農業、家庭、地域奪われて…震災の被災地南相馬を視察被害のひどさにあ然の海外代表
ビア・カンペシーナ海外代表のメンバーは、学習交流会に先立つ8月31日、地震、津波、原発事故で現在も困難な状況にある福島県南相馬市を視察しました。 福島県連青年部で、「現地を見て、今の福島の暮らしを感じてほしい」と視察ルートを決め、浜通り農民連の三浦広志さんと草平さん親子に案内してもらいました。 小高地区の街中や福島第一原発に近い、被災前の三浦家周辺など、警戒区域ギリギリまで足を運びました。三浦家周辺に広がる田んぼには、最近まで海水が満ちていました。現在は水が抜けひび割れた地面が広がり、以前の田んぼの姿はまったく感じられません。
「いつ何が起こるかわからないこの土地で農業を続けるのは困難」と、三浦さんは語り始めます。そして、「原発事故は、農業だけでなく地域生活まで破壊する。精神的にも不安を抱えながら生活し、地域コミュニティーまで奪った原発を絶対に許すことはできない」と力強く語る三浦さん。 三浦さん親子の話に耳を傾け、写真に収める海外代表のメンバーたち。その後、浜通り農民連会長の杉和昌さんの家を訪問しました。杉さんは酪農家です。震災後に避難しましたが、牛のことが気になり家族を避難させたまま一人で自宅に戻りました。「私は、ここで農業を続ける。地域も寸断されているが、やめる気はない」と、杉さんは力強く語りました。 昼食は、南相馬農業を守る会女性部のみなさんによる手製のカレーライスを食べながら交流。彼女たちが震災後の生活を語ると、海外代表のメンバーは熱心に聞き入っていました。 視察したアーマド・ヤコブさん(インドネシア)は「福島の原発事故で、家族も家も地域コミュニティーもすべて失ってしまうなどということは、受け入れられません。インドネシアのメディアは、『日本はもう大丈夫』などと報道していますが、本当ではないことがわかりました。これは日本だけの問題でなく世界の問題です」と感想を寄せていました。 (福島県連青年部 岩渕望)
(新聞「農民」2012.9.17付)
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[2012年9月]
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