「農民」記事データベース20151026-1187-10

TPP「大筋合意」
「最終」でも「決着済み」でもない
(3/5)

TPP拒否 ヤマ場これから

関連/TPP「大筋合意」 「最終」でも「決着済み」でもない(1/5)
  /TPP「大筋合意」 「最終」でも「決着済み」でもない(2/5)
  /TPP「大筋合意」 「最終」でも「決着済み」でもない(3/5)
  /TPP「大筋合意」 「最終」でも「決着済み」でもない(4/5)
  /TPP「大筋合意」 「最終」でも「決着済み」でもない(5/5)


国会決議の逸脱を懸念
安易な批准の阻止へ運動展開

JA宮城中央会 会長 石川壽一さん

 解釈の大きなかい離

画像  政府は、TPP交渉の「大筋合意」を発表しましたが、その中身の公開はいまだ不十分なものです。今後は、調印、国会の承認(批准)という手続きが残されていますが、「大筋合意」に至った経緯や、「重要5品目を守る。順守されなければ脱退も辞さない」とした衆参農林水産委員会決議との整合性はどうなっているのかをよく検証しなければなりません。

 私たちとしては、今回の「大筋合意」が国会決議の内容を逸脱していると懸念せざるをえません。「国会決議は守られた」と言いますが、そこには農業者をはじめ国民の不安が大きく、解釈の大きなかい離が生じています。

 また、県農協政治連盟としても、昨年の衆議院選挙で推薦し、政策協定を結んだ政治家に対して、「重要5品目を守る」という公約が守られたのかどうか、きちんと検証しなければならないと思います。

 農家の感情を逆なで

 TPPは宮城県の農業にとっても甚大な影響を及ぼします。とくに米、園芸作物、畜産は打撃を受けます。

 今回、当初はなかった米の特別輸入枠(7万8400万トン)が盛り込まれました。今年6月末の民間在庫が過去最高の230万トンに達し、今年産で主食用米から飼料用米への転換に取り組んでいる矢先、さらに輸入することは、低米価で苦しんでいる農家を窮地に追い込むことになります。政府の需給調整政策に水を差すことになり、農家の感情を逆なでするものです。

 さらに畜産でも牛肉の大幅な関税削減が盛り込まれるなど、到底納得できるものではありません。

 輸入が増え、絶対量が増えれば、価格の低下を招くことは必至です。安い輸入農産物は安全性にも不安があります。

 このままでは、やる気のある担い手が将来に不安を抱えたままリタイアしてしまいます。くるくる変わる猫の目農政でなく、若い担い手が将来に展望がもてる農政の確立が早急に求められています。

 「大筋合意」は通過点

 「大筋合意」は通過点にすぎません。県中央会としては、10月19日に緊急に集会を開き、この交渉結果に強く抗議しました。今後とも十分な情報の開示を求め、国民的な議論をさらに深め、安易に批准手続きを進めることのないよう、継続的に運動を展開していきます。

(新聞「農民」2015.10.26付)
ライン

2015年10月

農民運動全国連合会(略称:農民連)
〒173-0025
東京都板橋区熊野町47-11
社医研センター2階
TEL (03)5966-2224

本サイト掲載の記事、写真等の無断転載を禁じます。
Copyright(c)1998-2015, 農民運動全国連合会