「農民」記事データベース20210621-1461-07

全国各地で活躍
営農とくらし守る農民連
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農業労災
治療費全額補助
手厚い休業補償

 高齢化や大型化 増える労災事故

 千葉県では毎年ゴールデンウイークあたりが田植え作業のピークです。今年は気温の上昇により、いつもより苗が早く成長したところもあり、ゴールデンウイーク前に慌てて田植えを始めた農家もいます。

 農作業が集中するこの時期は事故も起こりやすく、労災事故の連絡も続けて入ります。

 千葉県農民連では「千葉県農林業厚生協会」として農業労災の加入や災害申請の手続きを行っています。

 高齢化や後継者問題もあり、機械に頼らず農作業を行うことは困難な現在では機械の大型化や高速化にともない、重大事故も起こっています。人手不足を補うための機械でも、万が一の事故に備えて、単独(一人)での作業にならないよう、できれば複数で作業を行うか、一定の時間が経過したら様子を見に行けるような体制を取ることも呼びかけています。

 2017年に地域の労働基準監督署で行われた「労働災害防止講習会」の中で、農業機械に関わる死亡事故が全体の6割以上になることや、今までは特に危険と言われていた建設業では対策が取られ、大幅に減った死亡事故も農業では横ばい状態であることも、報告されていました。

 また、一度の重大事故で治療にかかる費用も高額化しています。医療費も上がっており、万が一のための補償として農業労災への加入を訴えています。

農作業のケガに備えて

 農業労災に加入していれば、農作業でのケガの治療に関する費用の負担はなくなり、さらに農業労災の最大のメリットとして「休業補償」があります。医師による休業診断が必要ですが、ケガの治療後、元通りに農作業ができるようになるまでの補償があります。

 農作業を中心的に担う男性はもちろんですが、夫婦・家族で農業を行っている場合には女性にもぜひ、加入してもらうよう訴えています。

 県農民連では加入者のうち女性の割合は18%ほど。農作業だけでなく家事も担う女性がケガにより動けなくなることで、日常にも影響が出てしまいます。家事は毎日のことです。無理を重ねることのないように、安心して治療に専念できる補償が大切です。

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労災加入を呼びかける千葉県連のチラシ

 安心して農作業励める制度を

 国連による「家族農業の10年」が始まり、農業への関心が深まる中、日々の作業に関わる補償の面でももっと注目され、安心して農作業ができるように制度の見直しも求めていきたいと考えます。

 国民の命と暮らしを支えている農家が、安心して生産に励むことができるように。

(千葉県農民連 谷川聡子)

(新聞「農民」2021.6.21付)
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2021年6月

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