「農民」記事データベース20160411-1209-12

国会決議・自民公約違反の
TPP批准阻止
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輸入米を増やしながら
“影響ゼロ”のデタラメ

 TPP交渉で譲歩を重ねた安倍政権。主食の米でも、輸入拡大に大きく道を開きながら「影響はゼロ」などとしています。こんないい加減な評価は許されません。

 TPP大筋合意では、7・8万トンのアメリカ・豪州産米の主食用特別輸入枠を新設し、さらに従来のミニマムアクセス(MA)米枠内でも、アメリカ産を想定した「中粒種・加工用」枠6万トンを設けるとしています。

 これまでアメリカ産米だけで毎年36万トンが輸入されてきましたが、将来は年間50万トンもの受入れを可能にしたのです。

 国民と農民の批判をおそれる政府は、アメリカ・豪州産の特別枠に相当する国産米について、毎年の備蓄米買入量を増やすとして、国産米への影響は「ゼロ」になると言い出しました。

 これでは、国産の銘柄米が備蓄に回り、安い外米が中・外食をはじめ市場に出回る量が増加することとなり、市場価格を押し下げ米価下落を招くことは明らかです。

 また、備蓄期間を短縮するとしており、品質的にさほど低下していない国産備蓄米を飼料用に販売しながら、主食用のアメリカ産米を拡大することになります。こんな理不尽は許せません。

 この間のMA米、中でも主食用米の輸入がどのような役割を果たしてきたのでしょうか。現状の総枠77万トンのうち、約10万トンが売買同時入札(SBS)方式で主として主食用米向けに輸入されてきました。

画像  過去8年間の国産米の市場価格とSBSの輸入量の関係を示したのが図です。国産米が下落した13、14年には買い手がほとんどつきませんでした。国産米が上昇した11年、12年は輸入米に買い手が殺到しています。

 こうして国産米が当たり前の価格の時に、輸入米は外食産業向けの国産米と競合し、全体の価格を押し下げる役割を果たしてきたのです。

 政府の試算で「米輸入の影響はゼロ」などとは、まったく現実を顧みない、まさに「恣意的」な試算です。

 生産者が今、需給の均衡と価格の回復を願い、飼料用米などに懸命に努力している最中に、輸入米を増やすなど論外です。

 ましてやいい加減な影響評価を前提にTPP合意案の批准や関連法案の審議など許されません。

(新聞「農民」2016.4.11付)
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2016年4月

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