「農民」記事データベース20120917-1037-06

農民連青年部
夏の学習交流会in山形・おきたま

パネルディスカッション 5人が報告

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 9月2日に行われたパネルディスカッションでは5人が報告しました。要旨を紹介します。


 健康な土づくりをめざしている

  オーストラリア
  サマンサ・パルマーさん

 家族は夫と子ども2人です。豪州南西地域で農薬・化学肥料を使わない小さなオーガニック・ファームを営んでいます。

 土地は120ヘクタールですが、その中に畑1ヘクタールで野菜を栽培し、残り6割で、イチゴやハーブなど約40種類の自然植物を栽培。残りの4割は放牧地で、牛、豚、鶏を飼っています。鶏舎は移動式です。

 農産物は、ファーマーズ・マーケットでの販売のほか、インターネットで消費者に直接届けています。このアイデアは、日本のやり方からヒントを得たものです。

 「健康な土から健康な人間ができる」と土づくりを工夫しています。農地は、動物も植物も豊かに暮らし、環境に優しい土地をめざしています。

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報告する(左から)湯本さん、倉田さん、松川さん、ドゥンさん、(1人おいて)サマンサさん

 有機農業を若者に広げたい

  カンボジア
  ドゥン・サムネンさん

 家族は両親ときょうだい4人の6人です。今は地域の若手農家のリーダーを務めています。

 高校を卒業後、若い農家の養成プログラムに参加し、1年間、技術、情報、販売などを学びました。いまは1ヘクタールの農地のうち4分の1でマッシュルームとショウガを栽培し、残りは稲作です。

 農村の多くの若者は都市部に仕事を探しに出てしまいます。農業を取り巻く状況は悪化し、農薬や化学肥料が注目され始めています。

 牛、豚、鶏も飼っており、家畜のふんをたい肥化して、有機栽培に利用することで、商品の価値をあげています。

 今後、規模をもっと拡大し、有機農業を若者に広げていきたい。

 種子の温湯消毒とり入れる

  山形県
  倉田健三さん

 就農して5年目です。置賜農民連青年部で、有機栽培の勉強をしています。

 米作りでは、本来は薬剤を使うところを、種子の温湯消毒という60度前後のお湯に8分間漬けてから十分に万遍なく冷やす方法を取り入れています。

 また、紙マルチを使っており、紙を敷きながら苗を植えると、あとで溶けて紙は泥に染み込みます。

 田んぼは、冬も水をためる冬期たん水なので、1年中生きものがいっぱいです。

 ハクビシンやキツネなど、獣害対策も必要です。

 楽しく取り組む姿を青年に

  長野県
  湯本 真理子さん

 3年前に長野県山ノ内町に戻ってきてから、伝統食のおやきを作って販売しています。おやきとは、小麦粉でつくった野菜のまんじゅうのことです。野菜は無農薬で自らつくったものや近所のものを使っています。

 場所が観光地なので、朝市や道の駅で販売しています。そのほかにリンゴと桃を栽培しています。

 よく「若いのに農業をやっていて大変だね。えらいね」といわれます。しかし、私は、仕事の一つとしてやっているわけです。そのような見方を変えていきたいし、楽しく農業に取り組む姿を若い人に見せることが私の役割だと思っています。

 福島で今後も農業続けたい

  福島県
  松川 加津典さん

 須賀川市に住み、米と野菜を作っています。昨年3月11日の震災時は、東京で仕事をしていて、福島に帰るのに、27時間かかりました。

 福島に戻っても、電気は使えましたが、水が出ず、苦労しました。水路は壊れて田んぼから水が消え、その年の収穫は落ちてしまいました。

 放射能汚染で、キャベツが出荷停止になりました。それでも農産物をつくる土地があり、買ってくれる消費者もいます。福島に残ってがんばっている人もいます。そうである限り、農業をこれからも続けていきたい。

(新聞「農民」2012.9.17付)
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2012年9月

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