「農民」記事データベース20150202-1151-06

農政を転換する国民的運動と
農業・農山村の再生を担う
農民連の建設を!
(5/6)

2015年1月15日
農民連第21回定期大会決議

関連/農政を転換する国民的運動と農業・農山村の再生を担う農民連の建設を!(1/6)
  /農政を転換する国民的運動と農業・農山村の再生を担う農民連の建設を!(2/6)
  /農政を転換する国民的運動と農業・農山村の再生を担う農民連の建設を!(3/6)
  /農政を転換する国民的運動と農業・農山村の再生を担う農民連の建設を!(4/6)
  /農政を転換する国民的運動と農業・農山村の再生を担う農民連の建設を!(5/6)
  /農政を転換する国民的運動と農業・農山村の再生を担う農民連の建設を!(6/6)


 (6)畜産を守る運動

 飼料や燃油価格の高騰を吸収できない畜産物価格と、国会で批准された日豪EPAやTPP交渉が畜産農民に先行き不安をもたらし、離農が加速する事態となっています。特に酪農家の離農は著しいものがあり、社会問題になっているバター不足の背景もここにあります。

 再生産が可能な畜産価格の実現、国内産飼料生産への支援策、BSE全頭検査の継続、家畜伝染病の予防や病気発生後の経営対策の抜本的強化を要求して運動を進めます。

 (7)漁業や林業など、農山漁村を守る運動

 震災や原発事故で被災した漁民の要求実現、魚価の価格保障の実現、漁民の暮らしと経営を守る運動を進めます。

 14年10月に岩手県漁民組合が主催して山田町で開催された「漁業フォーラム」は13県から80人を超える漁民と関係者の参加で大きく成功し、漁民の全国組織作りにむけた「沿岸漁民へのアピール」が発せられました。農民連は「アピール」に応え、漁民の全国組織の結成のために全面的に支援します。地域で漁民の要求に耳を傾け、連帯して要求を実現する運動に力を尽くしましょう。

 林業の再生は中山間地の活性化、雇用と地域経済の再生、温暖化対策からも重要です。建材への国内産材使用やバイオマスのとりくみをなど、林業を再生する取り組みを進めましょう。

 (8)中山間地と地域を守る運動

 高齢化と担い手不足による農地の維持、地域コミュニティーの確保、鳥獣被害など、中山間地は多くの困難を抱えています。地域を守るために住民と力をあわせて農民連や会員が奮闘し、集落営農組織の運営の中心になっている会員も多くいます。

 14年の国会で制定された「地方創生法」は、「集落機能の集中」の名で中山間地の切り捨てにつながりかねません。中山間地の直接支払い制度を充実させるとともに、住民の要求にもとづいた持続可能な山村にするための支援策を政府や自治体に要求します。

 鳥獣による農作物被害対策は切実な要求です。十分な予算の確保と、国と地方自治体、住民が連携したとりくみへの支援策の強化を要求します。

 (9)食品分析センターの発展と活用、食の安全を守る運動

 残留農薬、遺伝子組み換え、高度な放射能測定器を完備した「一般社団法人・農民連食品分析センター」として活動を進めてきました。食の安全を守る“市民の分析センター”“食品安全の番人”として、また輸入農産物の安全性のチェック、放射能分析をはじめ、残留農薬や重金属の検査などをとりくんできました。

 輸入ナタネの自生調査結果の公表を通じて国内の汚染状況の実態をもとに、政府に対策を迫り、14年には環境省との合同調査も実現し、国として「遺伝子汚染調査」を独自に行うようになりました。今後、地元や国内産の農産物を消費することの意義を語り伝える運動を重視して進めましょう。政府に輸入食品の監視・安全対策の強化を要求して運動を進めます。安全、本物の農産物を生産する農民連会員の活用を呼びかけます。分析センターの会員割り引きを生かした会員拡大も前進させましょう。

6、安倍暴走政治とのたたかい

 安倍政権は、選挙で議席を維持したことをもって「信任された」とし、消費税10%増税やアベノミクス、TPP交渉、集団的自衛権、原発再稼働、沖縄新基地建設など、暴走をさらに加速させようとしています。しかし、今回の選挙結果をもって国民からあらゆる問題で白紙委任を与えられたと考えるなら大間違いです。これらのどれをとっても国民多数の意思に反するものばかりであり、強行するなら大きな矛盾に直面することは避けられません。暴走を阻止し、安倍内閣を退場させるために、あらゆる分野でさらに共同を広げるために全力をあげましょう。

 終戦70周年の記念すべき年である2015年を、安倍政権がねらう憲法9条の全面的な改悪と、戦争する国づくりを阻止するたたかいを発展させることが重要です。

 現在、中央段階で改憲や戦争する国づくりに反対する団体が総結集した「戦争させない9条壊すな総がかり行動実行委員会」作りなどの動きが始まっています。中央、地方で「憲法共同センター」に結集して圧倒的な世論と行動で安倍内閣を包囲するために力をつくしましょう。「9条の会」、「農林水産9条の会」の発展に協力します。

 普天間基地の名護市辺野古への移転に反対し、オール沖縄と連帯してたたかいます。2015年核不拡散条約(NPT)再検討会議に代表を派遣するとともに、「核兵器全面禁止のアピール」署名の推進など、農村での核兵器廃絶の運動を強めましょう。

 農民の要求を実現するためには、アメリカいいなり政治のもとになっている日米安保条約を廃棄し、大企業の利益を最優先にする政治の転換が不可欠です。政治革新のための3つの共同目標を掲げる革新懇運動の発展をめざし、全国でも地方でも奮闘します。

 要求を実現し政治を変えるうえで、首長選挙で要求と政策の一致を前提に革新・民主の候補を勝利させましょう。15年のいっせい地方選と16年の参院選挙は安倍政権の動向に重要な影響を与えるたたかいになります。大衆組織としての原則を堅持し、農民連と要求と政策が一致する勢力を前進させるために全力をあげましょう。

7、要求実現と結んだ組織拡大のとりくみ

 (1)会員拡大の到達点と方針について

 前大会以降の2年間で世帯、女性・青年会員、団体加入を含めて一千数百名の会員を新たに迎えました。何らかの成果のあった組織は42都道府県連です。新たに迎えた仲間のすべてが切実な要求実現の運動を通してのもので貴重な成果です。同時に、本部への世帯会員の登録は、13年、14年とも数百名減少し、後退に歯止めがかかっていないのが現状です。

 農民連結成以来、農民運動の全国センターを“近代的組織”として軌道に乗せるために、全国的な団結をよりどころに困難を乗り越えて今日に至っています。地方では県内農家の5%を超える県連組織や、単組ではさらに大きな比重を持った組織も生まれ、地域農業と農村を守る大きな役割を果たしています。中央では、TPP交渉からの撤退、米価暴落対策や農政改革問題などで大きな役割を果たし、社会的な存在感を増しています。

画像
9条田んぼに、平和の願いを込め1本1本苗を植えました

 都道府県連ごとの到達では、13年度に前年より組織登録を前進させた組織は、福島、新潟、愛知、岐阜、三重、奈良、宮崎、沖縄の8県連、14年度は石川、奈良、島根、愛媛の4県連です。2年連続で前進したのは奈良の1県連です。連続的に前進する奈良県連の教訓に謙虚に学ぶ必要があります。

 単組段階では、税金や原発事故の賠償請求で大きく会員拡大を前進させた茨城県西農民センターの前進は目覚ましいものがあります。

 共通する教訓は、(1)要求を鮮明にしての大量宣伝、(2)会員・組合員に依拠した紹介活動、(3)要求実現に強い役員・専従者の育成、(4)中心的な幹部の熱意と決意です。

 大量宣伝は地域に農民連の存在を知らせるとともに、会員を励まし紹介活動を後押しします。福島、茨城、奈良などでは、農家戸数を上回る毎年数万枚のチラシをまいてきました。茨城県連では単組の大量宣伝を促すためにチラシの一般紙への折り込み費用を1単組3000枚分まで県連で負担しています。

 会員の紹介による拡大が実績を上げており、その後の定着にとっても力になっています。宮崎都北農民組合では、免税軽油の学習相談会を開く際に、その地域の免税軽油にとりくんでいる会員に手紙を出し、学習相談会に誘ってもらいます。茨城県西では事務所に来る会員にビラを渡し知り合いを誘うように働きかけ、会員の紹介が日常になってきました。

 要求運動に強い組織になるためには、単組に事務所や専従者、役員体制の確立が欠かせません。税金や産直など要求運動には最低限の知識と経験が必要です。役員・専従者が日常的によく学習することと同時に、会員の要求を引き出し、要求運動の幅を広げていくことが多くの農民を組織することにつながります。

 もう一つの前進への分水嶺(れい)は、中心的な幹部が、拡大への確固たる立場を貫き、要求運動で打って出るかどうか、農家の切実な要求を実現できる組織になれるかどうかにあります。

 4ケタ前後の拠点組織の伸び悩みと後退傾向、4ケタをめざした数百人の組織の後退、結成して20年以上経過しているにもかかわらず3ケタ以下の組織が克服されず、幹部の高齢化等でさらに困難が増している実態もあります。

 農民連はこの数年、全農家戸数の2%、販売農家戸数の3%を組織作りの目標に掲げて奮闘してきました。この基準を超えている組織は、京都、大阪、奈良の3府県であり、単組段階では数多く存在しています。この目標を直近の統計で試算すれば全国で5万人を超える農民連が実現します。引き続き全農家戸数の2%、販売農家戸数の3%の突破を全国的な拡大目標の基準として全力をあげることを呼びかけます。

 それぞれの到達点を踏まえて、惰性ではなく本格的に打開するための議論と段取り、そのための思い切った体制づくりを進めましょう。組織づくりの戦略の中に、役員や事務局の若返り、若手の登用を位置づけることも重要です。

 (2)都道府県連の役割

 空白自治体を克服し、全県に責任を持つ農民連組織にしていくためには、都道府県連の役割が重要です。単組の守備範囲を明確にし、全県を網羅する組織体制を確立すること、役員と事務局体制を挑戦的立場で確立することが重要です。1700を超える全国の市町村のうち会員のいる自治体は約50%にとどまっています。空白自治体に組織を確立する計画を進めましょう。

(新聞「農民」2015.2.2付)
ライン

2015年2月

農民運動全国連合会(略称:農民連)
〒173-0025
東京都板橋区熊野町47-11
社医研センター2階
TEL (03)5966-2224

本サイト掲載の記事、写真等の無断転載を禁じます。
Copyright(c)1998-2015, 農民運動全国連合会