米・農業つぶしを許さない国民共同を!
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米を守るたたかいはこれからが正念場です。大事なことは、政府がやろうとしていることを多くの農民に知らせ、農民連の見解と提案を伝え、一緒にたたかおうと呼びかけ、世論と運動を急速に広げることです。とくに組合員のみなさんが学習し、怒りをもってたたかいの先頭にたつことです。
二月二十日には国民春闘共闘会議が、国民総決起の全国統一行動を提起しています。国民の命とくらし、経営、平和を守る多様な国民的たたかいと結んで、主食・米を守れ、田んぼを守れという要求を掲げて合流しましょう。
三月中旬に食糧法改悪案が国会に提出されるという報道があります。この直後にはいっせい地方選挙がたたかわれます。コメ問題、農業問題を一大争点に押し上げ、悪政推進勢力に痛打をあたえるたたかいを全国で展開しましょう。国会の動きなどをみながら、必要な行動を配置します。
もう一つは集落ぐるみ、町ぐるみで生産を広げ、地域を守る運動、農政を転換させるたたかいを広げることです。
悪政をストップさせるたたかいだけでは、農民は元気になりません。ものを作る運動、活力ある地域を作る、そういう視点からの運動が、もう一つの柱です。
農地法改悪のねらいはこの間の私たちの奮闘、共同の前進によって後退をせざるを得ない状態になっています。「構造改革特区」は国会では強行されましたが、多くの農業委員会が反対の声をあげ全国農業会議所が六つの点にわたって懸念を表明しています。私たちはものを作る農民が農地を所有してこそ農業は発展するということを基本において、農業委員会や全国農業会議などとも大いに共同し、農地法の改悪阻止、株式会社の農地所有や農業への参入を許さないために力を尽くしていきたいと思います。
農地を守るたたかいで大事なもうひとつの問題は、耕作放棄地をなくす課題です。いま耕作放棄地が全国で二十一万ヘクタール、この五年間に三割も増えています。自治体と共同し、取り組みを広げることが求められています。
中山間地域直接支払い制度については、いま千九百十三自治体で制度が活用されていますが、支払い単価、財源、面積要件など、実効あるものに改善する要求運動も大切になっています。
「米政策改革大綱」が発表されて以降、農協からは不安の声があがっています。ある県の農協幹部は「全中からはなんの説明もない。農民連さん、ぜひ、反対の声ををあげてほしい」という声を寄せています。
農民連は、家族経営を基礎にした農民の協同の組織である農協は、地域農業を発展させるうえで欠かせないと考えます。農協の役割を否定し、大企業の支配のもとに変質させる「農協法改悪」に反対するとともに、農協の役割を尊する政策を要求し、農協との共同に力を尽くすものです。同時に、農協自身が、農民の協同組合として、主人公である農民の利益と経営を守る立場にたって地域農業を振興させる先頭にたつことを強く願うものであります。
大会決議案で、農産物価格の問題を国民の生きる権利、ナショナル・ミニマムという観点から打ち出しました。この視点は憲法第二十五条の「国は国民に最低限度の文化的生活を保障しなければならない」に立脚した中身です。
労働者の分野では最低賃金ですが、これが確立されていません。いま労働運動のなかで、労働者が生活できる最低限のルールの問題として全国一律最低賃金を求める動きが広まっています。年金者組合などは老後の最低限の生活を保障する「最低年金」を確立する運動を進めています。生活費非課税の原則に立った課税最低限を実現する運動も重要です。私たちは、農民の生きる権利としての農産物の価格保障の実現を国民共同のテーマにおしあげるために力をつくすものです。
食と農、健康を守る共同の運動センターである食健連運動なしに、今日の食と農、健康を守る運動を国民的課題に押しあげることはできませんでした。食健連運動を地域を基礎に発展させるために地域食健連を広げる先頭に農民連がたつことが重要です。
同時に、この運動についても新たな発展が求められています。全国に食健連の構成員は三百三十万人います。この構成員の要求にこたえる運動、食・農を中心に住み続けられる地域づくりの共同、こういう視点で、グリーンウエーブのときだけにせず、恒常的な運動として食健連運動を発展させなければなりません。
決議案では「米改革」や農業つぶしの内容を農民が知れば知るほど、怒りとともに失望を深めるという状況があることを指摘しました。そして攻撃を許さないたたかいに全力をあげるのは当然ですが、もの作りの呼びかけと実践なしに農民は決して元気にならない、誇りを取り戻す気概に燃えた運動を今こそ展開しようと呼びかけました。
私たちの目の前には、楽観できない重大な問題がいくつもあります。稲作経営安定対策が大幅に骨抜きされ、転作奨励金もなくなります。米流通の規制緩和が行われ、米流通はますます大手中心になり、激しい買いたたきがねらわれています。さらに、米だけではなくて、野菜も果樹にも影響は及ぶでしょう。
こういう事態のなかで大変だといって嘆き、傍観し、情勢の論評だけしていたら経営を守ることも、農業の再生もできま
せん。大事なのは、私たちが今こういう情勢の中で生まれているもう一つの側面をしっかり見て、これを確信に運動を強めることです。
日米連の長谷部理事長が全国のお米屋さんを代表してご挨拶してくださいましたが、お米屋さんも米改革のなかで切り捨ての対象です。こういう中で、日米連が「マイスター制度」をスタートさせました。米屋さんが研修して米を見る眼力を高めよう、そして量販店ではできない対面販売という強みを生かし、お客さんを説得できるような米屋さんになろうというのがこの制度の趣旨です。この取り組みのなかで、生産者の顔が見えて、栽培履歴を消費者に説明できる米を扱いたい、その有力な提携の相手として農民連に大きな期待を寄せています。こういう大きな流れのなかで、米卸・小売との提携が広がっています。
現在の事態のもとでは個々の組織や産直組織だけの奮闘では展望は生まれません。いま、もし私たちが全国ネット、ブロック・県でのネットワークによる共同で国民とのルートを持たなかったら展望は生まれません。同時に、現在の農民連会員の生産を守るだけでは日本の農業を再生することはできません。多数の農民に農民連への運動への参加を呼びかけて結集し、生産を大きく広げることが求められています。
全国の力を結集したガーデンメッセの取り組みは関東を軸に地域の農産物が寄せられ消費者の要望にこたえて前進しています。和歌山の紀ノ川農協の直売所「ふうの丘」なども同様です。ガーデンメッセのような取り組みや直売所を各地でつくろうではありませんか。
(1)スーパースイート「きぼう」の運動の教訓を生かし、北海道から沖縄まで文字通り全国日本列島三千キロの視点でリレー出荷に取り組み、輸入農産物と対決すること、(2)北海道のじゃがいもや玉葱などを関東の学校給食に届ける取り組みが始まっていますが、畑作物、果物なども、食健連の仲間や学校給食、加工業者・業界などさまざまな人たちと結びき提供する、(3)農協の倉庫に積まれている小麦や大豆なども国内産の安全なパン、うどん、豆腐、味カイ、醤油を求める人たちに供給する、(4)埋もれた生産を掘り起こして国民に届けるルートを日本中に張り巡らす全国が一つになって、こういうダイナミックな取り組みを展開しようではありませんか。
具体的な方向については、産直協の力も借り、全国の英知を結集して検討を深めます。
生産を広げる主戦場は地域です。決議案で紹介した長野県佐久市の「酪農倶楽部」の教訓は、農民は生産意欲を失っているように見えるが、奥底では農民としての生産意欲を持っており、われわれがどう接近し、共感し合うか、働きかけが本当に大事だということです。
同時に、輸入農産物を跳ね返そうという農民連の存在や、県ネット・ブロックネットの存在が大きな激励となっていること、また、農民連とともに、産直センターが地域に目を向けて一緒に呼びかけたことも重要な教訓です。
消費税増税をはじめ、重大な増税がたくらまれているなか、重税に反対し、暮らしと経営を守るたたかいは特に重要です。確定申告の運動では、農家が対策をとらなければとんでもない重税を押しつけられるというのが実態です。すべての農民を視野に入れ、すべての地域で宣伝・対話を強め、無数に「税金相談会」を開きましょう。
今年は、固定資産税の評価替えが行われます。固定資産税のテキスト的な資料を用意しました。
税金問題をはじめ、農民の多様な要求を実現する運動は、農業を続けていくための条件をつくる運動です。また、会員拡大の前進にとっても、要求運動の前進が鍵です。
分析センターの存在は農民連だけでなく安全・安心できる農産物を求める国民の財産です。重金属の分析への対応をはじめ、機能の強化に向けた努力を進めます。「二千万円募金」を成功させることを強く訴えます。
[2003年2月]
農民運動全国連合会(略称:農民連)
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