「農民」記事データベース20030203-572-06

佐々木健三会長の大会あいさつ

関連/第15回農民連大会への報告
   選出された新役員
   各界の10氏が連帯のあいさつ
   各界からの祝電とメッセージ


 第十五回大会に参加された代議員、評議員のみなさん、この一年間、草の根でたたかいを進め、大きな前進を勝ち取ることができたことを、ともに喜び合いたいと思います。来賓のみなさんには大変にお忙しいところをご参加いただき、私たちの運動に励ましのごあいさつをいただくことに心から御礼申し上げます。また、顧問の鈴木武さんが闘病生活をしながら元気に参加されたことを紹介します。(大きな拍手)

 21世紀の農民一揆

 さて、この一年の私たちのたたかいは、まさに激動の連続でした。「戦後農政の総決算」といっていい小泉農業構造改革は農民にとてつもない痛みを押しつけています。農水省は十二月三日に「米政策改革大綱」を発表しました。

 私たちは、これに対して翌十二月四日に久しぶりに大規模な全国集会を開きました。この日は大変冷たい雨が降って厳しい条件の集会になりましたが、千三百人を超える仲間が参加して、一人も落伍することなくやり通すことができました。ある方が言っておられました。「百姓はどんなに雨が降ろうが、風が吹こうがやることはやるんだ」。トラクター五台が霞が関周辺でデモをしましたが、このところなかったことです。公務共闘のみなさん方が五時間も粘って交渉してやっと許可をとった成果です。雨のなかのトラクターを先頭にした全国の仲間のたたかいを見て、私は思わず「これこそが二十一世紀の農民一揆ではないか」と叫んでしまいました。

 集会でみんなで歌った「ふるさと」の合唱に、感激の涙を流した人はたくさんいました。この感激の涙を、ただその日の涙で終わらせないで、たたかいの出発点にしようではありませんか。

 これから一年間のたたかいは、米のたたかいが大変大事になります。今度の大会でも特別報告があります。しっかり学んで、明日からのたたかいを大きく前進させようではありませんか。

 国政を動かすたたかい

 昨年一年間、私たちは国政を大きく動かすたたかいに取り組みました。

 一つはBSEのたたかいです。日本で初めて発症したBSEは、畜産農民をはじめ関係業界にとてつもない影響をおよぼし、国民には食べ物に対する大きな不安を撒き散らすという事態をもたらしました。これは政府機関が認めるように、明らかに政府の失政です。

 これに対して農民連はすばやく「BSE一一〇番」を開設し、一戸一戸の酪農家を回って、損害賠償を求める運動を進めました。度重なる農水省交渉、農水省前に牛を引き連れての大衆行動などさまざまな行動を行いました。もちろん、まだまだ不十分な点はありますが、この運動によってBSEの特別立法が成立しました。これは私たちの運動が大きく影響したといってまちがいないと思います。

 もう一つは、食の安全が非常に大きな社会問題になるなかで、農民連食品分析センターが発表した輸入冷凍ホウレン草の残留農薬問題が一躍脚光を浴びたことです。

 それまで輸入冷凍ホウレン草は、まったくフリーパスで食卓にのぼり、「安全で栄養があると思って食べていた」多くの消費者のなかに不安が一気に広がりました。冷凍ホウレン草のほかにもさまざまな輸入農産物の分析をやり、分析センターの活躍は、その後の食品行政にも大きな影響を与え、食品衛生法の改正などさまざまな前進を勝ち取ることができました。これもわが農民連の運動が、国政を動かした大きな成果でした。

 もちろん、さまざまな問題で私たちは厳しい状況におかれています。しかし、この苦しさ、厳しさは農民だけではありません。労働者は合理化・リストラ、倒産などさまざまな問題で苦しんでいます。中小企業のみなさんも、企業の倒産、銀行の貸し渋り、医療・福祉の大改悪で多大な負担増が押し付けられています。このようにさまざまな問題で小泉政権の国民いじめの政治が進められており、共同の運動の重要性はますます高まっています。

 民主町政の誕生に一役

 その一方で、地方では今、政治の大きな変革が生まれています。私の地元・福島県では、霊山町に農民連会員の町長さんが誕生しました。先日、抱負をうかがいましたが「これからが大変だ。町の政治を変えることも大事だが、大本の国の政治を変えないと、どうしようもない問題がいっぱいある」と町長さんは話しています。

 福島県の県北地方は、このほかに農民連も参加する選挙母体が中心になって、桑折町、川俣町などに次々に民主町政が誕生し、一市九町のうち一市三町に住民本位の政治を進める首長が誕生しています。いずれも農業が基幹産業であり、農業の厳しい状況をなんとかしてほしいという切実な声が寄せられたものだと思います。民主町政が誕生したところでは、それぞれ農民連の組織があります。しかもその一つである川俣町は、農民連会員の農業委員さんが四人もいます。

 こういう変化は、全国どこでも生まれる可能性があります。今年はいっせい地方選挙の年であり、政治を変えるためにも全力をつくそうではありませんか。

 もの作り運動に全力

 もの作りの点でも大きな前進があります。米の問題では、後ほどごあいさつをいただく長谷部さんが理事長をなさっている日本米穀小売商業組合連合会との共同もおおいに進んでいます。昨年は東京だけではなく、名古屋や大阪地方にも米卸さんとの共同が広がっています。

 いま一番大事なのは、安全でおいしい農産物をわれわれがどれだけ作るか、長谷部理事長さんの言葉を借りれば「自分の親戚や孫子に食べさせるような農産物」を大いに作ることです。もの作り運動に大いに頑張ろうではありませんか。

 仲間づくりの問題も大変に大事であります。いま新聞「農民」は、農民だけではなくて多くの国民のみなさんに広がっています。とくに、私の経験で言いますと、消費者のみなさんに食と農を訴える点で、新聞「農民」は抜群の威力を発揮します。生産農民だけではなくて幅広い消費者のみなさんにも新聞「農民」の読者を増やしていきたいと思っています。

 最後になりますが、この大会が掲げる目標として、三つの点を強調したいと思います。

 一つは、自民党は農政だけではなく、国民の暮らし全体を破壊しています。むき出しの悪政に対し、最低限の生活保障を求める幅広い人たちと共同して一大国民運動を発展させようではありませんか。

 二つめは国の食糧政策を放棄する「米政策改革大綱」を許さない生産点でのたたかいが非常に大事です。自民党農政がものを作るなという政治をやっているとき、全国連のネットワークを生かして大いにものを作ろうではありませんか。

 三つめは、農業で頑張る仲間を増やし、すべての都道府県に農業再生を担える農民連をつくることです。

 大会の三日間、みなさんの日頃の活動の経験を大いに報告しあい、学びあいましょう。新たな飛躍をめざす実り豊かな大会にすることをよびかけて開会あいさつといたします。


選出された新役員(敬称略)

会長  佐々木健三
副会長 白石淳一、堂前貢、真嶋良孝
財政責任者 中津孝司
事務局長 笹渡義夫
事務局次長 石黒昌孝、飛田元雄、根本敬、村尻勝信
常任委員 飯島和子、上原実、小倉毅、岡田厚美、小竹節、小林恭子、斎藤敏之、佐藤長右衛門、高橋マス子、坪井貞夫、二瓶康一、松本慎一、山口和男、山下始胤、横山昭三(新)、吉川利明
会計監査 椎名二郎、高橋正巳、名倉正雄
顧問 大坪求、小川洵、奥登、小林節夫、椎名正男、重富健一、嶋岡静男、下山田虎之介、鈴木武、高橋嘉一郎、谷口一夫、松倉多助


各界の10氏が連帯のあいさつ(順不同・敬称略)

 [第一日目] ▽日本共産党中央委員会書記局長 市田忠義▽日本米穀小売商業組合連合会理事長 長谷部喜通▽全国労働組合総連合議長 熊谷金道▽新日本婦人の会副会長 高田公子▽全国商工団体連合会会長 市川喜一▽全国食健連事務局長 坂口正明
 [第二日目] ▽国民大運動実行委員会代表世話人 西川征矢▽全国革新懇代表世話人 向谷正夫▽アジア・アフリカ・ラテンアメリカ連帯委員会理事長 秋庭稔男▽全国農業協同組合労働組合連合会中央執行委員長 中沢善治


各界からの祝電とメッセージ

▼公務労組連絡会▼日本国家公務員労働組合連合会▼全税関労働組合▼全気象労働組合▼全司法労働組合▼全日本教職員組合▼全運輸省港湾建設労働組合▼全厚生労働組合▼日本高等学校教職員組合▼全国検数労働組合連合▼全国印刷出版産業労働組合総連合▼雪印食品一般労働組合▼明治乳業全国争議団▼東京都教職員組合▼全国生協労働組合連合会▼東京土建一般労働組合▼東京地方労働組合総連合▼東京靴工組合本部▼全日本民主医療機関連合会▼全国農業教育研究会▼日本婦人団体連合会▼食料・農業・食の安全に関する生協懇談会▼日本母親大会連絡会▼原水爆禁止日本協議会▼公害・地球環境問題懇談会▼全国大学生活協同組合連合会▼婦人民主クラブ(再建)▼日本青年団協議会▼自治体問題研究所▼全国保険医団体連合会▼自由法曹団▼消費税廃止各界連絡会▼日本国民救援会中央本部▼労働者教育協会▼あかつき印刷▼代々木総合法律事務所▼家庭栄養研究会▼立正大学法学部教授・税理士・浦野広明▼顧問 小林節夫▼日本共産党・衆議院議員 松本善明▼同 中林よし子▼同 石井郁子▼同 春名眞章▼同 矢島恒夫▼同 藤木洋子▼同 瀬古由紀子▼同 塩川鉄也▼日本共産党・参議院議員 市田忠義▼同 紙智子▼同 富樫練三▼同 西山とき子▼同 宮本たけし▼同 畑野君枝

(新聞「農民」2003.2.3付)
ライン

2003年2月

農民運動全国連合会(略称:農民連)
〒173-0025
東京都板橋区熊野町47-11
社医研センター2階
TEL (03)5966-2224

本サイト掲載の記事、写真等の無断転載を禁じます。
Copyright(c)1998-2003, 農民運動全国連合会