大会の発言から
女性パワーが担う直売所「南薩摩路」鹿児島県連 松山文子私は、鹿児島県の薩摩半島のかつお節で有名な枕崎市から来ました。南さつま農民組合の私たちの班は、五年前にエフコープとのグリーンピースの産直がきっかけで二人で結成しました。今では、十人の会員で産直や直売所をやっており、女性が活動の中心を担っています。 直売所は、できるだけお金をかけずに組合員が協力して作りました。山林だった土地を会員のご主人に整地してもらい、建物は古材を持ち寄り、私も土をダンプに運びました。そうして完成したのが直売所「南薩摩路」です。八月十日のオープンには数千枚のチラシを新聞に折り込み、ボカシ堆肥で作った新米は飛ぶように売れました。 「日本の食糧は日本の大地から」の大看板と農民連のノボリを掲げています。ある時、これを見た茨城の青年が「農民連の人を知っている」と立ち寄ってくれました。そのとき私は「私たちの組合は小さいが、農民連はなんて偉大な組織だ。組合員をもっと増やそう」と思いました。 鹿児島県連はこの一年、BSEや米の問題、税金の運動などにとりくみ、出水農民組合を結成し、直売所も二カ所で開設しました。鹿児島県は桜島をはさんで大隈と薩摩の二つの半島にわかれていますが、それぞれに専従者を置こうと話し合っています。組織の拡大にも新たな芽が生まれており、全国のみなさんの経験に学んで意気高くがんばろうと決意しています。
三つの単組を軸に組織の倍化をめざす奈良県連 古川治義一九八八年に二つの班と四十三世帯で発足した奈良県農民連は、昨年十二月、三百世帯、五百人を超える組織に前進してきました。しかし、まだ県下の農家数の一%にも満たない組織で、これでは今の厳しい情勢を乗り越えることはできません。昨年十二月に設立された三つの単組を軸に、今年一年、組織の倍化にとりくむ決意を表明します。奈良県農民連はこの間おもに税金の申告時期に二十〜三十世帯を拡大してきました。毎年減らさず着実に前進してきたのはいいのですが、このペースでは十年経っても二百世帯しか増えません。これでは情勢の変化に間に合わないということで、三つの単組をつくる方針を掲げました。 昨年の県大会をめざす役員会では、この方針をやりとげるために大激論をしました。そして、組合員が増えるのを待つのではなく、まず器(うつわ)をつくろうと意思統一し、班会議で組合員に訴えて会費の値上げを理解してもらうことになりました。 昨年の大会で会費の値上げは承認され、迎えた税金のとりくみでは、八人の相談員を三つのセンターに配置し、十四万枚のチラシをまき、百三十三回の相談会を開催して五十二世帯増えました。十二月までにさらに九人の新会員を迎えて、三つの単組が設立総会を開き、役員と半専従を置くことができました。 今年は、この三つの単組を軸に、全農家を視野に入れて、税金をはじめ農家が抱えるあらゆる要求に目を向け、地域に根ざした活動をやろうと決めています。また、空白の自治体を克服し、すべての行政区に農民連の旗を掲げ、三つの単組がそれぞれ百人を増やして、フル専従を置くことをめざしています。
地域で農業を守る協力・協同を広げよう和歌山県連 宇田篤弘いま地域の農家は「これからどうしていこうか」という不安でいっぱいだと思います。そういう状況のなかで、私たちは二年前に、「農家の物心両面のよりどころになる紀ノ川農協になろう」という方針を出しました。その実践として多様な産直に挑戦しています。一昨年六月に事務所横に「ふうの丘」という直売所を開設しました。常時百人くらいの組合員が出荷しており、一年間の販売額は一億七千万円くらいになっています。また昨年四月から大阪や和歌山のスーパーにインショップを出しはじめ、今では二十店舗を超えています。こうしたとりくみを通じて、二年間で百人近くの組合員が増えました。 さらにこの二年間は、組合員が関わっているいろいろな組織との協力・共同の関係が築かれ、発展しているというのが大きな特徴です。例えば、地元の有機農法実践グループがインショップの運営に責任をもち、足りない農産物は紀ノ川農協が支えるといった関係が生まれています。そうしたなかで、那賀郡に「地産地消を進める会」が作られたり、学校給食に地元のものを届ける運動も進んでいます。実践グループの方たちが、農業委員会などいろいろなところでがんばっています。 農家は不安とともに、おいしいものを消費者に届けたい、地域で農業を続けたいという強い思いを持っています。そういう思いをまとめて運動と事業の輪を広げていきたいと思っています。
(新聞「農民」2003.2.3付)
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[2003年2月]
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