「農民」記事データベース20121029-1043-11

「米政策」破たん

今こそ、国が需給と価格の
安定に責任をもつ政策へ
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収穫の秋 心から喜べる農政に

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加工用米

飼料用米並みの交付金を

“国産を”は国民の共通の要求

 2008年に発覚した輸入汚染米事件と2011年7月から施行された米トレーサビリティ法(産地表示義務)を契機に、原料を国産米に切りかえる日本酒・焼酎の蔵元やみそ・せんべいなどの加工業者が急増しています。しかし、民主党政権の戸別所得補償制度によって、加工用米の交付金は、10アールあたり8万円の飼料米や米粉用米と比べて2万円と低いため、作付けが減少し2011年産は前年の72%の生産にとどまっています。

 多くの国民は「原料は国産」を求めているにもかかわらず、加工用米の不足と価格の上昇で「再び輸入米にUターン」させることがあってはなりません。

 2012年産でみれば、加工用米の生産者手取りは助成金と販売代金を合わせて1万1500円程度で、主食用米に比べ相当見劣りするのが実情です。加工用米の生産量を確保する最善の道は、主食用米並みの所得を補償することです。

 加工業者の団体は、政府に対し「加工用米にも飼料用米並みの交付金を出すべきだ」と要求しています。この要求は生産者、業者、そしてなによりも国産を望む消費者の共通の要求です。加工業者が希望する量を国産で確保できるよう、政府は緊急に対策をとるべきです。

 加工用を農家に生産してほしい

  日本酒造組合中央会 木内真二さん(業務第一部・部長)

 日本酒の原料は新米です。しかも、純米酒などの特定銘柄の酒は、くず米も外国米も使えません。加工用米が計画どおりに手に入らず、しかも前年より26%も価格が高騰しています。不足分を主食用米で補えば、さらにコスト高は避けられません。日本酒の消費が伸び悩んでいるときに、販売価格に転嫁することはできません。

 蔵元ではなんとか経営をやりくりしていますが、こういうことがこれからも続くようであれば、もう限界です。

 農家に加工用米をつくってもらうように、戸別所得補償制度を見直すべきです。

 それから農家のみなさんには、ぜひ1日の疲れを日本酒でとっていただきたい。

 家畜が新米食べ人間が古米口に

  全国米菓工業組合 松本裕志さん(専務)

 私たちはあられやせんべいなど米菓子の団体です。輸入汚染米事件の前は37万トンのミニマムアクセス米を使っていましたが、事件後は15万トンまで減少しました。ところが原料の加工用米が不足し、さらに価格が高騰したために、しかたなく外国米に手を出さざるをえない状況です。

 いま、米の市場がないことは大問題です。本来、米価は需給と供給の中で決まるものです。ところが価格形成の場がないために、力のあるものが一方的に価格を押し付けてきています。私たちは、加工用米を原料とするほかの業界と協力して、4月に加工用米の集荷団体である全農(全国農業協同組合連合会)に、「一方的に引き上げることは納得できない」と抗議しました。

 戸別所得補償制度によって、家畜が新米を食べ人間が古米を食べています。こういうゆがみは即刻改善すべきです。

(新聞「農民」2012.10.29付)
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2012年10月

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