「農民」記事データベース20121029-1043-13

「米政策」破たん

今こそ、国が需給と価格の
安定に責任をもつ政策へ
(4/4)

関連/今こそ、国が需給と価格の安定に責任をもつ政策へ(1/4)
  /今こそ、国が需給と価格の安定に責任をもつ政策へ(2/4)
  /今こそ、国が需給と価格の安定に責任をもつ政策へ(3/4)
  /今こそ、国が需給と価格の安定に責任をもつ政策へ(4/4)
  /愛情かけて育てました


米を中心とした
日本型食生活を継承していきたい

米飯給食に力を入れる
東京・杉並 方南小学校

画像 「子どもの健やかな心と体をつくるには、ご飯中心の和食がいちばん!」と、農民連の産直米を使って、米飯給食に力を入れている小学校の栄養士さんがいます。東京都杉並区立方南小学校の星名久美子先生です。

 給食が大好きすごい完食率

 現在、方南小学校の米飯給食は、週4・2回。1カ月およそ22回ある給食のうち、なんと19回が米飯給食です。使っているお米は、山形・庄内産直センターから届いた産直米。その他の食材もほとんど国産を使用しています。「方南小の子どもたちは、なにしろよく食べてくれます。すごい完食(残さず食べる。残飯が出ない)率なんですよ!」と星名先生は胸を張ります。

 たとえば10月15日の給食の献立は、「さつま芋ごはん、さわらの西京焼き、金平ごぼう、ほうれん草の磯あえ、牛乳」。「ご飯を中心とした和食の献立がいちばん、糖質、たんぱく質、脂質という栄養バランスがすばらしいのです。それに“旬”があって、日本の四季を味と五感すべてを使って味わえるのが和食の良さです。こうした良さを学校給食に取り込めるのは、お米を中心にした和食、つまり日本型食生活の給食だからなんですね」と、星名先生は言います。

 しかし、そろえるだけのパンに比べて、米飯給食はお米を洗って、炊飯して、重い炊飯器を洗って…と、調理員さんの負担も大きく、それが全国で米飯給食がなかなか増えない理由にもなっています。星名先生は「民間委託やセンター方式の給食が増えていますが、方南小は幸い自校直営方式で、調理員さんががんばってくれるからこそ、こうした給食ができています。調理員さんの奮闘が子どもたちから見えることで“心を育てる給食”作りにつながっているのです」と強調します。

画像
楽しい方南小学校の給食の時間

 農家の苦労お米通し知る

 「心を育てる給食」作りの精神は、食材や農業にも及びます。方南小では、4年生でみそ作り、5年生で米作りを体験し、山形・庄内産直センターの菅井巌さんが出前授業を行っています。「お米を通して農家の苦労が見えることで、子どもたちのなかに一粒一粒のお米を大事に思う心が育ち、食べ物ができる背景を学ぶことができます。生産者の声が届くのも、米飯給食の長所の一つ」と星名先生。

 「以前、マクドナルドの社長が『子どもの味覚を変えれば、その子どもは一生ハンバーガーを食べ続ける』と言いましたが、子どものころの食習慣は生涯に影響を与えます。だからこそ給食でしっかり和食を味わってもらい、お米を中心とした日本型食生活を継承していきたいと思っているのです」と、お米に寄せる思いを語ってくれました。


画像
茨城・石岡市 末永 明美

〔前ページ〕<< □         

(新聞「農民」2012.10.29付)
ライン

2012年10月

農民運動全国連合会(略称:農民連)
〒173-0025
東京都板橋区熊野町47-11
社医研センター2階
TEL (03)5966-2224

本サイト掲載の記事、写真等の無断転載を禁じます。
Copyright(c)1998-2012, 農民運動全国連合会