「農民」記事データベース20200706-1415-10

ネオニコ使わない取り組み
各地で始まる
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 近年、話題になっている殺虫剤のネオニコチノイド系農薬。水溶性で使いやすく、少量で効果が長続きすることで米をはじめ、果樹や野菜などで広く使われています。使用の拡大に合わせ、農民連食品分析センターは市販のお米(玄米)の残留農薬を調査。全体の36%から何らかの農薬が検出されました。ネオニコ系農薬の使用をやめた農家の思いや取り組みを紹介するとともに、日本農業と「食の安全」を守るために何が必要か、消費者のみなさんと一緒に考えていきます。

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米の36%から残留農薬を検出
最多はネオニコ系、使用拡大くっきり

農民連分析センター調査

 2017年にみなさんのカンパにより、新しい残留農薬の検出機、LC/MS/MS(高速液体クロマトグラフ質量分析計)が導入できました。

 そこで今回は市販の米の残留農薬をLC/MS/MSで検査しました。

 検査結果は表と図の通りです。何らかの農薬の残留が検出されたのは294検体中の36%(107検体)。日本の残留基準値はもちろん、使用規制が厳しいEU(欧州連合)の基準値を超えるものもありませんでした。

 残留が検出された中身を見ていくと、ネオニコ系農薬が63%を占め、ネオニコ類似農薬まで含めると7割をこえます。特に多いのがジノテフラン。三井化学が開発したネオニコ系農薬で、「スタークル」「アルバリン」等の商品名で販売されています。野菜のコナジラミやコナカイガラムシ、カメムシなどの防除に使用。米の等級を下げるカメムシの防除に使用されたものが残留していると考えられます。

 一方で、ミツバチの大量死との関係性が指摘され、近年では人体やその他の生物への影響も指摘され始めています(下記記事参照)。ヨーロッパなどでは、フランスを皮切りに、使用禁止とする動きが進んでいます。

 世界の流れを受けて、生産者の中にも、「このままでいいのか」と、やり方を見直す動きが始まっています。


カメムシ被害で米の等級が下落

「ネオニコ」に頼らない米づくりを考えるとき

 カメムシが米の汁を吸い、吸い口から細菌やカビなどが侵入することで茶褐色や黒褐色の斑点のある「斑点米」となります。

 国の「農産物規格規程」によると、この斑点米を含めた着色粒が0・1%を超えると、1等から2等に等級が下落、0・3%を超えると3等まで落等してしまいます。2等になると60キログラム当たりの価格が300〜1000円、3等では1300〜2000円(JAによって異なる)も下がってしまいます。生産費を賄うことすら難しい低米価のなかで、この価格差は大きく、米農家にとってカメムシ防除は欠かせません。

 こうした背景があり、ネオニコ系農薬は有機リン系農薬の後継として「少量で効果が持続し、環境にも生物にも影響しない」という宣伝で、国内での使用が広がっています。国も残留基準の緩和を行い、使用の後押しをしてきました。

 しかし、人体や環境への影響が取りざたされ、世界で規制が進む今、ネオニコ系農薬に頼らないカメムシ防除を考えるときです。

(新聞「農民」2020.7.6付)
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2020年7月

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