米・農業つぶしを許さない国民共同を!
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昨年は農産物の輸入による価格暴落、これに拍車をかける重大な農業攻撃という点で、激動の一年でした。そういうなかで農民連は「農民の苦悩あるところ農民連あり」という立場で悪政とたたかい、ものづくり、仲間づくりを、団結の力で前進させてきました。重大な情勢のもとで、農民運動の全国センターである農民連の大会が注目されています。期待に応えて立派に大会を成功させようではありませんか。
決議案では「農業・暮らし平和を踏みつぶし、日本を破壊させる小泉政治と国民との対決の情勢として小泉政治とのたたかいの重要性」を強調しています。
まず、国民犠牲についてです。
医療費は昨年十月から七十歳以上の老人医療費の負担増が実施され、四月からサラリーマン(兼業農家)の自己負担が三割に引き上げられます。年金の削減もたくらまれています。配偶者控除の廃止をはじめとした税制改悪を含め、新たな国民負担は四兆円を超えます。労働者の首切り、リストラ、不良債権処理の名によって無理やり中小企業は倒産に追い込まれ、商店街はますますシャッター通りという事態です。私たち農民の分野でも政府の政策、失政によってもたらされた農民の負債が不良債権とされ、離農勧告が行われる事態が起きています。
農産物価格の暴落、長引く不況や失業など、国民生活が深刻化し、消費の落ち込みが日本経済を冷え込ませている時、こうした国民犠牲の政治は、日本経済そのものを破壊する道です。
さらに重大なのは、年が明けて、財界や自民党がいっせいに消費税増税の大合唱を始めたことです。財界の案は、毎年税率を引き上げて最終税率を一六%にするというものです。税率が一%引き上げられれば二兆五千億円の増税ですから、一六%に引き上げられれば二十七兆五千億円の増税。これに、免税点を一千万円にすることが加われば、増税の額はさらに増えます。
小泉内閣は「改革に痛みはつきもの」といい、痛みに耐えれば明日があるかのような幻想をふりまいてきましたが、「痛みに耐えて残るのは、さらなる痛みと不安のみ」。これが今日の国民の実感ではないでしょうか。
いま求められるのは、福祉や暮らし、農業を応援し、国民の将来への不安を取り除くことです。こうした方向こそ、深刻な経済危機を打開する道です。国民と共同して小泉政治とのたたかいに全力をあげようではありませんか。
歴代の自民党政権がゼネコン中心の無駄使いなど、大企業中心の政策を進めてつくった借金は、国・地方あわせて六百八十六兆円にふくらみ、事実上、国家財政を破綻させました。
それでも大企業の利益だけは今後も最優先し、福祉や暮らし、農業破壊など、国民に犠牲を転嫁するというのが、小泉「改革」の最大のねらいです。日本経団連が消費税大増税の先兵の役割を担っていることも、こうしたねらいを如実に示しています。
もう一つの重大な問題は、戦争と平和をめぐる緊迫した事態が進んでいることです。アメリカのイラク攻撃は絶対に許されません。世界中で戦争ノーの世論が高まっているとき、小泉内閣はイージス艦を派遣し、さらに戦争に国民を動員する「有事法制」を強行することをねらっています。平和こそ農業発展の土台です。戦争に反対し、憲法の平和的・民主的条項を生かした政治を実現するたたかいに全力をあげようではありませんか。
小泉内閣が農業・食糧の分野でやろうとしているのが「農業版構造改革」です。
昨年十二月、農水省は「米政策改革大綱」を打ち出しました。
そもそも「米改革」はどういう経過で始まったのか。一昨年秋、農水省は“いまの農政が続けば日本の稲作は果てしない縮小サイクルに入る”と言い始めました。
「いまの農政」とは、自民党と公明党による農政です。農政を破綻させ、今日の農業と稲作の危機を作り出した責任を棚上げして、戦後農業の復興と農業経営の発展に役割を果たしてきた三つの政策の柱米を中心にした価格保障、農地、農協を根こそぎ破壊する、まさに「戦後農政の総決算」をこの機会に小泉「改革」の流儀でやろうとしています。
この影響は米だけにとどまらず、畑作や野菜、果実、畜産にまで及び、日本農業の危機をますます深化させるものです。小麦や大豆の価格保障が廃止され、民間流通にさせられてきましたが、いま「ミスマッチ」ということで大豆や小麦が買いたたかれ、買い手がつかず山積みされています。米もこういう事態にされる危険が大です。
政府は渋々ながら二〇一〇年までに食料自給率を四五%に引き上げるという目標を設定していますが、これでは向上どころか、ますます自給率が引き下げられ、国民が国産の農産物がほしいと思っても、手に入るのは輸入物しかないという事態がますます広がる、まさに亡国の農政です。
攻撃は重大ですが、それでは、事態は悪い方にだけ進んでいるのか、展望はどこにあるのかということをよく見ることが大事です。
自民党政治の危機を「改革」によって延命させることが小泉内閣の使命でしたが、いま「痛みに耐えれば明日がある」と思っている国民はほとんどいません。小泉内閣の破綻は明瞭です。
そして私たちが注目しなければならないのは、これまで自民党政治を担ってきた人たちの動きです。全国町村会・全国町村議長会主催の自治体合併押しつけに反対する総決起集会が、二月に日本武道館で開かれます。日本医師会をはじめ、医療関係四体が小泉内閣が強行した医療制度改悪の撤回を厳しく要求し、政府・与党と対峙しています。農業の分野では、農業版「構造改革」のなかで、農協や農業委員会の存在を否定する動きへの反発が起きています。
重要なのは、自民党政治が自らの悪政によって政権基盤を掘り崩していること、しかも、その規模がこれまでと比較にならないほどのスケールになっていることです。
この間、全国で農協、市町村、農業委員会などを訪問しました。どこでも「村や町、農協がつぶされる」「地域から農業が消える」「小泉内閣に殺される」という怒りの声や悲鳴があがっています。そして農民連の示す方向こそ地域農業を発展させるものだという共感の声も多数寄せられました。政府・与党が悪政を強めれば強めるほど、彼らをこれまで支えてきた人たちを含めて、抜き差しならない矛盾が広がり、懸命に農業に向き合っている人たちと、私たちとの共同が広がるという状況になっています。
農業を破壊して輸入攻勢をますます強めようという動きのなかで、安全・安心できる国内産の農産物を求める声が私たちの想像を絶するほどの規模で、全国に広がっています。
WTOノーや、価格保障重視の国際的流れも顕著であり、WTOを絶対視し、市場原理によって農業を破壊している日本政治の逆立ちぶりは際立っています。
いまのような凶暴な政治はいつまでも続きません。しかし黙っていては事態は打開できません。広範な人たちと、暮らしと福祉、農業など、さまざまな要求による連帯・共同で悪政を包囲するたたかいを草の根から広げることが今ほど求められているときはありません。
[2003年2月]
農民運動全国連合会(略称:農民連)
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