「農民」記事データベース20200706-1415-12

ネオニコ使わない取り組み
各地で始まる
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農と食の安全守るため何が必要か

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子どもに影響、懸念あるのに
基準を緩和する日本

 ネオニコ系農薬は安定性に優れ体内でも分解されることなく残り続けます。動物実験で、ネオニコチノイドは血液脳関門(血液と脳の間で物質のやり取りを制限する器官)や胎盤を通り抜けることが判明。人体でも母体から胎児への移行が確認されています。母体のネオニコ摂取の1時間後に、胎児のネオニコの血中濃度が母体と同程度だったという動物実験の報告もあります。

 日本の3歳児を対象に行った尿の調査では、8割の児童からネオニコ系農薬が検出されるという報告もあり、農薬の感受性が高い胎児や子どもへの影響が懸念されています。

 農薬には有害な影響が発生しない「無毒性量」が定められています。しかし、ネオニコ系農薬のマウス実験で「無毒性量」の投与で異常行動や生殖器細胞の減少、学習能力の低下などの異常が報告されています。

 ネオニコチノイドは神経系に作用する殺虫剤です。環境ホルモンと同様にごく微量でも生物に作用することが懸念され、基準値以下だから大丈夫と言い切ることは危険です。

 農薬メーカーなどは「食品安全委員会が審査しており安全」と主張しますが、審査基準に胎児期の暴露が成長期にどう影響するか調べる発達神経毒性試験が義務付けられておらず、試験結果も公表されていないなど、安全性が担保されているというには大きな疑問があります。

 ヨーロッパでは1999年のフランスでの規制を皮切りに、12年にはEU全域でイミダクロプリドなど3種類のネオニコ系農薬の屋外使用を禁止。14年にはオランダがフィプロニルとネオニコ系農薬の全面禁止法案を可決。18年にはフランスで5種類のネオニコ系農薬禁止の政令が公布されています。

 規制の強化に進む世界に対し、残留基準を緩和する日本は逆行しています。

(新聞「農民」2020.7.6付)
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2020年7月

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