「農民」記事データベース20051205-711-06

9割の農民を切り捨て「担い手」をふるい落とす(3/3)

「品目横断的経営安定」対策の正体

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「亡国農政ノー」の声を

食の安全・安心求める国民と結び

  やっぱりこの政策は中止させるしかない。あの手この手の抜け道があるかのようなことが言われているが、日本農業を滅亡に導く第一歩という意味できわめて重大だ。

  寅さんのような農家が日本中の中山間地にいて、手間がかかる畦管理や水管理を一生懸命にやって生産を続けている。また、それがなければ地域は守れない。だとしたら、それに合った政策が必要なんだ。

 フランスの手厚い後継者対策

 例えば、直接支払いのふるさとのスイスだ。アルプスの山間地と平場では、農業をやるにも、住み続けるにも、当然、コストに差がある。その差を埋めるための直接支払いだという厳然とした理念がある。

 それから、農水省は事あるごとに後継者がいないというが、だったら後継者を育てるために何をしてきたか。フランスの後継者対策は手厚いぞ。日本のそれとは月とスッポンだ。

  おれは、農村の高齢化が深刻だなんて話を聞くと虫ずが走るんだ。日本は世界の最長寿国だ。六十歳、七十歳の農家が第一線で働いて何が悪い。

  それから、兼業農家のことをまるで日陰者のように言うが、最も優れた複合経営の形態だと評価する人もいる。おれもそう思う。

 ネットワークで販路を広げよう

  もう一つ大事なことは販路を切り開くことだ。それも国民との共同を広げる立場で。その意味で農民連ふるさとネットワークの果たす役割は大きい。

 今年、夏場の葉物野菜が大暴落しただろう。レタスが十五玉入って一箱二十円なんてこともあった。長野や群馬など高原野菜の産地では何度も廃棄処分されたが、その時、東京のデパ地下では一玉百九十八円で売られていた。

 フランスの農民たちは、暴利をむさぼる悪徳業者に押しかけて、売り値と仕入れ値の二重表示をさせたなんて話もある。

  それはおもしろい。消費者は末端の価格しか知らないから、日本農業割高論なんていうのにごまかされちゃう。

 「品目横断的対策」だけをあてにするわけにはいかない。北海道でも原料供給するだけでなく、流通業者や学校給食などと提携したり、多様な産直や加工にも挑戦しなければならない。遺伝子組み換えや残留農薬のない安全な国産を求める国民が多数なんだから、やってやれないはずはない。

  小泉首相や財界の親玉の奥田・日本経団連会長なんかは、農業が日本経済のお荷物であるかのように言うが、けっしてそんなことはない。ようし、元気が出てきたぞ。みんなで力を合わせて、この攻撃を打ち破ろう。

 熊・八 おー。

(新聞「農民」2005.12.5付)
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2005年12月

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