はすべての都道府県の記事が掲載されることを目標に、通信活動を強めましょう。掲載された通信・記事を大いに活用し、読者拡大に生かしましょう。
各地で地域版「農民」を発行して「農民」と一緒に届けるとりくみは、地域の話題を載せ、「農民」を身近な存在にし、紙面を読む機運につながっています。こうした実践を各地で進めましょう。
インターネットを活用し、ツイッター、フェイスブックなどとの連携を強め、紙面づくりに反映させます。ホームページをリニューアルし、映像・画像をふんだんに使って、速報性を追求するなど、さらに充実させます。
(5)23年春の大運動を成功させるために
年間を通じた仲間づくりは春の大運動の成否にかかっています。資材高騰や高齢者医療費の倍化などが農業経営と暮らしに重くのしかかっています。
持続化給付金や畜産危機打開の運動などで結びついた全ての農家に働きかけるとともに、広く宣伝し、会員からの紹介運動で「相談会」を成功させ、会員拡大を飛躍させましょう。
農民連の税金のとりくみは、申告納税制度に確信をもち、経営全体の税金・社会保障費負担の軽減をめざしています。住民税や国保税の問題を会員自身が学ぶためにも、自主申告する会員全員が『手引き』と『記帳簿』を持ち、一部の税金対策部員だけが『手引き』を持つとか、『記帳簿』を自主記帳せずに申告を済ませるなど、請負主義の温床になる行為を厳しく戒めて、みんなが確信をもって申告できるようにしましょう。養成講座を受講した皆さんが力を発揮するときです。
税金のとりくみは、最も多くの会員が結集する機会です。戦争する国作りのための大増税やインボイス、憲法改悪、農民の苦しみに背を向ける農政などの問題を学び、各種署名を広げましょう。
(新聞「農民」2022.12.19付)
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