「農民」記事データベース20160620-1218-07

食料自給率の向上、
家族経営支える農政に転換を
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選挙公約・国会決議違反!
TPPは撤回しかない

 公約と国会決議に違反するTPPは撤回しかありません。参院選で自公を少数派に追い込みTPPをストップさせましょう。

 日本の農業を破壊する協定

 TPPについて国会決議は、米、麦、牛肉・豚肉、乳製品、甘味資源作物などの農産品重要5品目については関税の撤廃や削減も行わない「除外または再協議」を求め、これが満たされない場合は「交渉からの脱退も辞さない」と明記しています。

 しかし、「協定」は、米の輸入枠の新設や牛肉・豚肉の関税の大幅削減など重要5品目すべてで大幅な譲歩を行い、細目でみると約3割も関税を撤廃しています。さらには重要5品目以外の農林水産物では、98%に当たる品目が関税撤廃です。どこからみても国会決議違反であり、これまでのWTO(世界貿易機関)やFTA(自由貿易協定)をはるかに上回る最悪の農業破壊協定、これがTPPの正体です。

 選挙公約と国会決議違反は明白

 国会での短期間の審議でも、「TPP交渉で最善の結果を得た」(安倍首相)などという手柄話が全くのウソであることが明白になりました。

 (1)TPPには関税の撤廃・削減をしない「除外」規定が一切存在しない

 (2)日本だけが7年後にアメリカなど農産物輸出大国5カ国との間でさらなる関税撤廃に向けた見直し協議を義務付けられている

 (3)守ったという「聖域」5品目も、細目で見れば「無傷のものは一つもない」

 こういう事実を、国会審議で石原TPP担当相も森山農相も認めざるをえませんでした。

 国民と国会に徹底した秘密主義

 政府は、甘利前大臣とフロマン通商代表との交渉過程については、タイトルと日付以外はすべて黒塗りの資料を提出したうえ、担当大臣は「交渉経過は答弁できない」の一点張り。国民と国会には秘密主義を貫き通す姿勢は、重大な民主主義違反です。

 それでも諦めない安倍政権、アメリカでは反対一色

 国会閉会翌日の6月2日、安倍政権は「骨太方針」や「日本再興戦略」などを閣議決定しました。「TPPは農業にとって大きなチャンス」「TPPの早期発効」をうたい、諦めるどころか“TPP断固推進”の姿勢を強調しています。

 しかし、アメリカでは2人にしぼられた大統領候補が「TPPはバカげた協定」「雇用を奪うTPPには反対」とTPPに猛反対し、アーミテージ元国務副長官が「オバマ政権でTPPの議会通過は難しい」と述べるなど、反対一色です。

 国会で審議開始1カ月も立たないうちに「先送り」を決断せざるをえなかった安倍政権に「ヤセ馬の先走り」を許すかどうかは、参議院選挙の結果にかかっています。

 「TPP押しつけなどの強権政治に反対すること」を共通政策に掲げる野党統一候補の勝利と、一貫してTPP反対を主張する勢力の前進で、自公を少数派に追い込みTPPをストップさせましょう。


“TPPは悪い協定だ”

ノーベル賞経済学者

直談判で 安倍首相に指摘

 主要国首脳会議(サミット)に向け、安倍首相が3月に開いた勉強会。招かれたノーベル経済学賞受賞者のジョセフ・スティグリッツ教授は「TPPは悪い貿易協定だというコンセンサスが広がりつつあり、米国議会で批准されないだろう」と指摘しました。

 同教授はさらに、TPPは「新しい差別をもたらし、環境保護などのための経済規制手段を制限する」とバッサリ。

 直談判での指摘なのに、首相は「都合の悪いことは聞こえぬフリ」。マスコミもまったく黙殺しています。

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(新聞「農民」2016.6.20付)
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2016年6月

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