「農民」記事データベース20230925-1570-12

広げよう!自給率向上署名
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農基法改定に向け農政審が最終答申

 農林水産大臣の諮問機関である農政審議会は9月11日、食料・農業・農村基本法改定へ向けた最終答申を提出しました。5月に公表された農政審基本法検証部会の「中間とりまとめ」を「農政審答申」に看板替えしただけのもので、農民連が「新基本法への提言」で指摘した問題点はなんら解消されていません。

 農水省はこの夏に、国民の意見を聞くパブリックコメントを募集し、全国11カ所で地方公聴会を実施。パブリックコメントは20〜60代の方々が約1200件の意見を寄せました。内訳は種子の自給を求める意見が半数の540件、食料自給率、価格保障、生物多様性、有機農業などの改善を求める意見がそれぞれ100件を超えました。

国民の意見は何も聞かず
自給率向上を放棄

 北海道の農業団体関係者(40代)からは▼食料自給率向上に向けた数値目標の明記と実効性確保、▼家族経営を主体とした多様な農業者の経営安定と再生産確保、▼輸入依存からの脱却を求める意見が寄せられ、東京の消費者からは「食料自給率の向上。農業関係者の支援を充実し、輸入に頼らない政策を」という切実な声が届いています。しかし、これらの声はすべて無視されました。

 第一に問題なのは、食料自給率を単なる「指標の一つ」に格下げし、政府の責任で自給率向上をはかることを放棄していること。私たちは新基本法で、国内増産で食料自給率を引き上げることを政府の法的義務とすることを要求します。

 第二に、答申には、農家と農地の減少、食料自給率の低迷など、現行基本法制定以降の情勢の変化や課題を並べてはいますが、しかし、政策の問題点の検証はなく、際限のない輸入自由化、欧米に比べ貧弱な価格保障・所得補償など、基本法60年の失政への総括・検証がないこと。

 第三に、農政の「見直しの方向」では、国が責任を持たない「適正な価格転嫁」や「生産性の高い経営体」の育成、「輸出産業への転換」「スマート農業の推進」など旧来の政策のオンパレードに加えて、「不測の事態」に備えた食料有事立法の検討も促しています。

 岸田首相は内閣改造の後に、一つ覚えのように「今日より明日は良くなる」と繰り返していますが、これでは「今日より明日は確実に悪くなる」といわざるをえません。

 「安心・安全な食料を」との国民の願いに応えるには、食料自給率向上を国政の中心課題にすえ、価格保障・所得補償の充実など農業が続けられる政策、農産物輸入自由化路線からの転換が急務です。私たちは国民の皆さんと共同して「亡国の農政」を「希望の農政」に転換するために力を尽くします。

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(新聞「農民」2023.9.25付)
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2023年9月

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