「農民」記事データベース20160411-1209-09

国会決議・自民公約違反の
TPP批准阻止
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3点セット(本則、付属書、承認制度)で
底なしの自由化へ一本道

 行き着く先は関税と非関税障壁の撤廃による完全自由化――。TPPはこの目標のために、協定本則で何重もの見直しを義務付けるとともに、付属書の中で日本だけが、農産物輸出大国5カ国とさらなる関税撤廃に向けた見直し協議を特別に義務付けられています。

 一方、アメリカは通商協定相手国の国内制度が議会の望む形で変更されるまで協定の発効を阻むことを大統領に強制する国内法(承認制度)を持ち、TPPでもその行使を公言しています。

 協定本則、付属書、アメリカの承認制度、この3点セットを通じて進む無限のプロセス――まさに「底なしの自由化への一本道」です。

 本則が無限の見直し強制

 TPP締約国は協定本則に基づき、発効から3年以内に協定全体の見直しを行い、その後も5年ごとに見直さなければなりません。見直しの対象には関税も含まれるため、他の11カ国と比べて関税撤廃率が相対的に低い日本はさらなる関税撤廃を迫られます。

 長期間かけて関税を撤廃する品目についても、撤廃時期を繰り上げるようにとの圧力がかけられます。

 TPP締約国は、要請があった場合、関税撤廃時期の繰り上げについて検討する協議に応じなければなりません。

 TPPに基づいて設置される「物品貿易小委員会」も、関税撤廃時期の繰り上げについての協議を主要任務の一つにしています。

 付属書による日本の農産物を標的にした見直し

 加えて日本政府は付属書で、協定発効から7年後に、アメリカ、オーストラリア、ニュージーランドなど農産物輸出大国5カ国と、関税、関税割当、セーフガードを含む市場アクセスの全面的見直しのための協議を約束しました。

 このように複数国との協議に応じる約束をしている国は日本だけ。今回の合意で日本が関税を残したのは農林水産品のみです。しかも協議は市場アクセスを増大する観点から行わなければなりません。

 これは、農産物輸出大国5カ国が日本に対して、集中攻撃的に農産物の関税撤廃を迫るための協議であり、日本は、農産品の一部で、7年間の関税撤廃猶予を与えられたにすぎないといえます。

 アメリカの承認制度による修正圧力

 協定本則、付属書を通じた自由化圧力に、アメリカの承認制度による協定修正・改悪の圧力が加わります。

 TPPが不人気のアメリカでは、大統領選の候補者や議会から、日本などから追加的譲歩を勝ち取れとの要求が強まっています。

 日本の農産物市場アクセスについては、米や乳製品の業界が失望を表明。

 日本の養豚経営安定化対策事業の拡充への豚肉業界の不満を受け、下院議員67人も2月12日、駐米日本大使に書簡を送り、見直しを求めました。

 書簡の中の脅し文句が「議会での反対が増える」というものでした。

 議会が望む形で協定相手国の国内制度が変更されない限り、協定を発効させないという承認制度は、近年、各国の国内措置の基盤となる通商協定自体を修正するための強制力として機能しています。

 実際、米韓FTAが議会を通過しない見込みだった2011年には、オバマ大統領は承認制度を後ろ盾に韓国側に再交渉を強要し、自動車の関税撤廃期限の延長などを勝ち取りました。

 こういうやり方がTPPで繰り返される可能性はきわめて強いといわなければなりません。

 フロマン通商代表も3月18日、二国間交渉で圧力をかけてTPP発効前に協定を実質的に修正する意向を公に表明しました。

(新聞「農民」2016.4.11付)
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2016年4月

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