共同広げ、米を守る政策の実現を
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この程度の引き上げでは米の再生産を保障することは到底できません。
しかもこの概算金の引き上げ通りに市場価格が回復できるのか、先行きは不透明です。と言うのも、暴落の原因とされている米の過剰状態が放置されたままだからです。
政府は「15年産で生産数量目標を面積で8000ヘクタール(4万トン相当)下回ったから、需給は引き締まる」と盛んにアピールしています。しかし、主食用米の今年の6月末在庫は230万トンで昨年より10万トンも多く、過去16年間で最高の水準です。今年の作柄が平年作とすれば来年の6月末在庫は207万トン程度で、農水省が需給均衡の目安とする200万トン以下にはなりません。
加えて、民間レベルで14年産を市場から一時棚上げにした36万トンが11月以降、古米として安値で市場に出回り続けることになるのです。
米業者からも「下げすぎた価格の回復は当然だが、需給が緩んだ状態では値上げはむずかしい」「先行きが不透明で、長期の契約はできない」などの声が出されています。
本当に米価を回復させるためには、民間任せ・市場任せの米政策を改め、政府の責任で過剰と思われる30万トン程度を処理して需給を改善する以外に道はありません。
14年産の米価下落に対して、果たしてどれだけナラシで農家の減収は補てんされたのでしょうか。
14年産の農家手取りの減収を試算すると多くの地域で30%以上なのに、ナラシは20%までの減収が対象のため、10%余りが対象になりません。
青森地域では、10アール当たりの収入は約8万円で、ナラシ約2万円と直接支払交付金7500円を合わせても10万7500円程度にすぎません。
しかも、ナラシの支払いの4分の1は生産者の拠出金であり、結局、10アール当たり10万2500円、60キロ当たりでは1万円程度で、物財費にも満たない水準にしかなりません。
「ナラシはセーフティネットにならない」との農民連の指摘通りの実態です。
稲刈り真っ最中。写真は稲刈りをする小谷野義夫さん(茨城県取手市) |
政府はこのナラシを「収入保険」に衣替えし、民間の保険会社に委ねる準備までしていますが、当然、収入保険で実績のあるアメリカの保険会社に進出の場を提供することになるでしょう。
農民連は日本の米を守るため、政府の責任で需給と価格を安定させること、生産費に見合う価格の保障、そして不足した際の所得を補償する米政策への抜本的な転換を求めます。
[2015年9月]
農民運動全国連合会(略称:農民連)
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