仲間を増やして亡国農政を
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また、これまでの「春の大運動」時だけに集中した組織拡大の取り組みから脱皮して日常的な拡大運動に発展させることを追求してきました。夏と秋に集中的な会員・読者拡大運動を呼びかけ、新たな情勢のもとで「たたかいの中で組織を作る」ことや、要求運動に強い組織作り、農民連の綱領や組織作りを学ぶ役員・専従者研修会の開催などです。また青年農業者への働きかけも重視してきました。
21年から22年にかけて持続化給付金の要求で2200名余の会員を迎え入れ、税金や産直など、農民連の様々な要求運動への参加を促して定着させる努力が行われ、一定の前進があったことは重要な成果でした。
6月から8月まで取り組んだ拡大運動は、3年にわたるコロナ禍で集まりが困難になるなどの運動の障害を乗り越えて全ての組織が外に打って出る契機にする運動でした。各組織が自ら決めた目標を尊重するとともに、最低限の拡大目標として会員10名、読者10名の達成を呼びかけ、「みんなで議論、みんなで実践」を重視して取り組み、現勢の小さい県連の奮闘をはじめ、いくつもの組織が目標を達成しました。
夏の拡大運動の成果と教訓を踏まえ、10月から全国委員会までの「農政を変える仲間づくり運動」を呼びかけました。こうした努力が行われたものの、拡大数を上回る会員や読者の減少があり、前年度現勢から後退したことは重大です。
25年1月に開催される第26回定期大会を、組織を前進させる新たな条件が広がっているもとで取り組まれる「春の大運動」を成功させ、たたかいと結んだ持続的な拡大の独自追求で組織の後退に歯止めをかけ、前進に転化させるために奮起しましょう。
また、全国で農と食、新基本法などをテーマに160カ所以上で開かれている学習会はどこでも盛況で、読者拡大や自給率署名推進の力となり、その場で会員が増える事例も生まれています。全国全ての自治体で学習会や集いを成功させ、組織作りの契機にしましょう。飼料や肥料などの高騰、災害、税金やインボイスなど、農家の多様な要求実現と農政を変える運動を大きく広げ、「たたかいの中で組織を作る」見地で組織拡大を前進させましょう。
第26回大会に向けて、全ての都道府県連が3けた以上の組織になること、全ての都道府県連に専従者を配置することを大目標に据えて奮闘しましょう。
農業と地域を守る農民連の姿を広くアピールし、農民の多面的要求を実現する取り組みを広げてこそ組織は前進します。大きな志をもち、みんなで励まし合いながら税金や経営を守る要求で具体的に農民に働きかけましょう。全国の取り組みに学んで要求運動に強くなること、事務所と専従を配置した組織にするために、これを支える会費にすることも必要です。
一定の現勢をもった組織が牽引車になることが全国的な前進にとって不可欠ですが、県連体制の強化、事務所と専従者を配置して自己回転する単組作り、組織の担い手を養成するなどの課題を抱えています。こうした前進への努力と一体に、組織拡大の先進的役割を果たしましょう。
今年の「春の大運動」は、インボイス登録で初めて消費税申告を迫られる数十万人の農家や商工業者・フリーランスの人たちの怒りの声を総結集し、消費税減税、インボイス廃止に追い込む一大決起の場です。
インボイス制度の導入で新たな消費税課税業者になった農家が農民連会員を含め、全国で数万人に及ぶと推定され、初めての消費税申告に戸惑っています。申告相談に税務署は対応しないことを宣言し、JAなども系統外出荷農家には対応しません。税理士も課税業者が増えたために対応しきれない状況で、農家を守るのは農民連しかありません。
全国で農民連の宝の『農業収入・支出記帳簿』と『税金対策の手引き』をすべての会員が活用して農民連の自主申告運動を組織的に進めることが大切です。
今年初めて消費税申告を余儀なくされる組合員を含む農家の消費税申告に対応するため、早急に体制を確立することが大切です。消費税申告を援助できる力を身につける養成講座、学習・交流会の開催を本部、ブロック、県・地域で開催します。
この間、「春の大運動」での拡大数が減少しています。24年「春の大運動」を前進への転機にするため、全ての都道府県と単組が意欲的な拡大目標を決め、出足早く取り組みに踏み出しましょう。
300万円以下の所得で記帳・帳簿書類の保存がない場合に、その事業を事業所得として認めず、雑所得扱いにする動きが出ています。農民連の『記帳簿』の活用を呼びかけ仲間を増やしましょう。自主申告運動への干渉・徴税攻撃を跳ね返しましょう。全ての単組で「上手な記帳簿のつけ方」勉強会を開催しましょう(養成講座テキスト参照)。
農民連は全国47都道府県連の連合体であり、都道府県連の果たす役割は特別に重要です。
(1)都道府県連は、農民連を構成する基本組織であり、農民運動の都道府県のセンターとして、それぞれの管内の農民の要求実現と統一と団結、地域農業の維持・発展、食料に関わる課題に責任を持ちます。
(2)組織建設を最も重要な任務とし、質量ともに強大な組織を作ることが求められます。全国連の方針を正面から受け止め、全国の進んだ経験に学んで具体化し、単組や支部を援助して一緒に実践すること、県内の経験を集約して教訓化し全国に普及することです。
(3)空白地域を克服することは都道府県連の固有の任務です。
(4)どんな方針を出しても、方針が組合員まで伝わらなければ組織は機能しません。相互に循環する組織となるために都道府県連は単組(現場)に入って激励し、一緒に実践しましょう。現場の実情・要求を聞き、方針を豊かに発展させましょう。
「家族農業の10年」、「農民の権利宣言」の中でもジェンダー平等が大きな柱に位置付けられています。あらゆる差別をなくし、農村に生きる一人ひとりの尊厳を守るためです。生産現場の中で、とりわけ弱い立場にある女性が農業で安心して暮らしていける社会をめざしましょう。政府に女性差別撤廃条約の個人通報制度の早期批准を求めます。
すべての都道府県に女性部・青年部を確立し、活動を強めましょう。ビア・カンペシーナの女性・青年会議へも代表を派遣していきます。
このような中での自民党パーティー券の構造的疑惑の発覚は国民の大きな怒りを呼んでいます。岸田政権の支持率は10%台にまで落ち込み、自民党支持率も急落し、「もう自民党政治は終わらせろ!!」との声が噴出しています。「裏金問題」は単なる政治資金の未記載の問題ではありません。大企業と自民党の癒着構造が明らかになり、その結果、一部の大企業と大金持ちだけがもうかる規制緩和や減税が進められ、安倍官邸農政のもとで農業も国民生活にも「新自由主義」を拡大させてきたことにこそ問題の核心があります。
いま、自民党政権の支持基盤が揺らいでいます。それを突き上げる国民各界各層からの大きなうねりが作り出されるかどうか、歴史的な岐路に立っています。
2024年はいよいよ、政変の年です。この大激動の中で、「食料・農業・農村基本法」の改定が国会に上程されます。「食と農の危機」を国政の大きな争点に押し上げ、農民連が「新基本法への提言」で示した方向での農政の転換、食料自給率向上を政府の法的義務にする基本法を成立させるチャンスです。
NHKは11月「食の防衛線」として2回シリーズで「主食コメ・忍び寄る危機」、「牛乳・肉・卵 たんぱく源を守れるのか」を放送し大きな反響を呼んでいます。
農民連が全国で草の根の学習会やパンフの普及、農業を守る取り組みを広げ、どこでも「食料自給率向上が話題ですね」と声をかけられるところまで世論を盛り上げてきました。
21年の総選挙後、「市民と野党の共同」への激しい攻撃が展開されました。しかし、草の根の市民と野党の共同はがんばっています。23年の参議院高知選挙区での勝利をはじめ、市民と野党の共同の再構築が進められています。農業分野での野党共闘は米危機打開・畜産危機打開などの運動を通じて構築してきた農民連の成果です。この取り組みをさらに強めるためにも、自給率署名や学習会を思い切って進めることが大切です。
対米従属と財界言いなりの「二つのゆがみ」で、日本の農業と食料をここまで破壊してきた自民党政治への怒りを「みんなの力で自民党政治を終わらせる国民的大運動」のたたかいに発展させるため、農民連もそのたたかいに合流し奮闘しましょう。
[2024年2月]
農民運動全国連合会(略称:農民連)
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