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現在、小麦の麦作経営安定資金は一俵(60キロ)約六千九百円。これに販売価格約二千三百円を加えた九千二百円が農家手取りです。
一方、生産費は約八千五百円。麦作経営安定資金がなくなり、販売価格だけが農家手取りになれば生産費の四分の一程度に。同じように大豆の場合も、大豆交付金がなくなれば、農家手取りは生産費の四分の一。これでは、作り続けることができません(図2)。
この基準を満たす個別 経営は、麦で三千七百戸、大豆で五千戸、米で六万戸(麦・米は認定農業者、大豆は二ヘクタール以上の生産者、全中推定)。現行の対策の対象は、麦で十万戸、大豆で五万戸、米で九十九万戸ですから、およそ五〜一〇%にしぼり込まれることに。
また集落営農の特定農業団体と同様の要件とは(1)地域の農地の三分の二の集積目標(2)法人化計画(3)主たる従事者の所得目標(4)経理の一元化(5)規約の作成。ところが実態は、二十ヘクタール以上の集落営農は四六%にすぎず、多くは機械の共同利用で、「法人化の予定なし」は七九%にのぼります。さらに、政府はこれらの基準を今後引き上げることを検討しており、“ゴールなき規模拡大”が押し付けられることは必至です(図3)。
ゲタ対策が二本立てなのは、WTO上、過去の作付面積にもとづく支払いは合法なのに対して、数量支払は非合法なため。したがって「当然、面積支払の方が多くなる」(農水省)。
また、面積支払は、地域別単価に過去三カ年の作付面積をかけて算出するので、その間、対象作物を作り続けていれば満額もらえますが、一年しか作っていなければ三分の一、まったく作っていなければゼロになります。
数量支払は全国一律単価に生産量をかけて算出します。
ナラシ対策は、基準収入(過去五年中三年の平均収入)の二・五%を生産者が、また七・五%を政府が拠出。その積立金の範囲で減収額の九割まで補てんします。
これに関連して、米の稲作所得基盤確保対策と担い手経営安定対策は廃止。「担い手」の稲作農家はナラシ対策にとりこみ、非「担い手」には、産地づくり対策のメニューとして、わずかばかりの米価下落対策(“新稲得”=生産者拠出なし、面積当たり定額)を加えます。しかも産地づくり交付金は二〇一〇年に打ち切りの予定です。
[2005年12月]
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