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全国委員会への報告(5/5)

2012年1月19日
農民連常任委員会 笹渡義夫

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III 激動の情勢を主体的に切りひらける組織をめざして

 1、会員と読者拡大について

  (1)拡大の取りくみ

 福島県連が損害賠償請求の要求で会員拡大を前進させ、過去最高現勢を突破したのをはじめ、宮城県連でも同様に前進させています。深刻な津波被害を受けた岩手県山田町で「漁民組合」が結成され岩手県連に加盟したのをはじめ、三陸沿岸一帯で同様の動きが広がり、念願の漁民の組織化を前進させています。長野県北部地震で被災した栄村でも全村規模の農民組合が準備されています。

 こうした前進は、全国からの支援と結んで被災県連が最も切実な要求の実現を掲げて奮闘し、農家の信頼を広げた結果です。そして支援した全国の仲間に対する何よりもの返礼です。

 新聞「農民」では、原発事故で会員の多くが避難せざるを得ない事態となった福島県浜通り農民連が、懸命の消息確認とあわせて新聞を届け続けました。こうした努力の結果、一時バラバラになった組織が機能を回復させることができました。新聞が農民連と被災会員をつなぐベルトの役割を果たしました。

 読者拡大では、夏の集中した拡大運動で千葉県連、愛知県連が目標を達成するなど、全国を励ます奮闘がありました。一方、全国的には高齢化や組織のさまざまな問題から会員・読者ともに拡大を上回る退会者があり、会員・読者現勢を後退させた組織が少なくなく、後退傾向に歯止めがかかっていません。こうした傾向は、財政へのしわ寄せとなり、組織的な困難を作り出しています。

 TPP参加阻止のたたかいや震災・原発事故被害対策、放射能測定など、農民連の果たしている役割が光っているなかで、いま、打って出れば会員でも読者でも大きく前進できる条件があります。すべての被災農家、TPPへの参加に不安を募らせている農家や国民に広く呼びかけた組織的な拡大運動に総力をあげることが求められています。

  (2)今後の組織戦略をめぐって

   (1)最も切実な要求を軸に、都道府県連と単組が主体的な組織戦略をもって
 この数年来、前進を作り出している組織の教訓は、主体的な組織づくりの目標を持ち、それぞれの地域で農家の最も切実な要求を取り上げてつながりを広げ、粘り強く取り組んでいることです。そして、粘り強い要求実現運動とは、農家とともにたたかうということです。この点で、それぞれの組織が総括し、主体的な組織戦略を持つことを呼びかけます。

   (2)被災農家、原発事故にかかわる切迫した要求での組織化を
 東日本大震災と原発事故は、農民の暮らしと営農に決定的な影響をもたらし、そこから発生している要求は、これまでのどの要求よりも切迫したものとなっています。とりわけ、原発事故による放射能汚染は、農業の存立そのものをおびやかし、しかも長期にわたって農民を苦しめることが予想されます。被災し、損害を受けた農民がたたかわない限り、生活と営農の展望を切りひらくことができない事態となっています。このまったく新しい切迫した要求のよりどころになれるのは農民連しかありません。

 こうした見地に立って、復興や損害賠償、放射能検査などの要求で、これまでの取り組みの枠を大きく超えた飛躍をかちとるときです。

   (3)TPPとのたたかいの側面から
 TPPへの参加による弊害はあまりにも大きく、JA関係者をはじめ反対運動に立ち上がっている方々は切迫感をもってたたかっています。そして、JAなどの第一次産業関係団体や、医師会、建設業協会などと農民連を含む民主勢力との共同の広がりは歴史的に例のないものとなっています。こうした共同は、単に団体間の共同にとどまらず、団体が組織している構成員にも影響を与え、変化を作り出しています。

 こうした前進は、食健連運動を発展させる条件を広げると同時に、農民連の会員・読者拡大を広げる新しい基盤が作られています。農民連の会員・読者を増やすことこそがTPP参加を阻止する最も大きな力となることをしっかり見据えて、運動と結んだ組織戦略をつくることが求められています。

   (4)後継者が学び成長できる組織へ
 若い会員や専従者が農民連運動の担い手として成長できる組織になることは、引き続き重要な課題です。すべての組織で新たに幹部の育成、活動家づくりを進めましょう。その中心は学習・教育活動の強化です。本部主催の事務局員研修会とあわせて、都道府県連や単組でも意識的な取り組みを進めます。

   (5)拡大目標について
 第19回定期大会では、農家戸数で2%以上、販売農家戸数で3%以上を全国的な突破目標とし、一定の到達点をつくっている組織は、さらに高い目標を掲げて全国的な牽引車の役割を果たすことを呼びかけました。

 農家戸数が減少しているもとで、この目標をいち早く突破し、さらに高い目標をめざして奮闘します。都道府県連と単組、支部は、それぞれの地域の農家数比率で積極的な目標を掲げて奮闘します。

 2、財政について

 会員と読者が後退して本部も都道府県連もきびしい財政状況のなかで、“会員と読者拡大、節約、たたかいで財源を確保する”という視点で攻勢的に奮闘し、経営を前進させました。

 こうした一定の前進をつくった教訓は、情勢に機敏にこたえ、たたかいのなかで財政基盤をつくってきたことであり、大震災と原発事故で受けた組織的な影響を全国の団結で乗り越えてきたことにあります。今年もこうした見地での奮闘に加え、財政基盤確立の最大の柱である会員と読者の拡大に組織をあげて取り組みます。

 3、今年は全国研究交流集会を開催します

 4、青年部活動の前進をめざして

 第19回大会は「後継青年を確保・育成する課題は、農業再生と運動・組織の両面から、引き続き重要で緊急な戦略的課題です」とし、青年への働きかけを強め、すべての都道府県連と主要な単組、産直組織に青年部を確立することを呼びかけました。この課題は、今後のすべての組織の持続的な発展に関わる最も重要な課題です。

 会員の後継青年の結集、青年会員の組織化、新規参入した青年への働きかけなど、青年会員の自主性や創意をいかしながら青年部を結成する段取りに着手します。

 5、女性部の活動について

 女性会員の生産、暮らしに関わる多面的な要求をとりあげる運動を強め、すべての都道府県連と単組、産直組織に女性部を確立しましょう。

IV 結びに

 2011年は、農民連がかつて経験したことのない激動の1年でした。このなかで農民連は大きな役割を果たし、鍛えられ、今後にいきる多くの成果をかちとりました。

 農業と農山漁村の再生をめざし、来年1月に開かれる第20回定期大会をも展望して、組織勢力を大飛躍させなければなりません。前進しましょう。

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(新聞「農民」2012.2.6付)
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2012年2月

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