農民連第22回大会への
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16年度は福井、岐阜、三重、奈良、島根、岡山、徳島、香川、宮崎の9県連に加え、石川、京都、大分の3府県の合計12府県連です。2年連続で前進したのは奈良、島根、徳島、香川の4県連でした。
いずれも切実な要求実現と結んだ貴重な経験でした。
現勢の小さい県連の前進に向けた奮闘が生まれています。三重県連では空白自治体に読者をつくり、準産直米などの要求運動で会員拡大を前進させ、2016年11月に単組を結成しました。広島県連や鳥取県連は長期間の困難を乗り越えて県連総会を開催し、役員体制も確立して新たな前進に踏み出しました。
同時に、本部への世帯会員の登録は、2015年度、16年度ともに数百名減少し、そのほとんどが死亡や離農、世代交代による退会でした。農業従事者の高齢化の中で、死亡や離農は避けて通れず、拡大をし続けなければ、組織の先細りは目に見えています。
また、世代交代による退会は、世帯主以外の家族と農民連とのかかわりの薄さが現れています。日常から「家族も等しく組合員」の立場で、会員登録を進め、女性部・青年部の活動への参加を呼びかけましょう。
大会をめざす仲間づくり運動では、38都府県連で会員、「農民」読者の成果がありました。
佐賀県連は会員・新聞ともに目標を達成し、この2年間で会員、読者ともに約2・3倍へと前進させています。
香川県連も11月1日の現勢報告では一進一退でしたが、11月以降11名の読者を増やしています。TPPの学習会を重ねる中で、地方議員、農協職員、新婦人の会員などに「農民」読者を広げています。
参加者全員で心一つに「団結がんばろう!」 |
大量宣伝は地域に農民連の存在を知らせるとともに、会員を励まし紹介活動を後押しします。福島、奈良などでは、農家戸数を上回る数万枚のチラシを毎年配布してきました。
会員の紹介による拡大が実績をあげており、その後の定着にとっても有効です。宮崎・都北農民組合では、免税軽油の学習相談会を開く際に、その地域の免税軽油にとりくんでいる会員に手紙を出し、学習相談会に「知り合いを誘ってください」と訴え、確実に組合員を増やし、定着しています。
要求運動に強い組織になるためには、単組に事務所や専従者、役員体制の確立が欠かせません。税金や産直など要求運動には最低限の知識と経験が必要です。役員・専従者が日常的によく学習すると同時に、会員の要求を引き出し、要求運動の幅を広げていくことが多くの農民を組織することにつながります。
もう一つの前進への分水嶺(れい)は、中心的な幹部が、拡大への確固たる立場を貫き、要求運動で打って出るかどうか、農家の切実な要求を実現できる組織になれるかどうかにあります。
この4つの教訓が相互に関連しています。
全農家戸数に匹敵するチラシを配布し、圧倒的多数の農家に農民連の存在・要求運動を宣伝し、そして一人ひとりの会員が農民連に入ってよかったこと、自らが要求運動で得た確信を、「あなたも一緒にやらないか」と知り合いに声をかける。これが紹介運動です。ここに拡大運動の法則的な流れがあります。
農民連には、全国の英知を集めた『税金対策の手引き』と『農業収入・支出記帳簿』という財産があります。この『手引き』と『記帳簿』があれば、どこでもだれでも税金の自主申告運動にとりくめます。多くの農家にとって、重い税金は国保税です。所得が下がると、国保税、介護利用料や医療費など、各種負担が軽くなり、数十万円も軽減されることがあります。正しい記帳と申告が、くらし全般に影響することを広く知らせ、税金の自主申告運動を前進させましょう。
本部税金対策部は、「税金対策部員実力養成講座」を昨年12月から開始しました。
県連やブロックでもこの練習問題も参考にして、対策部員実力養成講座にとりくみましょう。各ブロックの担当も決め、税金の時期には答えられる体制も作ります。全国で励ましあって、農民連ならどこの単組・支部も税金にとりくめるようにがんばりましょう。
米価低迷、国による生産調整の廃止など、米流通への不安が広がっています。多くの農民は、安定した信頼できる販路を求めています。準産直米のとりくみを強めましょう。
奈良県農民連は、設立当初は新婦人との産直と税金だけの運動でしたが、税金も所得税から住民税、消費税、国保税、相続税などに広がり、農業労災や免税軽油など多様な要求を扱うようになっています。また、「なんでも相談のしおり」を作り、自分たちの扱っている要求運動を分かりやすく表現し、まわりの農家に伝えています。ここにも組織拡大を進める強みがあります。
3けた台前半の組織では、事務所と専従を確保するのに十分な財政になっておらず、産直などの事業に依存し、専従者が事業にのめり込み運動が展開できない傾向が見られます。
また、いまだに3けたに届かない県連もあります。それらの組織には、とりくむ中心要求が鮮明になっていなかったり、税金や産直などの要求運動をしても読者ですませたり、カンパをもらうだけですますなど、「会員になってともに組織と運動を支えてほしい」と正面から訴えない傾向が見受けられます。また、会費が少額すぎて組織を支える水準になっていない組織もあります。
組織活動の手引きでは、会費問題について「請負の典型として最も問題になるのは会費問題です。構成員の会費によって、事務所と専従者を置き、運動に必要な経費をまかなう、というごく当たり前のことができるかどうか。会費問題は、単なる財政問題ではなく、組織のあり方の問題として重視すること」と指摘しています。
会員が3けたに届かない組織は、まずは農民連の税金の自主申告運動ができるように税金対策部員養成講座も活用し、力量を高めましょう。
3けたの組織は、要求を鮮明にした大量宣伝を行い、外に足をふみ出しましょう。
4けたの組織や4けたを目指す組織は、更なる前進をはかるためにも、自転できる広域単組づくりと活動家の養成をめざしましょう。一定の数に成長した組織は、ひとつ下に核を作る観点で組織を作りましょう。奈良県連が県一本の組織から300名になった段階で3つの広域単組を軸にした組織へと再編しました。その際に会費問題を正面から論議し、北和・南和に事務所と専従を置くために、500円値上げして今の組織を築きました。広域単組が200〜350名になった現在、市町村単位で自転できる支部づくりを課題としています。
それぞれの到達点を踏まえて、惰性ではなく本格的に打開するための議論と段取り、そのための思い切った体制づくりを進めましょう。組織づくりの戦略の中に、役員や事務局の若返り、若手の登用を位置づけることも重要です。
1700を超える全国の市町村のうち会員のいる自治体は約50%にとどまっています。地方議員や民主的活動家などの力も借りて空白自治体を克服する計画を進めましょう。単組の活動範囲を明確にし、全県を網羅する組織体制を確立することは都道府県連の固有の任務であり、空白自治体克服の第一歩です。
新規就農給付金制度を活用して新規参入する青年が増加傾向にあります。青年たちの生産技術、経営管理、販路の確保、そして仲間を求める要求は切実です。結びつきを強め、親身になってサポートし、農民連への加入を呼びかけましょう。
討論は拍手と笑いにあふれました |
最近4年間の新規就農者数が5万人台で推移し、うち40歳未満は1・3万人〜1・4万人前後となっています。2011年3月の東日本大震災・東電福島原発事故などを契機に、都市の勤労者が農業や農村の価値や役割を認識し、定年帰農や都市からの移住、“農的生活”に踏み出す青年が増えていることは大きな希望です。長年の運動で制度化された「新規就農給付金」制度や「地域おこし協力隊」「農の雇用事業」が新規就農者の増加を大きく後押ししています。
全国各地で新規就農者の生産技術、経営管理、販路、税務対策、ネットワーク作りなどのサポートが行われ、就農者が定着する力になっています。青年農業者を仲間に迎えることは、農民連の持続可能性にもかかわる重要な課題です。新規就農者は農民連の働きかけを待っています。
昨年12月に農民連ふるさとネットワークは、地域の「担い手づくり」制度・実践交流学習会を開催しました。そこで、多古町旬の味産直センターの「ゆうふぁーむ」などの実践が報告されました。農外から農業の魅力にひかれてやってきた3人の青年が、立派に独立し農業に従事しています。
定年退職した労働者が就農して地域の担い手として奮闘する事例が広がっています。定年になっても年金受給まで間があることも一因になっています。定年帰農者への働きかけを強めましょう。
春の大運動は、1年間の拡大運動の成否を左右します。『税金の手引き』と『記帳簿』を活用した「なんでも相談会」や学習会、宣伝、対話を大きく広げ、会員の力を引き出して会員拡大を前進させましょう。
会員による紹介活動を重視しましょう。特に新会員は「農民連に入ってよかった」という思いや新しいつながりを持っています。「紹介カード」も活用しながら、対象者を紹介してもらいましょう。
集中的なとりくみを支える「臨時専従」など、特別の体制をとりましょう。
各都道府県連が、大志ある目標を持って、全国一丸となって「春の大運動」を成功させましょう。
[2017年2月]
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