「農民」記事データベース20160201-1199-08

農村からTPP反対、戦争法廃止の声を
参院選で安倍暴走政権を追いつめよう
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2016年1月14日
農民運動全国連合会常任委員会

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 (2)安倍政権のもとでの米価大暴落、TPPでアメリカ産米の輸入拡大

 農民連はWTO協定成立以降、米価下落とたたかい、生産の助け合いや新婦人産直、準産直米のとりくみで、米作り、仲間づくりのために奮闘してきました。東日本大震災、原発事故で流通が混乱したことから米価が一時的に上昇し、不十分ながら戸別所得補償制度により、農家の生産意欲が高まり、耕作面積を拡大する動きも加速しました。

 安倍政権は、こうした流れに水を差し、低米価を押し付け続け、米作りをあきらめさせるための政策を取り続けています。米価大暴落に苦しむ農家の過剰米処理の要求には背を向け続けてきた政府が、TPP交渉で7・8万トンのアメリカ・豪州産米の主食用特別輸入枠の拡大に当然のように応じ、MA(ミニマムアクセス)米枠内でも加工用アメリカ産米の枠まで拡大するとしています。そして国内生産者には恩着せがましく特別枠に見合う備蓄米買い入れを増やすので、市場への影響は排除できるとしています。

 このような政府の姑息(こそく)な対策は、米作り農家全体を愚弄(ぐろう)するものであり、無理やりアメリカ産米を国民に食べさせ、財政負担も増大させることになるもので、絶対に許すことはできません。この怒りを農村地域、消費地でも大きく広げることが大事です。

U 1年間のたたかいの到達と教訓

1、戦争法廃止・TPP反対の壮大な運動の一翼を担って

 (1)戦争法廃止のたたかい

 戦争法案廃案を求める運動は、8月30日に国会周辺に全国から12万人以上の人々が詰め掛けるとともに、全国で1000カ所以上、100万人もの人々が、行動に立ち上がるなど、壮大な運動に発展ました。農民連組織も、各地で集会・宣伝・軽トラパレードなどにとりくみ、農村での戦争法案阻止の共同運動を担い、大きな役割を果たしてきました。

 (2)TPP反対のたたかい

 2010年10月に当時の菅直人首相が「TPPへの参加の検討」を打ち出して以来、農民連は中央、地方でTPP反対の一点での共同行動の核となって奮闘し、情勢の節々で一斉行動を配置するなど、運動を一貫してリードしてきました。2015年10月に政府が「大筋合意」を、11月に「TPP関連政策大綱」を発表し、マスコミもTPPを既成事実化するなか、「大筋合意」の欺まんを暴露し、「これからのたたかいでつぶせる」という論陣をはり、そのための宣伝・学習資材を発行するなど、全力を挙げてきました。こうした運動は、「大筋合意」に失望している人々に勇気と展望をあたえ、反対運動の再構築を進めるうえで大きな役割を果たしてきました。

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「安倍政権ノー!」のパネルを掲げて=2015年10月2日、東京・日比谷野外音楽堂

2、生産・販路拡大のとりくみ

 地域の条件や、高齢者などの生産力を生かしたものづくりや加工、学校給食、多様な販路の拡大、直売所などのとりくみが全国で展開され、地域の活性化に貢献しています。また、米価が低迷する中で、農民連ふるさとネットワークが進めた備蓄米や飼料米への柔軟なとりくみも注目されています。

 こうしたとりくみを通して、大規模経営農家や集落営農組織、新規就農者などが販路を求めて農民連に加盟してきていることは重要な成果でした。

3、くらしと経営を守る多様な要求実現の運動

 経営の困難が増す一方で医療・介護、年金などの負担増が農家の暮らしと経営を圧迫しています。高すぎる国保税や跳ね上がる後期高齢者の保険料の引き下げ、固定資産税の軽減など、多様な運動が前進しています。茨城県西農民センターの住民税「徴収の猶予」のとりくみや、宮崎県連などで免税軽油の要求を恒常的にとりくみ、会員拡大を大きく前進させたことは重要な経験です。

4、原発事故の損害賠償運動と被災地支援・復興のとりくみ

 2015年6月、政府は、福島の被害を小さく見せるため避難解除・賠償の基準を20mSv(ミリシーベルト)(病院などが設定している放射線管理区域の約4倍)に定め、避難解除を強行し、賠償の打ち切りを提起しました。それにともない、福島県も県独自に行っていた自主避難者に対する住宅補助の打ち切りを決めました。こうした政府・東電の姿勢は、福島県及び他の府県の東電への損害賠償直接請求に対して、ほとんど「ゼロ回答」を続けていることにも現れています。

 これらの背景には、福島原発事故で大きな打撃を受けた原発企業が、買収や資本提携で体制を立て直し、中国、インド、トルコなどへの原発輸出を進めるために、「福島の原発事故は終わった」ことを世界に示すねらいがあります。こんなことを許すわけにはいきません。

 福島の現実、国と東電の責任をしっかりと告発する運動、福島県以外の府県の賠償運動も強め、「福島切り捨て」を許さないたたかいが求められています。

 9月10日に関東、東北地方を襲った豪雨は、茨城、栃木、宮城、福島などで、農作物などに甚大な被害をもたらしました。農民連は都道府県連組織と連携して現地調査を行い、全国から寄せられた義援募金を届けて激励しました。鹿児島の直売所も台風被害で全壊、全国からの支援と励ましで営業再開にこぎつけています。こうした“農民の苦悩あるところに農民連あり”のとりくみは、被災者を励ますものでした。

5、原発ゼロ・再稼働反対・再生可能エネルギーのとりくみ

 各地で原発ゼロ、再稼働に反対する運動が展開され、数次にわたる大規模な全国集会とデモが成功しました。毎週金曜日に行われている首相官邸前行動と、これに呼応した行動が全国に広がり、再稼働をねらう政府を包囲しています。安倍政権は原発を重要なベースロード電源と位置付けていますが、国民の意思は今も原発再稼働反対・原発ゼロです。新規制基準のもとでの再稼働のねらいを福井地裁が断罪したことも重要な運動の成果でした。こうしたなかで九州電力は8月11日、川内(せんだい)原発1号機(鹿児島県薩摩川内市)の原子炉を起動し、再稼働を強行しました。福島県農民連から6人が9、10の両日、川内原発前抗議行動に参加し、福島の原発事故が収束されていない状況での再稼働という暴挙に怒りの声をあげました。さらに四国電力は、伊方原発の再稼働を狙うなど、政府の「原発をベースロード電源とする」エネルギー基本計画に沿って、「ドミノ倒し」的に各地の再稼働をねらっています。

 福島県農民連が設置した太陽光発電所が5910キロワットになったのをはじめ、茨城県、埼玉県、千葉県など、各地の農民連組織で太陽光発電を中心に、多様な形態で再生可能エネルギーの実践にとりくみ、さらにこうした動きが広がろうとしています。多くの会員の自主的なとりくみも広がっています。これらの経験は、今後、農民連組織をあげたとりくみにするうえで重要な蓄積です。

6、都市農業を守るとりくみ

 2015年4月16日に成立した都市農業振興基本法は、長年の運動が実った重要な成果です。「基本法」は、都市農業振興の施策を計画的に推進し、都市農業の安定的な継続と良好な都市環境の形成に資することを目的に制定されました。また、市街化区域内農地について、国土交通省や農水省が「都市の景観形成や防災性、多様なレクリエーションなど、農業・農地は守り、将来にわたって存在することが必要」だと位置づけています。同法は基本理念の法律であるため、施策実施のために裏付けとなる制度を作らせることが重要です。本部は、農水省から「基本法」についてのレクチャーを受け、対策会議で今後の運動の強化方向を確認するとともに、東京、大阪農民連でも「基本法」についての学習会や研究会がとりくまれるなど運動を推進してきました。

(新聞「農民」2016.2.1付)
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2016年2月

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