「農民」記事データベース20081222-858-12

農民連第18回定期大会決議(案)

「ものを作ってこそ農民」、
今こそ食糧主権を!20周年の蓄積を生かし、
たたかいと組織を飛躍させよう!(6/6)

2008年12月5日 農民運動全国連合会常任委員会

関連/「ものを作ってこそ農民」、今こそ食糧主権を!20周年の蓄積を生かし、たたかいと組織を飛躍させよう!(1/6)
  /                                                (2/6)
  /                                                (3/6)
  /                                                (4/6)
  /                                                (5/6)
  /                                                (6/6)


【5】農民要求と生産を担える組織づくりを

(1)運動組織づくりの教訓

 全国的には前大会より組織現勢を後退させている中で、08年の春の運動で福島県連が1200人を突破したのをはじめ、数年で550人を超えた奈良県連、2年間の奮闘で現勢を30%増やした兵庫県連などの前進は全国的な教訓です。

 奈良県連の転機となったのは、県内の農家の10%を結集する戦略の具体化として03年1月から、県内を3つの単組に再編し、それぞれ事務所と専従者を配置し、要求にもとづいて自主的に自己回転できる単組をめざしたことにあります。専従者を中心に税金、産直、労災などの要求を軸に運動を進め、会員が多様な要求運動に参加できるように援助と呼びかけを行い、会員と農民連組織とのかかわりが深いことが特徴的です。また、地域の問題や、そのときどきの農家の要求による研究会や学習会を開き、広範な農家への宣伝や勧誘によって結びつきを広げ、税金や産直などの要求で加入を働きかけて成果をあげています。組織的には県連役員会での議論と交流と合わせて、組合と産直センターの相互の課題を共有し、双方から農民の組織化を進めています。

(2)どんな組織をめざすか

 1、全国センターとしての発展をめざして

 農民連は、47都道府県連を有する組織に発展してきましたが、会員がいない市町村が多数残されています。すべての市町村に組織をつくることは、農民連がめざす運動を日常的・恒常的に担い、農民運動の全国センター、都道府県センターになるためにも不可欠です。

 2、機能を発揮できる単組づくりと支部を軸にした組織に

 単組は地域に責任をもつ組織であり、税務署や自治体、農協などとの窓口となって地域全体の運動を推進し、支部から選出されている役員と協力して支部の運動を援助する組織です。

 単組の構成のなかに市町村や旧村単位を目安にした支部を確立することが重要です。支部は、会員が日常的に集まり、話し合い、活動する単位であり、農民連の基礎的組織です。地域の農家の要求の受け皿となって活力をもって運動し、主体的に会員と「農民」読者の拡大にとりくむ支部づくりこそ、運動を発展させるカギです。

 今求められているのは、こうした単組役員会の強化と支部活動の日常化をどう進めてゆくかです。福島県連・県北農民連の桑折支部はこの5年間で21人の会員を増やしました。特に、直売所「産直カフェ」の売り上げの27%を桑折支部が担っています。直売所への出荷、打ち合わせ等でほぼ毎週何らかの行事が組まれ、日常的に役員・会員との接触がはかられています。

 桑折支部は、税金を軸に30数人の会員を維持してきましたが、産直カフェへの出荷や多様な事業を行うことで「地域への影響力」も大きくなっています。「9条田んぼ」「9条りんご」の取り組みも進め、税金だけではなく、多様な事業展開が地域を動かす力になっています。

 3、組織づくりの基本にかかわって

 農民連の組織作りの基本は、農家の“お世話”ではなく、農家を一個の自覚した存在として高めあうこと、要求で結集し、必要な財政をみんなで拠出して運営することにあります。

 組織づくりが進んでいない組織の中には、こうした原則が貫かれず、“お世話”はするものの会員にしなかったり、会費は「安いほうがいい」として組織運営に必要な経費を度外視した水準にしている組織があります。新聞「農民」についても会員の全員購読が原則であり、購読してもしなくてもいいというものではありません。現在、一定の水準に到達している組織は、こうした弱点を克服して組織作りを前進させてきたのであり、このことにしっかり学んで克服しましょう。

 4、組織作りの目標

 会員では、2002年に到達した過去最高現勢を1日も早く回復するとともに、全国的には農家戸数2%、販売農家の約3%の世帯会員をめざします。すでに基準を超えている組織は、さらに高い目標をもって前進しましょう。新聞「農民」では、3万部の峰を今年中に必ず突破し、すべての組織が会員数の1・5倍の「農民」読者目標をもつことを全国的な基準とします。

(3)新聞「農民」は組織と運動の根幹、読者を広げよう

 食糧危機、地球温暖化問題、ミニマムアクセス米問題、畜産危機など今日の農と食をめぐって激動する情勢をリードし、世論を変えてきた新聞「農民」は、ますます輝きを増しています。購読の申し込みも格段に増えています。

 新聞「農民」読者の拡大は、農政を変え、組織を強化する農民連運動の屋台骨です。会員拡大とともに、すべての組織が読者拡大を組織づくりの根幹にすえて前進しましょう。

 会議で紙面を活用して学習することや、紙面で対話するなど新聞「農民」は組織活動の根幹でもあります。

 「みんなでつくろう、ものいう『農民』」を編集テーマに掲げる新聞「農民」の主役は会員であり、会員が自らの主張を新聞「農民」を通して表現することこそ新聞「農民」を充実させるカギです。多くの会員が紙面づくりに参加することは、新聞「農民」をより身近で親しみあるものにし、読者を拡大する力にもなります。

 都道府県連と単組は、積極的に通信を呼びかけましょう。すべての都道府県連に「通信員」を配置するなど、日常的に通信活動を促進するとりくみを抜本的に強めましょう。

(4)青年と後継者対策について

 後継青年を確保・育成する課題は、農業と運動・組織の両面から、引き続き重要で緊急な戦略的課題です。青年部は学習交流会の成功など、運動を前進させ、兵庫県連青年部の結成など、組織面でも前進面を切り開いています。

 同時に、後継青年の確保・育成の重要性からみて、青年問題への対応や計画の不十分さを指摘しなければなりません。組合員の子息や頑張っている青年への働きかけを強め、すべての都道府県連と主要な単組、産直組織に青年部を確立しましょう。

 農業経営が困難になっている中で農業後継青年を確保するためには行政の支援が必要であり、国・自治体への対策を要求することは重要な課題です。また、青年が農村に住むためには雇用、保育所などの条件が必要であり、農業政策だけでなく人の住み続けられる農村地域にするための対策が求められています。

(5)がんばる女性は農民連へ、女性部をすべての組織に

 生産の先頭に立つ女性を結集することは、地域農業を元気にし、農民連運動の発展・強化に欠かせません。また、女性が力を発揮した地産地消、生産や販売要求、消費者との交流などのとりくみをさらに発展させることは、食糧主権に接近し、自給率を向上させるためにも重要です。

 健康、介護、子育てなど、女性の多面的な要求を大切にしたとりくみを進め、女性の地位向上を要求する運動を広げましょう。

 世帯会員の6割を目標に女性会員の登録を進め、すべての都道府県と単組で女性部を確立しましょう。

(6)財政について

 本部の財政は、財政の多くを依存している新聞「農民」の読者数が後退する一方、情勢が求める運動の拡大があり、赤字決算を余儀なくされました。組織と運動の見直しを行って経費を節約するとともに、打開の最大のカギは、会員とあわせて「農民」読者拡大を飛躍させることにあります。各県連財政も、会員と読者の後退、依存している産直などの減少によって厳しさを増しています。基本財政を会員と読者に依拠する比重を高めるために、攻勢的に会員と読者拡大を進めましょう。

 また、この間、財政の困難を抱え、本部に滞納してきた3県連が基本的に解決したことは、重要な成果でした。こうした経験に学んで、すべての県連が財政問題に正面から向き合い解決することを訴えます。

【6】結びに

 これまで私たちに塗炭の苦しみをもたらしてきた新自由主義が大きく傾き、農業・食糧をめぐって“潮目の変化”が生まれています。こうした変化は、農民連結成以来の20年間、農民として生きるための正当な要求を掲げて奮闘してきた全国の仲間の成果です。また、生産を担い、地域を支え、けっしてあきらめることなくがんばってきた、一人ひとりの会員の努力が情勢を切り開いています。

 たたかいは、大企業が雇用の調整弁にして使い捨てることに怒り労働組合を結成して立ち上がる労働者をはじめ、あらゆる分野に広がっています。

 正義と道理、社会的責任をかなぐり捨て、自らの暴利をむさぼる輩(やから)は、必ずや国民の怒りを買い、破たんの運命をたどらざるをえません。そして、国民の要求を実現するたたかいの発展こそが、流した汗が報われる新しい政治や社会を作る原動力です。だからこそ、多くの農民や国民の利益の側に立ってたたかう農民連には“希望”があることを確認しあい前進しましょう。

〔前ページ〕<< □         

(新聞「農民」2008.12.22付)
ライン

2008年12月

農民運動全国連合会(略称:農民連)
〒173-0025
東京都板橋区熊野町47-11
社医研センター2階
TEL (03)5966-2224

本サイト掲載の記事、写真等の無断転載を禁じます。
Copyright(c)1998-2008, 農民運動全国連合会