「農民」記事データベース20081222-858-11

農民連第18回定期大会決議(案)

「ものを作ってこそ農民」、
今こそ食糧主権を!20周年の蓄積を生かし、
たたかいと組織を飛躍させよう!(5/6)

2008年12月5日 農民運動全国連合会常任委員会

関連/「ものを作ってこそ農民」、今こそ食糧主権を!20周年の蓄積を生かし、たたかいと組織を飛躍させよう!(1/6)
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(5)多面的要求にもとづく運動

 1、重税阻止と自主計算・集団申告の運動を結んで

 08年春の運動の総括で「通年的な税金運動」を打ち出しました。これは、切実な税金要求で会員拡大を飛躍させるために、年明けからとりくみを開始することを脱皮するためのものでした。確定申告が終わったらただちに、記帳簿の普及と記帳、必要な相談員を系統的に育成することが柱です。09年春の大運動を飛躍させ、通年的なとりくみを軌道に乗せましょう。また、すべての都道府県連と単組が税金を運動の柱に据えてとりくめる組織になることも、全国的に運動を前進させるうえで重要です。

 2、固定資産税の負担軽減、相続税の納税猶予制度の廃止を許さない運動

 税収や交付金の削減のなかで固定資産税が増えつづけ、農家の暮らしと経営を苦しめています。

 政府が土地の流動化策として農地課税の強化をねらっており、固定資産税の負担を軽減する運動がますます重要になっています。09年は固定資産税の評価替えの年であり、農業用施設用地を農地として評価させることや造成費の引き下げ、小作料を上回る固定資産税の減免、市街化区域農地の生産緑地の追加申請、課税ミスの是正など、固定資産税を適正課税に改めさせる運動を広げましょう。

 3、後期高齢者医療制度の廃止、国保税・介護制度の改善を求める運動

 後期高齢者医療制度の廃止、払える国保料への引き下げ、保険証の取り上げを許さない運動が求められています。老年者控除の復活や公的年金控除の拡大などとあわせて、国保への国庫負担の増額や自治体に減免を要求する運動を進めましょう。

 4、多様な要求運動、中山間地を守るとりくみ

 減免軽油、農業労災、資材の共同購入など、農家の多面的な要求にこたえられるとりくみの蓄積をはかりましょう。鳥獣被害対策や、住み続けられる中山間地への支援策として直接支払いの拡充など、中山間地を守る運動を進めましょう。

(6)がんばる農協との共同、多様な協同組合との提携

 この間の農政は、政府、自民党、農協中央によって進められてきましたが、農政が破たんし、混迷しているなかで、多くの単位農協の経営の困難が広がっています。また、金融をテコにした一律的な農協合併の推進への内部矛盾も深化しています。

 こうした中で、農政批判を強め、生産者に依拠して生産の拡大をはかり独自の事業に踏み出す農協が増えています。農民連は、こうした農協との共同を大切にし、産直事業の提携も視野に入れて努力してきましたが、こうした努力をさらに強めることが大切になっています。

 また、生協らしい生協をめざして奮闘している生活協同組合、食料自給率の向上や農山漁村の活性化や環境対策などで奮闘している漁協、森林組合などとの共同を発展させるために力を尽くします。

 農林中金がサブプライムローンをはじめ、日本の主要金融機関のなかで最も多額の不良債権を抱え込み財務基盤を悪化させています。本来、農業と農山村の発展のために活用されるべき資金を、日本を代表する「機関投資家」となってマネーゲームに運用してきた結果です。農林中金は、経過と責任の所在を明らかにすべきであり、農家にしわ寄せすることは許されません。

(7)環境、地球温暖化防止の運動

 日本政府は、京都議定書で約束した2012年までにCO2を6%削減する目標を果たさず、逆に8・4%拡大しています。その最大の原因は、大口排出源である大企業の排出を規制せず、自主努力にまかせているからです。08年7月のG8対抗行動の成果を生かし、政府にCO2の大口排出源の規制や中期目標の明確化を求めて運動を広げます。公害地球懇(公害地球環境問題懇談会)を軸に共同を広げ、署名を広げましょう。同時に暮らしや生産、流通のなかでの温暖化対策の実践が求められます。低コスト、環境負荷を減らす多様なとりくみを話し合い、政府や自治体に対して支援策を要求しましょう。

(8)暮らし、平和を守り、政治を変える運動

 1、憲法を守る運動

 「憲法9条を守れ」の運動の高まりが、改憲勢力の描いたスケジュールを困難に追い込んでいます。引き続き憲法を守る運動は重点課題です。学習と共同を力に国民の過半数をめざす署名運動を広げましょう。また、すべての都道府県や地域、単組で「9条田んぼ」「9条りんご」など、農民らしい創意あるアピールを行いましょう。「農林水産9条の会」への賛同を広げ、都道府県の「会」立ち上げに協力しましょう。

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兵庫県連と新婦人の“9条たんぼ”

 2、軍事費を削って暮らし守れ、増税阻止の運動

 EU諸国では内需を拡大して経済を立て直すために消費税の減税を打ち出しています。しかし日本では、麻生首相が「3年後の消費税増税」を打ち出すなど、緊迫した事態になっています。その口実は「福祉財源の確保」にありますが、消費税は最悪の不公平税制であり、暮らし・福祉破壊税です。「財源の確保」というなら、大企業と大金持ちへの大幅減税を中止して適正に課税すること、5兆円という農林水産予算の倍にも膨らんだ膨大な軍事費の削減こそ最も重要な財源確保策です。学習と共同を力に消費税増税絶対阻止の運動を広げましょう。

 3、雇用と地域経済を守る運動、ナショナル・ミニマムの確立を求める運動

 アメリカ発の金融危機による不況が深刻化しているもとで、トヨタをはじめとした大企業による派遣労働者の解雇や雇い止めが広がっています。多くの非正規労働者は、解雇や雇い止めによって寮を追い出され生活費がつきると路上生活を余儀なくされる過酷な状態にさらされています。労働者への非人道的な無法は、兼業農家にもおよび、地域経済に深刻な影響をもたらしています。

 大企業だけで内部留保は230兆円もあり、利益の減少を口実に、労働者を切り捨てることは許されません。大企業に社会的責任を果たすことを要求し、政府に対策を要求してたたかいましょう。解雇された労働者の救援にも取り組みましょう。

 こうしたたたかいとあわせて、全国一律最低賃金制度を軸に、労働時間短縮、解雇規制の“3点のセット”にもとづくナショナル・ミニマム(国民生活の最低保障)を確立させる運動を広げ、農産物の価格保障をはじめ、国民全体の暮らしを守るルールに発展させましょう。

 4、平和、革新懇運動の発展を

 国民共同の軸である国民大運動実行委員会を軸にした共同の発展に力をつくしましょう。2010年の国連軍縮会議を核兵器廃絶の契機にするための国際世論の喚起が求められています。核兵器廃絶署名を農村から大きく広げましょう。安保条約の廃棄、社会保障の充実など、平和と暮らし、民主主義を守る共同の運動を広げましょう。自公政治が行き詰まり、国民を主人公にした新しい政治を実現するうえで、その受け皿である革新懇運動を発展させることが重要になっています。農村での政治革新の世論を広げるために地域革新墾づくりを進めましょう。

(新聞「農民」2008.12.22付)
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2008年12月

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